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複業は副収入が目的ではなくなった? 元公務員が選んだ価値観とは?

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かつて「複業」は副収入を得るための手段と見なされていた。だが今、それは生き方そのものを指すようになってきている。行政書士であり、ドローンインストラクターであり、まちづくりの担い手でもある野澤さんの姿は、その変化を体現している。

もともとは岡崎市役所の公務員として長年勤めた野澤成裕さん。地域行政の現場でまちづくりや地域福祉、コミュニティ支援に携わってきた。だが、制度の限界や一人ひとりの“声”が見えにくくなる組織の仕組みに、次第に違和感を覚えるようになる。

「制度に合わせるのではなく、人の暮らしに寄り添いたい」。そうした思いが募り、退職後は行政書士として独立。さらに、地域課題の現場で活かせる“新しい視点”として、ドローン操縦や空撮技術のスキルも身につけた。

「ドローンなんて最初は畑違いだと思っていたけれど、空からまちを見下ろすと、土地の使われ方や人の流れが全然違って見える。これはまちづくりにも活かせると思ったんです」

行政手続きや地域支援、まちづくりプロジェクト、技術講習の講師など、肩書きは一つではない。だが、どの仕事にも通底しているのは「人の営みを支える」という一貫した価値観だ。

「“複業”って言うと器用にいろんな仕事をこなしているように見えるけれど、実際には一つの軸から枝葉を伸ばしていくような感覚。自分の信念に根ざしていれば、やることが増えてもブレないんです」

複業的に生きることは、単なる収入の分散ではなく、人生の中に複数の“居場所”を持つことでもあるという。ある日は相談者の人生に伴走し、ある日は山奥の集落で高齢者と一緒に草刈りをし、ある日は学生にまちづくりの講義をする。バラバラに見える日々の営みが、「人と社会をつなぐ」という一点でつながっている。

「ひとつの仕事だけだと、うまくいかないときに全部が揺らいでしまう。でも、いくつかの軸があると、どれかが沈んでもどれかが支えてくれる。そうやって全体がしなやかになるんです」

さらに、「複業」は自己実現だけでなく、社会全体のレジリエンスにもつながると語る。多様な人が、多様な関わり方で社会に参加していくことで、制度に依存しすぎず、自律的に動く地域社会の基盤が築かれる。

「いろんな肩書きを持つことで、誰かの悩みに“どこからでも応答できる”ようになる。専門家でもあり、近所のお兄さんでもあり、役所の仕組みにも詳しい人。そういう多面性が、信頼関係の土台になると思います」

公務員時代には「公の人」として、今は「個の人」として。働き方は変わっても、「人と社会の間に立つ」あり方は変わらない。複業は、点を増やすことではなく、むしろ軸を深めていくことなのかもしれない。

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