レジでも座れる!足腰が辛い立ち仕事の現場にイスを導入すると…その成果と未来
みなさんは一日中、立ちっぱなしで働いた経験はありますか?
辛い立ち仕事を、少しでも楽にしようという取り組みが始まっています。
レジを打つ「ピッピッ」という音が聞こえてくる、見慣れたスーパーの店内。
でも、そこに居る店員さんの姿をよく見てみると…。
お客さんの会計が終わると、用意していた椅子に着席!
立ち仕事であっても、イスに座れる…そんな時代がやって来るかもしれません。
連載「じぶんごとニュース」
“座ってイイッス プロジェクト”始まっています!
アルバイト情報サイト『マイナビバイト』では、2024年から立ち仕事にイスを導入しよう!と呼びかけるプロジェクトをスタート。
『マイナビバイト』は、立ち仕事をするパートやアルバイトを対象にアンケート調査を実施しました。
イスに座れないことの影響を聞いたところ「集中力が落ちてミスが起きた」「笑顔で接客できなくなった」という回答のほか、「辞めたいと考えるようになった」という声もありました。## だいぶ楽になった…
企業側も、働きやすい職場環境を作ろうと、これまでに全国199社がプロジェクトに参加しました。
プロジェクトに参加した企業の1つが、道南ラルズが運営する、函館の『スーパーアークス戸倉店』です。
店のリニューアルにあわせて、試験的にレジにイスを導入しました。
レジを打つ時は、これまで通り立っていますが、客が途切れるとイスに座ります。
店員からは「だいぶ足も楽になりました」と好評の様子。
“座ってイイッスプロジェクト”がデザインしたイス。
小さな座面に浅く腰掛ける形で、立ち上がるときもラクラクです。
イスの導入を、買い物客はどう見ているのでしょうか。
「何とも思わない。違和感ないです」
以前、レジの仕事をしていたという女性は、自身の体験を重ねてこう話します。
「ちょっと腰掛ける所があればな…と昔思っていた。今そういうのが出来て、うらやましい」
イスがあることで、長く働いてもらえることを、店側は期待しています。
スーパーアークス戸倉店の金濵泰明店長は「『膝が痛い』、『腰が痛い』、『立ちっぱなしはきつい』と、退職する人が結構いましたので、今回イスが導入されて職場環境がすごくよくなったと思う」と話していました。
道南ラルズでは、4月からさらにもう1店舗でイスを導入する予定です。
そして、この動きは札幌でも…。
疲れが減れば、いいサービスにもつながる
ホテルビスタでは、従業員の健康を大事にしようと、札幌をはじめ、全国15のホテル全てで、フロントにイスを導入。
混雑する時間帯を除き、接客をしていない時は、イスに座れるようにしました。
これまで、特に女性従業員はヒールがついているようなパンプス姿で働いているため、足や腰に負担がかかり、「我慢をしながら」仕事をすることも多々あったといいます。
ホテルビスタ札幌[大通]の北麻里子さんは「疲れが軽減するようになり、その分お客様によりよいサービスを提供できると思います」と話していました。
『ホテルビスタ』では、妊娠中の女性スタッフもいて、合間にちょっと座れることが助けになっているそうです。
立ち仕事を支える小さなイスが、誰もが働きやすい職場作りに一役買っています。
今回、取材したスーパーやホテルでは、これまでのところ、利用客からのクレームはないとのことです。
そして今、さまざまな立ち仕事の現場に、イスが導入され始めています。
こんなところも座ってイイッス!
①【山形県・警備会社】
・交通誘導の警備員にイスを用意。車が来ないときなどに安全に配慮しながら座る
②【長崎県・諫早市役所】
・ロビーの案内窓口の担当者が、市民の応対がない時に座る
③【沖縄県・にぬふぁ保育園】
・調理場で、野菜を切ったり、洗い物をしたりする人が座って作業
国の労働安全衛生規則では『立ち仕事で座る機会がある場合は、事業者がイスを備える』ことが定められています。
企業側が、もっと意識を変えていかなければならない、そんな必要に迫られている時代ともいえそうです。
労働力不足が深刻化する中、年齢を重ねた世代も活躍する時代になっているので、従来の考え方をアップデートしていく必要があります。
何よりも“座ること”で、結果、元気に働くことができれば、仕事そのものの質も向上していくことにつながります。
どんどん広がっていくことは、誰にとってもプラス効果がありそうです。
文:HBC報道部
編集:Sitakke編集部あい
※掲載の内容は「今日ドキッ!」放送時(2025年1月28日)の情報に基づきます。