【なぜ】最近「野菜の値段」が安定しているような? 業界関係者に理由を聞いてみた
今から2~3カ月ほど前、キャベツがめちゃめちゃ高かったことを覚えているだろうか? あの時は1玉1000円で販売されるなど、キャベツは完全に高級食材と化していた。だがしかし……。
ここ1カ月、特にここ数週間はキャベツに限らず野菜の値段が安定しているような? そこで業界関係者に「野菜の値段が安定した理由」を聞いてみることにした。
・落ち着いた?
以前の記事でお伝えした通り、2~3年前と比較して「安いなー!」という野菜はほとんどない。理由は野菜の高騰が「電気代の高騰」「人件費の高騰」「資材の高騰」等々、様々な要素が絡み合っているためだ。
一方で、2~3カ月前と比較すると「ずいぶん落ち着いた」と感じている方がほとんどではないだろうか? 特にキャベツは500円、1000円があたり前だったが、最近では1玉250~300円くらいで販売されている。
春野菜の収穫が相当上手くいっているのか? それとも他の要因があるのか? そこで最近まで青果卸をされていた「八百トシさん(仮名)」に「野菜の値段が安定している理由」を聞いてみることにした。
──ここ最近、野菜の価格が落ち着いているように見えるんですが、なんか理由はあるんですか?
「そうだな~。一言で言えば需要と供給のバランスが戻って来たって感じかな」
──僕みたいな素人にもわかりやすくお願いします。
「野菜の場合、天候なんかの影響で供給が減るから高騰するだけで、供給が潤沢ならそこまでおかしくならないんだよ」
──2~3カ月前が異常だったと?
「それは本当にそう。目立ったのはキャベツだけど、他の野菜も不足してたし高かったからな」
──なるほど。じゃあ今は供給が潤沢ってことなんですかね?
「持ち直しつつあるってトコじゃないか? 全般的に春野菜は順調と聞いてるけど、暑過ぎると良くないからこれからの天気が心配ではあるよ」
──ふむふむ。でもキャベツは相当持ち直したってことなんでしょうか?
「そうとは言えるな。春キャベツは神奈川が有名で、いち早く出回るんだ。特に三浦半島のはウマいよ。他にも春キャベツなら千葉と愛知も有名だね」
──つまり、神奈川・千葉・愛知の春キャベツがそこまで大きな天候の影響を受けなかったってことなんですかね?
「そういうことだ。ついでに言うと、他の春野菜も概ね順調だから相対的にキャベツの値段も安定し始めたって感じだな」
──よくわかりました。ちなみにこれから先、野菜の値段が上がりそうな気配はありますか?
「それはさっきチラッと言った天候次第なんじゃないか? 夏日になるくらいならまだしも、真夏日になるとちょっと危ないと思うよ。春野菜は暑さに強くないものが多いから」
──やっぱり野菜はデリケートなんですね。
「ついでに言えば長雨も良くない。とはいえ最近は天候に左右されない植物工場もあるから、そこまでべらぼうに値段が上がるとは思わないけどな。昔から植物工場産だから、きのこ類は値段が安定してるんだよ」
──それは知ってました。でもきのこも昔よりは高いですよね。
「それは電気代も人件費も輸送費も上がってるから仕方ないな。ガソリンが1リットル186円だってさ。やってらんないよ」
──確かに。僕が原付の免許を取った頃は1リットル85円とかでした……。
ご覧の通り、キャベツの値段が安定した理由は「他の春野菜同様、春キャベツの産地が天候の影響をさほど受けなかったから」とのこと。今後の懸念はやはり「天候次第」であるようだ。
また長年業界にいる人ですら「異常」と言っていたので、数カ月前の価格はやはりおかしかったのだろう。このまま野菜の価格が安定することを祈ろう……昔ほど安くはならなそうだけど。
執筆:P.K.サンジュン
Photo:RocketNews24.