県高校総体前特集 サッカー男子(4) 考える力が勝利を引き寄せる大分上野丘 【大分県】
県高校総体まで1カ月を切った。新チームで最初の公式戦となった県高校新人大会を経て、4月に1年生が加わり、どのチームも熟成に余念がない。今企画では高円宮杯JFA U-18 OFAリーグ(1部)に参戦するチームを中心に現状と強化ポイントをチェックし、キャプテンに意気込みを聞いた。第4回は「考えるサッカー」を武器に躍進する大分上野丘。
【昨年度の主な成績】
高円宮杯JFA U-18 OFAリーグ(1部) 7位
県高校新人大会 3回戦敗退
全国高校選手権県予選 ベスト8
県高校総体 3回戦敗退
昨年度の悔しさを胸に、大分上野丘が静かに力を蓄えている。OFAリーグ7位、県高校新人大会は3回戦敗退と結果を残せなかったが、今季は成長著しい。リーグ戦では強豪校を撃破するなど、チーム力が着実に上がっている。
赴任2年目を迎える軸丸耕平監督が掲げるのは「考え続ける力」である。技術やフィジカルで他校に劣る分、戦術への理解度と柔軟性のある対応力で勝負する。相手に応じて形を変える可変性のあるサッカーを目指し、選手たちは日々ピッチ上で思考を重ねている。
昨年と違い、突出した選手は少ないが、全体の底上げが進み、2・3年生全員に明確な役割がある。その中でチームの中心を担うのは、キャプテンの有村凌史郎(3年)。センターバックとして全体を見渡し、的確なコーチングでゲームを統率する。中盤には副キャプテンの高橋遼(同)を据え、堅実なプレーでチームのリズムをつくる。また、ストライカーの永路拓実(同)は昨季のエースを上回る得点力を見せ、ゴール前での泥くささが光る。クロスに走り込んで合わせるようなゴールを得意とし、フィニッシュの局面で違いを生む。
目指すは「自分たちの色」を出すサッカー。ボールを保持し、ゲームを支配するスタイルが理想だ。高い対応力と考える力を武器に「番狂わせ」の主役となる可能性は十分にある。トーナメントの舞台で大分上野丘が示す変化と成長は注目だ。
チームの底上げに成功した
主将が語る県総体のプラン
有村凌史郎(3年)
ディフェンスリーダー 175cm、69kg、前所属チームは大分トリニータUー15
Q:県高校総体を終えてから、積み上げてきたものは何ですか?
いい時と悪い時の波はまだありますが、その振れ幅はだいぶ小さくなってきました。昨年と比べてボールを保持できる時間が増え、内容のいい試合ができるようになってきました。勝てる可能性のある試合が増えているのは実感しています。
Q:県高校総体で勝ち上がるために必要なことは?
練習中も雰囲気が良く、盛り上がってるし、切り替えもできているので、このまま続けていきたいです。ただ、プレー強度をもう一段階上げないと、県総体で勝ち切るのは難しいと思っています。勝つためには日頃の生活から「隙を作らないこと」だと思います。サッカーの時だけでなく、私生活から気を引き締めて準備することが大事です。
Q:キャプテンとして、どんなプレーでチームに貢献したいですか?
競り合いが得意なので、まずロングボールをしっかり弾き返す。そして、献身的な守備で失点ゼロを意識して、そこから流れをつくりたいです。高校入学直後から試合に出させてもらっています。経験を重ねてきた分、今年は責任を持ってプレーしたいです。
(柚野真也)