「光ちゃうやんか…ッ!」葛藤の末によしきが選んだのは──2025年夏アニメ『光が死んだ夏』第3話「拒絶」を振り返ろう! 次回の注目ポイントもご紹介!
2025年7月より放送中のTVアニメ『光が死んだ夏』。原作はモクモクれん先生による漫画『光が死んだ夏』で、KADOKAWAのWebコミックサイト「ヤングエースUP」にて連載されている人気作品です。
三重県の山奥の集落に住む辻中佳紀は、半年前に山で一週間行方不明になって戻ってきた親友・忌堂光の中身が人ではないナニカになっていることに気づいてしまいます。光を失った悲しさから、その代わりとしてヒカルを受け入れることにしたよしき。葛藤しながらヒカルとの日常を過ごすよしきと、村で起こる不可解な出来事が描かれた異色の青春×ホラー物語です。
7月19日には第3話「拒絶」が放送されました。前回は第1話よりも増した恐怖に多くの視聴者が背筋を凍らせた一方、よしきとヒカルの関係性の変化やヒカルの正体にも多くの注目が集まりました。
本稿では第3話「拒絶」を振り返り! SNSの反応などに触れながら内容を振り返っていきましょう。さらに、第4話の注目ポイントもお届けします!
※本稿には第3話のネタバレ要素が含まれます。
【写真】2025年夏アニメ『光が死んだ夏』第3話「拒絶」振り返り
ヒカルの存在に葛藤を続けるよしき
本話ではこれまで以上によしきの葛藤や苦しみが描かれたように感じられました。冒頭では幼少期のよしきと光が描かれていましたが、これは生まれた頃からいっしょに過ごしてきた2人の思い出のほんの一部であり、よしきにはこんな他愛ない記憶が数えきれないほどあるのだろうことは想像に難くありません。
その後のシーンで子どもの頃のようにスイカを食べ、種を飲んでしまったヒカルは「スイカ人間になってまうわ」と一言。これが本物の光であればきっとよしきは幼い頃のことを思い出し笑っていたでしょう。しかし、ヒカルは光の記憶を使って話しているだけであり、よしきにとってはかえって光がいない悲しさや虚しさを感じることになってしまいました。
あまりの苦しさから嘔吐してしまうシーンはアニメのオリジナルカットですが、彼がどれだけ思い詰めているかが感じられましたね。
これまで一人で葛藤を続けていたよしきが暮林理恵に連絡をしようと思ったのは、光の家でのヒカルとのやりとりと生きていた頃の光の痕跡が色濃く残る光の自宅を見たからだと考えられます。
暮林にヒカルのことを打ち明けたことで少しだけホッとした様子を見せていましたが、彼女の話を聞けば聞くほどヒカルの危険性を強く認識することになってしまいました。このことがさらによしきの葛藤を強めたように感じられます。
暗い教室で明らかに様子がおかしいよしきの機嫌を取ろうとヒカルは“光お得意の”変顔をしてみせますが、今のよしきにとってはむしろ逆効果。ついに長く抱き続けていた思いが爆発し「お前はッ 声も見た目も喋り方も光そっくりやけどさあ 光ちゃうやんか…ッ!」とヒカルへぶつけてしまいました。
光を失った喪失感に耐えられずヒカルを受け入れたよしきでしたが、いっしょにいればいるほどヒカルが光ではないことを実感するばかりで、余計に光がもうここにいない事実を突きつけられ続けていたことがこの一言から強く感じられます。
ヒカルの感情が爆発……よしきに執着する謎
本話ではよしきに強い執着を見せるヒカルの姿も描かれました。以前からよしきのことが大好きな様子は窺えたヒカルでしたが、よしきから「お前は光(親友)ではない」と真っ向から突きつけられたことで感情が爆発してしまったようです。
「ヒカルが暴走するところめっちゃ怖かった」という声がSNSには寄せられていますが、他者を自分の中に引き込もうとするあれこそが光の本能的な衝動であり、普段は自我で抑えているのでしょう。
よしきのことが好きでたまらないから暴走してしまい、よしきのことが好きでたまらないから間一髪のところで本能を抑え込むことができたヒカル。彼もまた自我と本能のはざまで葛藤しているように感じられました。
また、「どこまでが自分の感情なんかわからん」と言っていましたが、おそらくもう光ではなくヒカルオリジナルの感情なのでしょう。光の身体に入った当初は光の感情を引き継いでいたのだと思いますが、半年間いっしょに過ごしたことで光よりも大きく重く歪んだ愛情が芽生えているように感じられます。
しかしながら、人間ではないナニカであるはずのヒカルがこれほどまでによしきに執着するのはなぜなのか。暮林はヒカルのことを「巨大な塊、地獄みたいな」と言っていましたが、まだ正体ははっきりしないまま。今後の展開が気になって仕方ありません。
共依存関係へ堕ちていく2人……EDの演出にも注目
葛藤の末によしきが選んだのは、ヒカルといっしょに生きる道でした。これまでも光に対するものとは違った感情を抱いている様子が垣間見られていましたが、本話では光とヒカルが違う存在であることをはっきり認識したうえで、ヒカルといっしょに生きる選択をしています。光の代替品としてではなく、ヒカルそのものをよしきは受け入れることにしたのです。
純粋無垢な子供のようなヒカルに対する庇護欲が芽生えていますが、もしかしたら無意識のうちにその感情で光を失ってできた心の穴を埋めようとしているのかもしれません。いずれにせよ、よしきとヒカルは危うい共依存関係に堕ちてしまっていることは間違いないでしょう。
物語終盤はEDテーマ「あなたはかいぶつ」がBGMとして流れる特殊演出に。よしきとヒカルが和解しするシーンと「あなたは誰 誰」と言う歌詞が重ねられており、よしきが間違った道を選んだことを暗示しているようでした。
この演出に気づいた視聴者も「「あなたはかいぶつ」とともに進行するストーリーやばすぎやしないか?」「歌詞とストーリーの親和性高すぎて…」「TOOBOEさん神曲ありがとう」と絶賛。他の箇所もストーリーと重ねられた歌詞が絶妙で、何度も繰り返して見直したくなるラストシーンでした。
次回の見どころ
共依存関係に落ち着いたよしきとヒカルに注目が集まった本話でしたが、本作の謎に繋がるようなヒントもたくさん出てきました。
町や村で起きている不可解な事件がヒカルの影響によるものだろうこと、暮林も死人に執着して同じような経験をしたことがあること、ヒカルに襲われてよしきが見た、人の首を抱えた光に似た人物……。物語冒頭では、故人である光の父親も光が行ったのと同じくらいの時期に山に入っていたことも明かされていました。
第4話のWEB予告では、村のことを調べている田中が「この神社…いや、集落って一体何を祀っているんでしょうかねえ」と一言。村の因習に関する謎が明らかになるのでしょうか。次回も背筋がゾッとする上質なホラーが待っていそうです……。