ノーベル賞吉野さん講演 「やればできる」 脱炭素社会へ展望
リチウムイオン電池の開発に貢献し、2019年にノーベル化学賞を受賞した吉野彰さん(76)が3日、湘南大庭市民センターで開催された夏祭りイベントに登場した。「サイフォンの原理」と題して講演。県立藤沢西高校の理科教諭ら協力のもと、実験やスライドを交えながら脱炭素社会に向けた展望を語った。
1978年から湘南ライフタウンに居を構える吉野さん。「夏休みに子どもたちの心に残るような内容を伝えられれば」と、近隣に住む小学生からのリクエストを受けて参加を決めたという。地元での講演会は初。
マイクを握った吉野さんはパソコンやスマートフォンができた経緯などを例に挙げ、「絶対不可能と言われたことでも、いとも簡単に実現する。常識にとらわれない自由な発想が大切。長い準備期間はあるけれど、始まってしまえばあっという間に広がっていく」と過去を振り返った。その後、人工知能で無人運転機能をもつ電気自動車「AIEV」が活躍する動画を見せ、「サステナブルな未来が待っている」と説明した上で、2050年カーボンニュートラルの実現について「やればできる」と締めくくった。来場者は興味深そうな表情で吉野さんの話に聞き入っていた。