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美術を中心とした「出土モチーフ」の系譜に迫る「ハニワと土偶の近代」が12月22日まで『東京国立近代美術館』で開催中

さんたつ

A4チラシ_0327入稿

身近な存在として親しまれてきたハニワと土偶は、いつ美術作品の中に登場するようになったのか? ハニワ・土偶ブームの裏側が見えてくる「ハニワと土偶の近代」が2024年12月22日(日)まで、東京都千代田区の『東京国立近代美術館』で開催されている。

いかにして「ハニワと土偶」の美は発見されたのか? その深層に迫る

岡本太郎 『犬の植木鉢』1954年 『滋賀県陶芸の森陶芸館』。

出土遺物を美的に愛でる視点はいつから芽生え、一体いつから美術作品のなかに登場するようになったのか。

戦後、それまで考古学の資料として扱われていた出土遺物の美的な価値が岡本太郎やイサム・ノグチによって「発見」されたという、もはや伝説化されているともいえるエピソード。「縄文vs.弥生」という分かりやすい二項対立の語りは、1950年代半ばに建築・美術にかかわる人々の間で「伝統論争」に発展した。しかし、近代以降において地中から掘り出された遺物に着目したのは彼ら二人にとどまらない。出土遺物は、美術に限らず、工芸、建築、写真、映画、演劇、文学、伝統芸能、思想、さらにはテレビ番組にいたるまで、幅広い領域で文化現象を巻き起こしてきた。

なぜ、出土遺物は一時期に集中して注目を浴びたのか、その評価はどのように広まったのか、作家たちが遺物の掘りおこしに熱中したのはなぜか。

本展は美術を中心に、文化史の舞台に躍り出た「出土モチーフ」の系譜を、明治時代から現代にかけて追いかけつつ、ハニワや土器、土偶に向けられた視線の変遷を探る。歴史をひもとき、その複雑な機微を知ることで、足下に積み重なる文化的・社会的な「地層」が浮かびあがってくるという意欲的な内容になっている。

イサム・ノグチ『かぶと』1952年 一般財団法人 草月会 (『千葉市美術館』寄託)。(C)2024 The Isamu Noguchi Foundation and Garden Museum/ARS,NY/JASPAR,Tokyo E5599。

幅広い時代とジャンルの文化が「ハニワ」と「土偶」に結びついていた⁉

斎藤清 『土偶(B)』 1958年 『やないづ町立斎藤清美術館』(C)Hisako Watanabe。

なぜ展覧会タイトルは、ハニワが先なのか? 本展の“発掘現場”は近代以降の美術と美術館。近代の美術作品や美術展に登場するのは、圧倒的にハニワの方が早く、近代においてハニワ・ブームが先に巻き起こり、そのあと土偶(縄文)ブームがやってくるという傾向がみられるところに理由がある。

掘り起こされる“現場”は、明治時代から戦後までの日本。大衆へと浸透していく過程を年代ごとに紹介し、ジャンルは漫画や現代アート、テレビ番組にまで至る。各「地層」で「ハニワ」と「土偶」に連なる美が提示され、観るものは少しずつ秘密に迫りゆく探偵気分で「土」の芸術の魅力を体感できる。

蓑虫山人(みのむしさんじん) 『陸奥全国古陶之図』 1882~1887年頃 『弘前大学北日本考古学研究センター』。
都路華香(つじかこう) 『埴輪』 1916年 『京都国立近代美術館』。

開催概要

「ハニワと土偶の近代」

開催期間:2024年10月1日(火)~12月22日(日)
開催時間:10:00~17:00(金・土は~20:00。入館は閉館30分前まで)
休館日:月(10月14日(月)・11月4日(月)は開館)・10月15日(火)・11月5日(火)
会場:東京国立近代美術館(東京都千代田区北の丸公園3-1)
アクセス:地下鉄東西線竹橋駅から徒歩3分
入場料:一般1800円、大学生・専門学校生1200円、高校生700円、中学生以下無料。
※身体障害者手帳などの手帳をお持ちの方とその付添いの方(1名まで)無料。

【問い合わせ先】
ハローダイヤル☏ 050-5541-8600
公式HP  https://haniwadogu-kindai.jp/

取材・文=前田真紀 ※画像は主催者提供

前田真紀
ライター
『散歩の達人』『JR時刻表』ほか雑誌・Webで旅・グルメ・イベントなどさまざまなテーマで取材・執筆。10年以上住んだ栃木県那須塩原界隈のおいしいものや作家さんなどを紹介するブログ「那須・塩原いいとこ、みっけ」を運営。美術に興味があり、美術評論家で東京藝術大学教授・布施英利氏の「布施アカデミア」受講4年目に突入。

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