待望の新作公開! 独自の掟と名誉を重んじる誇り高き宇宙最強の狩人『プレデター』シリーズを振り返り!
1987年の第1作以降、人類と宇宙最強の狩人の死闘を描いてきた大人気シリーズの最新作『プレデター:バッドランド』が11月7日(金)より公開されます。掟を破って最悪の地「バッドランド」に追放された若きプレデター・デクが、謎のアンドロイドの少女と出会い、過酷なサバイバルを繰り広げる本作。シリーズ史上初めてプレデター自身を主人公に据えた作品とのことで、いやがおうにも期待が高まります。
透明化能力、赤外線視覚、プラズマキャノン、そして名誉を重んじる狩人としての掟など、単なるモンスターではなく、唯一無二の世界観を持つキャラクターとして愛され続けるプレデター。そこで今回は、最新作公開を記念して、プレデターが登場する映画作品を一挙に振り返ってみたいと思います。宇宙最強の狩人が、どのように人類を恐怖に陥れ、そして映画史に名を刻んできたのか、その軌跡を辿ってみましょう。
最強狩人、激戦の歴史
『プレデター』(1987年)
監督:ジョン・マクティアナン
出演:アーノルド・シュワルツェネッガー、カール・ウェザース、エルピディア・カリーロ ほか
南米某国で行方不明となった重要人物の救出任務を遂行するために、ジャングル奥地へと潜入するダッチ・シェイファー少佐(アーノルド・シュワルツェネッガー)率いる特殊精鋭部隊。敵ゲリラ部隊を難なく掃討しますが、その後、予想外の脅威に直面します。宇宙から飛来した最強狩人プレデターが、彼らを標的として狩り始めたのです。最新の武器も戦闘技術も通用しない絶望的な状況の中、仲間たちは次々と倒れていき……。
アーノルド・シュワルツェネッガーの代表作の一つであり、SFホラー・アクション映画の金字塔として今なお語り継がれる傑作です。ジャングルという閉鎖的な空間を舞台に、見えない敵に追い詰められていく恐怖を見事に描き出しています。映画の緊張感を高める重要な要素として、アラン・シルヴェストリによる不気味で印象的なスコアにも注目です。公開から35年以上経った今でも色褪せない、SF映画史に残る1本です。
『プレデター2』(1990年)
監督:スティーヴン・ホプキンス
出演:ダニー・グローヴァー、ゲイリー・ビューシイ、ルーベン・ブラデス ほか
前作のジャングルから一転、舞台は1997年のロサンゼルス。猛暑と犯罪が蔓延する都市で、麻薬組織の抗争が激化していました。ロス市警のマイク・ハリガン警部補(ダニー・グローヴァー)は、コロンビアとジャマイカの麻薬カルテルが争う現場に駆けつけますが、そこで異様な光景を目にします。両組織の構成員たちが、まるで獣に襲われたかのように惨殺されていたのです……。
ジャングルという密閉空間から都市という開放的な舞台へと移した続編は、SFホラーと刑事アクションを融合させた意欲作。前作のアーノルド・シュワルツェネッガーに代わり、ダニー・グローヴァー演じるハリガンは、筋肉ではなく執念と知恵で戦う、よりリアルな主人公として描かれています。また、本作では複数のプレデターが存在することや、彼らの宇宙船内部、そして18世紀の燧石銃をトロフィーとして保管しているシーンなど、プレデター種族の背景が掘り下げられています。
『プレデターズ』(2010年)
監督:ニムロッド・アーントル
出演:エイドリアン・ブロディ、ダニー・トレホ、トファー・グレイス ほか
落下中に意識を取り戻した傭兵のロイス(エイドリアン・ブロディ)は、九死に一生を得て着地した先が見知らぬジャングルであることに気づきます。そこには同じように状況が分からないまま放り出された数人の男女がいました。彼らはCIAの凄腕スナイパー、ロシア特殊部隊員、日本のヤクザ、メキシコの麻薬カルテルの殺し屋、そして死刑囚といった、いずれも戦闘と殺しのプロフェッショナルばかり。やがて一行は、自分たちが地球ではなく別の惑星に拉致されたことを悟るのですが……。
ロバート・ロドリゲス製作、ニムロッド・アーントル監督による本作は、シリーズを原点回帰させながらも新たな展開を加えた意欲作。最大の特徴は、舞台を地球外の惑星に移したこと。プレデターたちが作り上げた「狩猟惑星」という設定は、彼らの文明レベルの高さと、狩りへの執念を象徴しています。また、プレデターにも派閥があるという設定が追加されたという点で、プレデターの社会構造に深みを与えたともいえます。
『ザ・プレデター』(2018年)
監督:シェーン・ブラック
出演:ボイド・ホルブルック、ジェイコブ・トレンブレイ、オリヴィア・マン ほか
メキシコでの作戦中、元特殊部隊員の傭兵クイン・マッケナ(ボイド・ホルブルック)は、墜落したプレデターの宇宙船を発見します。彼は証拠として装備の一部を持ち帰って自宅に送りますが、それを受け取った息子ローリーが、好奇心から装置を起動させてしまいます。実はその装置は、地球にプレデターを呼び寄せるシグナルを発信するもので……。
第1作に俳優として出演していたシェーン・ブラックが、30年以上の時を経て監督として帰ってきた本作は、シリーズに新たな方向性を示そうとしました。ただ、製作過程での大幅な方向性の変更により、物語の一貫性に問題があるとの批判を受けることになり、批評的評価は分かれる結果となりました。
『プレデター:ザ・プレイ』(2022年)
監督:ダン・トラクテンバーグ
出演:アンバー・ミッドサンダー、ダコタ・ビーヴァーズ、デイン・ディリーグロ ほか
舞台は1700年代のアメリカ大陸。コマンチ族の若き女性戦士ナル(アンバー・ミッドサンダー)は、部族の男性たちと同等の狩人になることを夢見ていますが、女性であるがゆえに認められていませんでした。ある日、成人の儀式の熊狩りに同行したナルは、熊に襲われて逃走する中、恐ろしい未知の生物の姿を目撃し……。
シリーズの原点回帰であると同時に、新たな高みに到達した傑作として高く評価されています。本作のプレデターは、まだ地球を訪れ始めた初期の個体として描かれており、後のシリーズに登場するプレデターよりも装備が簡素です。ただそれでも最先端である宇宙技術と原始的な武器という極端な対比の戦いが繰り広げられ、知恵と勇気が勝利をもたらす爽快なサバイバル劇です。『プレデター2』での伏線が回収されるエンディングは必見。
<番外編?>
『エイリアンVS.プレデター』(2004年)
監督:ポール・W・S・アンダーソン
出演:サナ・レイサン、ラウル・ボヴァ、ランス・ヘンリクセン ほか
2004年、人工衛星が南極大陸の氷の下で謎の熱源を検知します。巨大企業ウェイランド社の創業者チャールズ・ビショップ・ウェイランド(ランス・ヘンリクセン)は、この発見に興奮し、すぐさま調査隊を組織します。環境問題の専門家で女性冒険家のアレクサ・“レックス”・ウッズ(サナ・レイサン)を筆頭に、考古学者、言語学者、傭兵など、各分野の専門家たちが南極へと向かいますが……。
強烈な個性と確固とした世界観でファンを熱狂させるSF映画史上屈指の凶悪キャラクター、エイリアンとプレデターを共演させるという、ファン待望の夢の企画が実現した作品。追い詰められた人間サイドが、「敵の敵は味方」というスタンスで、プレデターと一時的に共闘するという展開も見どころです。
『AVP2 エイリアンズVS.プレデター』(2007年)
監督:コリン・ストラウス ほか
出演:スティーヴン・パスクール、レイコ・エイルスワース、ジョン・オーティス ほか
前作のラストで南極を脱出したプレデターの宇宙船内では、すでに次なる悲劇が始まっていました。一体のプレデターの体内からチェストバスター(エイリアンの幼体)が誕生し、プレデターとエイリアン双方の特性をあわせ持つ「プレデリアン」へと急速に成長します。このハイブリッド生物は船内のプレデターたちを次々と殺害し、制御不能となった宇宙船はコロラド州の小さな町ガニソン近郊の森に墜落……。
前作から3年後に製作された続編は、舞台を南極からアメリカの田舎町へと移し、より身近な場所での壮絶なバトルを描きました。本作最大の特徴は、プレデターとエイリアンの特性を併せ持つ「プレデリアン」という新種の登場。両者の長所を受け継いだ恐るべき存在として、町を恐怖のどん底に落とし込みます。
1987年の第一作から35年以上にわたって観客を魅了し続ける『プレデター』シリーズ。最新作の『プレデター:バッドランド』では、ついにプレデター自身が主人公となります。これまで「狩る者」として描かれてきたプレデターが、「追われる者」として描かれるという逆転の発想は、シリーズに新たな視点をもたらすでしょう。宇宙最強の狩人の新たな物語が、どのような驚きと感動を届けてくれるのか、期待が高まります。