中村勘九郎・中村七之助が7年ぶりに博多座に出演 『六月博多座大歌舞伎』が開幕し、舞台写真が公開
2025年6月4日(水)博多座にて、『六月博多座大歌舞伎』が開幕した。この度、舞台写真が届いたので紹介する。
先日開催された「船乗り込み」では3.5万人の観衆を集めるなど、大きな盛り上がりを見せた博多の街。今回の公演は『平成中村座小倉城公演』(2019、2023)で北九州市の小倉の街を熱狂させた中村勘九郎・中村七之助が7年ぶりに博多座に出演するとあって、期待は高く、人気演目・清新な出演者が揃った。
人情味に溢れる新作歌舞伎『福叶神恋噺』昼の部
昼の部最初の演目は、一家の情愛が軸となる義太夫狂言の名作『双蝶々曲輪日記 引窓』で幕開け。橋之助の南与兵衛後に南方十次兵衛、鶴松の女房お早、梅花の母お幸、中村福之助の濡髪長五郎で、互いの立場や心中を思い合う濃厚な人間ドラマを演じた。
続く『お祭り』は、粋で洒脱な江戸情緒溢れる清元の舞踊。勘九郎の鳶頭が『平成中村座小倉城公演』でも大好評だった本演目で色気たっぷりに踊った。
そして、昨年五月に東京・新宿での『歌舞伎町大歌舞伎』で初演され好評を受けた新作歌舞伎『福叶神恋噺』。七之助の愛すべき貧乏神おびん、虎之介のどこか憎めない大工辰五郎、勘九郎の貧乏神すかんぴんと、今回から初登場の貧乏神元締からっけつを猿弥が演じ、博多にちなんだエピソードも加わり、劇場はたくさんの笑いと生き生きとした人情味に溢れるお芝居にあたたかく包まれ、昼の部を締めくくった。
博多座で初上演! 勘三郎から勘九郎が習い覚えし傑作『怪談乳房榎』夜の部
夜の部は、ご当地もので冤罪で筑紫に流された菅原道真の悲運を題材にした義太夫狂言の名作『菅原伝授手習鑑』 。虎之介の桜丸、鶴松の苅屋姫、中村福之助の斎世の君で、59年ぶりに『道行詞の甘替』を洗い直して上演。
そして、十八世中村勘三郎が復活させ、当代勘九郎に継承された『怪談乳房榎』。落語家・三遊亭円朝の口演を基にした怪談噺で、気品漂う重信、正直者の下男正助、悪党の蟒三次という異なる三役を勘九郎が早替りで演じ分け、本水を使用した滝壺の中で早替りしながらの大立廻りでは、観客が感嘆するほどの大きなどよめきと歓声がおき、劇場は、圧巻の迫力とエンターテインメント性に惜しみない拍手が贈られた。
なお、本公演は6月26日(木)まで行われる。
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