ヴィシュヌの10の化身とは?【眠れなくなるほど面白い 図解 世界の神々】
ヴィシュヌの10の化身
世界を危機から救うために戦い続けた神
前項でヴィシュヌは、さまざまな神々と習合し、その力を強大化したと述べました。そのため、ヴィシュヌは10もの別の姿と名前を持っています(20、2という説も)。
世界が悪や混乱におおわれそうになったとき、ヴィシュヌは神々や人間を救うために、動物やほかの神などに変身して、この世に訪れます。
マツヤという魚に変身して大洪水を予言したり、クルマという亀に変身して海底に沈み大海の乳海撹拌に協力したり、ヴァラーハという緒に化け、沈みかけた大地を引き上げたりと、人間も神も分け隔てなく救出します。
またあるときは、体は人間・頭は獅子の半人半獣となり、またあるときは、小人に変身とまさに変幻自在。
インドの2大叙事詩と称されるラーマーヤナとマハーバーラタの英雄も、ヴィシュヌの化身とされています。ラーマーヤナでは主人公のラーマ王子。弓が得意な理想の戦士です。一方、マハーバーラタではクリシュナという勇敢な英雄です。
仏教の始祖・仏陀も、ヴィシュヌの化身そして、最後の化身はカルキー。44万2000年後のこの世の終末に、白馬に乗って現れ、世界を救うと信じられています。
※クリシュナ:クリシュナ自体、古くから崇拝を集めた神。不思議な力を持った幼児、誰もが聞き惚れる笛の名手の闘いなど、さまざまな姿で広く親しまれてきた。
ヴィシュヌの10の化身
ラーマ王子
弓の名手で、永遠に途絶えることのない矢も持っている。英雄らしく好青年として描かれる。国を追われ森で住むことになる。腕には修行者を表すアクセサリーをつけている。
ヴィシュヌの7番目の化身。ラーマーヤナの主人公で、コーサラ王国のラマ王子。武勇に優れた心優しい戦士。
クリシュナ
頭にクジャクの羽をつけ、ヴィシュヌを表す U 字のマークを額に掲げる。素性を隠すため牛飼いに育てられた。この「牛飼いのクリシュナ」像では横笛を持った姿で描かれる。
ヴィシュヌの8番目の化身。叙事詩のバガヴァッド・ギーダーやマハーバーラタに登場する英雄。
そのほかの化身
クールマ(亀)…魔人に対抗できる不死の霊水を手に入れるため、亀となり海底へ沈んだ。ヴァラーハ(猪)…悪魔が大地を水底に沈めたので、猪となって大地を引き上げた。ナラシンハ(人獅子)…魔人との戦いで変身ヴァーマナ(小人)…魔王との駆け引きで変身パラシュラーマ…斧を持つラーマの姿。1000もの腕を持つ敵と戦った。マツヤ(魚)仏陀…仏教の始祖・釈迦。カルキー…最後の化身。43万2000年後のこの世の終末に、白馬に乗った姿で現れる。
【出典】『眠れなくなるほど面白い 図解 世界の神々』監修:鈴木悠介