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片瀬漁港 ダイビング拠点を整備 地域活性や藻場再生視野

タウンニュース

ダイビングステーションが整備される片瀬漁港(上)、江の島海底のソフトコーラル(左下・提供)、過去の磯焼け調査(右下・同)

海底の海藻が減少する「磯焼け」対策や漁港を中心とした地域活性化を目的に、NPO法人江の島・フィッシャーマンズ・プロジェクトと江の島片瀬漁業協同組合、藤沢市の3者が共同体として片瀬漁港にダイビング拠点の整備等を進めている。今月下旬から漁港の荷捌き場の改装が始まり、11月には啓蒙イベントの開催が予定されている。

国が「海業」として漁村を活性化する取り組みを推進するなか、同法人を中心とする3者は海藻養殖やダイビングステーションの設置などを盛り込んだ「ブルーカーボン江の島」事業を企画。今年6月に神奈川県の「かながわ海業モデル創出事業」に採択された。

事業は「海藻養殖事業」「ダイビングステーション」「江の島の海を守ろうフェスタ」の3つがテーマ。

海藻養殖では、カジメの藻場を作ることで、小魚の産卵場確保や貝類の資源回復を見据える。「磯焼けの影響で貝類の漁獲量が落ちており、アワビはほぼとれなくなった」と同法人の北村治之理事長は話す。

海藻減少の原因は海水温上昇や魚による食害などが考えられるが、調査で毎年海藻の幼体が確認できることから、保護網など対策を講じて再生を目指す。同法人では10年以上前からワカメ養殖に取り組み、藻場保全に成功している実績もある。

ダイビングステーション整備では、潜水用タンクに酸素を充填するコンプレッサーを港内に設置。協力するダイビングショップに船とタンクをセットにしたツアーを販売し、一般のダイバーに藻場再生に協力してもらう「江の島ecodiving」を開催する。

江の島の海底では、ソフトコーラルというサンゴが自生しており、ダイビングスポットとしての魅力がある。藻場再生に携わることで、環境問題への意識向上にもつなげたい考えだ。

漁港内でタンクの充填が可能になることで、藻場保全作業の負担軽減や経費削減になり、タンクの販売収益は事業の継続性にもつながる。秋以降、海水の透明度が上がるダイビングシーズンには各取り組みを開始する予定だという。

環境保全や海の恵みを周知するために、11月には「江の島の海を守ろうフェスタ」を開催。海底観察の様子や漁業の座学、タッチプールなどの体験コーナーなどで楽しみながら海を学ぶ企画を予定している。

北村理事長は「事業が採択されたことで設備投資でき、ありがたい。海藻の再生やダイビングの活性化などで、将来的に継続できる体制を作っていけたら」と話す。

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