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時代に合わせた制度を次々に導入 サイボウズ・青野慶久社長が語る「変化への対応力」の身に着け方

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時代に合わせた制度を次々に導入 サイボウズ・青野慶久社長が語る「変化への対応力」の身に着け方【求人ボックスジャーナル】はたらき方やキャリアを考える機会を創出するメディア

あらゆる組織のチームワーク向上に貢献するグループウェアを開発・提供する、サイボウズ株式会社。創業者の1人で代表取締役社長の青野慶久さんは、多様性を認めた働き方改革を推進し、2024年には日本経済新聞による調査で「働きがいと働きやすさを両立したプラチナ企業」の1位にサイボウズがランクインしました。フレキシブルな働き方を多数取り入れてきた青野さんに、変化への対応力を身に着けるヒントや柔軟な思考の原点について伺いました。

変化に対応するコツは「スモールスタート」と「やめる勇気」

Q. 青野さんは時代の変化や社会が求めていることを察知し、サイボウズでさまざまな働き方を取り入れていらっしゃいますが、これまで採用されなかったり途中で廃止したりした制度はありますか?

もちろんたくさんありますよ。たとえば、みんなに強硬に反対されたのが、私が提案した社内取締役の男女比の割合を1:1にする社内取締役選任制度の変更案です。「時代を読んでいますね」と言ってもらえると思ったら、「数合わせだけしてどうするんですか?」という反応で…。社内から70件ほどの意見が集まって、反対多数で見送りました。

こうした議題は全社員に公開されていて、入社したばかりの社員であっても意見を投じることができます。逆に言えば「 文句があったら言う。あとで愚痴れない 」ということです。当社では「質問責任」と呼んでいますが、そういった“掟”を設けているので、みんな必死に意見を言うんです。

Q. 日々、働き方に関する多種多様な提案や意見が社内で飛び交っていることが想像できますが、そういった環境などの変化に柔軟に対応するコツは何でしょうか?

まず、世間でよく言われている「スモールスタート」だと思います。例えば、リモートワークを導入するのも、 いきなり全社員でやるのではなく「この部門だけ」「この期間だけ」といった形で徐々にやる 。やってみて学びを得て、次どうしようかって議論するんです。一気に制度が変わるとみんなびっくりしたり、抵抗したりしますが、少しずつ取り入れてその環境に慣れてくるとあまり気にしなくなるので、比較的変化に対応しやすいんです。

また、「やめる勇気を持つ」ことも大切です。制度が作られていく一方で、「使う人がいないのでやめます」という話も聞きますよね。制度を作って終わりではないんです。 実際にやってみることで良いか悪いか分かることもありますし、社会環境や社員それぞれの事情も変わり続けています 。だから、 「合わなかったら元に戻せばいい」という気持ちで制度を変えてみることが大事 なのではないかと思います。

新制度の採用基準は「生産性向上」と「個人の幸福」のマッチング

Q. 働き方に関するたくさんの提案の中には、青野さん個人としては反対だと思うものもあったのではないですか?

そうですね、最近もありましたよ。自社製品の「kintone」というツールを社内でも使っているのですが、社員の名前とともに顔写真がアイコンとして表示される仕組みになっているんです。リモートワークでも相手の顔は分かったほうが良いと考えて、当社では個々の顔写真を登録する決まりを作っていました。

ところが、「顔写真を登録したくない」という人が出てきたんです。イラストとか、顔写真ではない画像を登録したいと。僕からしたら「一緒に働いている人に顔を見せたくない」という意味がわかりませんでしたが、僕には制度を取り入れるかどうかを決定する権限はありません。決めるのは各本部を管轄している本部長。僕は彼らに対してフィードバックをする立場なので、他の社員と同じように、一意見として賛成・反対と言うだけです。

僕は反対意見を述べましたが、結果的にこの提案は通りました。今は、 それで社員が安心して働けるのならいいのかなって思っています 。

Q. そうした制度の採用の可否は、どんな考え方が基準になっているのでしょうか?

チームとしての生産性向上と個人の幸福を両立・マッチングできるか 、という視点を持ちながら制度を決めています。「こんな制度を作ってほしい」となった時に、それによってチームの生産性がどれくらい上がるのかを同時に考えるんです。

社員も、その点を提案に盛り込んできます。例えば、「営業先から次の営業先への移動中にできる空き時間にカフェでコーヒーを飲みながら働きたいから、コーヒー代を会社で負担してほしい」という提案がありました。「いやいや、これはありえないでしょ」と思うかもしれませんが、「それぞれが空き時間を有効に活用できれば、チームとしても生産性が上がるから、非常にコストパフォーマンスの高い投資です!」と熱くプレゼンされたので、制度に取り入れました。

もちろん、自分のことしか考えていないただのわがままであれば採用しませんが、個人の幸福とチームの生産性向上がマッチングするのであれば、新しい制度はどんどん取り入れていきたいですね。

次に取り入れたいのは、社員が政治に挑戦しやすくなる制度

Q. 青野さんはこれまでに十分すぎるくらい、社内で働き方改革を推進されたと思いますが、次に取り入れてみたい制度はありますか?

最近、「こんな制度があったらよさそう」と思ったのが、 政治家になったあと、会社に戻ってこられる制度 。例えば、「区議会議員をやります」と立候補して、何年かして「自分のやりたいことがやれたので戻ってきます」という人を受け入れられる制度を作りたい、と誰か言い出さないかなと思っています。

立候補したところで当選するかわからないですし、任期満了後のキャリアへの不安もあるので、立候補するハードルが上がったままですよね。でも、会社勤めしている人が、現場の感覚を持ったまま政治活動ができる時代になったほうがいいと思うんです。戻れる制度があったら、みんなもう少し街や国を良くする活動に参加しやすくなるのかなと思います。

プロフィール

青野慶久(あおの よしひさ)

大阪大学工学部情報システム工学科卒業後、松下電工(現パナソニック)を経て、1997年に愛媛県松山市でサイボウズを設立。2005年に代表取締役社長に就任。多様な働き方を実現できるさまざまな人事制度を取り入れている。

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