JR貨物が列車運行停止 ヤマト運輸などの配送に遅れ 藤井氏「データの改ざんがどういう種類のものかを、しっかり把握する必要がありますよね」
9月12日の「おはよう寺ちゃん」(文化放送)では、木曜コメンテーターで京都大学大学院教授の藤井聡氏と寺島尚正アナウンサーが、JR貨物の列車運行停止に関するニュースについて意見を交わした。
藤井氏「今の段階では、もう少し引いた評価っていうのが大事」
JR貨物は11日、全ての貨物列車の運行を停止した。車両部品の組み立て作業で新たなデータ改ざんの可能性が判明したため。鉄道輸送は日本の物流網の一翼を担っている。同日夕方から順次再開しているが、ヤマト運輸などの配送が遅れるなど影響が出ている。
JR貨物は機関車とコンテナ車で計7000以上の車両を抱える。農産品や化学品、石油など重量のある品目の輸送を得意とする。国内貨物に占める鉄道輸送の割合は数%ではあるが、関東から九州など長距離輸送の要を担う。
同社は10日、車輪に車軸を取り付ける作業で検査のデータ改ざんがあったと発表した。軸を押し込む圧力の値が基準を上回った場合に、基準値内に収まるようにデータ改ざんして検査記録表を作っていたという。対象は564両あり、圧力が基準値を超えると車軸などに傷がつき、強度が弱まる恐れがあるとしている。
寺島アナ「企業のこうした不正が物流に大きな影響を与えるということなんですが、藤井さん、これはどうお考えでしょうか?」
藤井氏「皆さんあんまり気づいてなかったでしょうね。『JR貨物なんて、あんまり関係ないやろ、自分の生活に』って思っていたでしょうけども、実はすでにこうやって影響が出ているんですよね。たとえば我々の仲間でもJR貨物に就職している同級生とかいるわけですよ。貨物っていうのは重要なインフラの一つで、すごくマイナーなんですけど、誰かがずっと担い続けないといけないっていう企業なんですよね。こうやって少し止まるだけでもこれだけインパクトが出てくるっていうこととして、基礎インフラってほんと大事なんだなっていうことを、これを機会に理解してもらいたいなとは思うんですが、この改ざんっていうのが何なのかなっていうのが僕らにはちょっとわからないですよね」
寺島アナ「そうですよね」
藤井氏「トヨタの改ざんって言われていたやつだって、あれは内容をよく知れば実はそんなに深刻な問題ではなくて、制度が厳しすぎるほうが問題だったっていうことだと僕は言ってもいいと思いますけどね。前回のやつだけですよ? 常にそれでいいと僕は言っているわけじゃなくて。だからこのデータの改ざんっていうものが一体どういう種類のものかっていうのを、しっかり把握する必要がありますよね。場合によっては、検査が不条理に厳しすぎるんだったら、それを緩和したらいいんやないかっていうことにはなるだろうし、JR貨物がすごく重要な検査をこうやって嘘ついていたんだったら『危ないやないか、お前』ってことになりますから、ちょっと今この段階では、もちろん法令違反自体がダメだからダメなんですけど、もう少し引いた評価っていうのが大事じゃないかなとは僕は思いますね」