新春市長インタビュー まちのにぎわい加速へ 観光客増で受け入れ体制強化
2025年の幕開けにあたり、本紙は鈴木恒夫藤沢市長に単独インタビューを行った。地震や豪雨、猛暑など自然災害に翻弄された昨年。一方でコロナ禍が落ち着いたことで、インバウンド需要が高まるなど、市内の景気は回復の兆しを見せた。まちのにぎわいをさらに加速させる今後の取り組みや施策、市政運営などについて話を聞いた。(聞き手/編集長・磯谷拓)
――まずは昨年を振り返って、ご所感をお聞かせください。
「元日の能登半島地震からはじまり、8月の日向灘を震源とする地震に伴い、南海トラフ地震臨時情報『巨大地震注意』が気象庁から初めて発表されるなど、市民の皆さんにとっては改めて災害への備えを考える機会になったと思います。また、コロナ禍で自粛していたイベントが再開し、まちに活気が戻った年でもありました」
――市内の経済状況と今後予定する施策は。
「コロナ禍で大きく落ち込んだ景気は、全体として緩やかな回復を続けています。特に堅調な個人消費を背景に、観光関連・外食産業が好調を維持。しかし資源価格の高騰や円安の影響などによるインフレ圧力が続いており、市内の中小事業者や農業者は、仕入れコストや燃油価格の上昇、肥料・飼料価格の高騰への対応を迫られています。家畜飼料価格の高止まりにより、畜産経営を圧迫していることを踏まえ、市では離農を防ぐことなどを目的に、昨年10月から今年3月まで飼料購入に係る経費の負担増に支援を実施しています」
――観光分野についてはいかがですか。
「おととしの市内観光客数は約1960万人、年間観光消費額も1085億円を超え、いずれも過去最高の数値を記録しました。今後は『年間観光客数2千万人』を目標に掲げ、滞在時間の長期化や回遊性向上による宿泊型観光の促進、観光消費の拡大に努めていきます。オーバーツーリズム対策では、昨年3月に江の島エスカーや江の島サムエル・コッキング苑入口に、キャッシュレス対応の自動券売機や改札機を導入。また江の島以外の市北部で旅行ツアーの試行などを行い、市内の総合的な入込観光客数を増やしていきたいです」
――海水浴場もにぎわいを取り戻しましたか。
「昨年の市内海水浴客数は約150万人で、前年比約8%増となり、コロナ禍前にあたる2019年の水準にほぼ戻りました。誘客イベントのほか、関東にある海水浴場では初のドローンによる花火ショーも好評でした。また、バリアフリー仮設トイレを鵠沼海岸に試行的に設置。車椅子での移動が可能な段差解消用スロープや水陸両用車椅子の貸し出し、バリアフリーマットを設置するなど、今後もインクルーシブな海水浴場を目指していきます」
【1月10日号に続く】