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大阪で『広重 ―摺(すり)の極(きわみ)―』まもなく開催、音声ガイドは落語家の春風亭一之輔に決定

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『広重 ―摺の極ー』

7月6日(土)~9月1日(日)の期間、大阪・あべのハルカス美術館にてあべのハルカス美術館開館10周年記念『広重 ―摺(すり)の極(きわみ)―』が開催される。

【後期展示】「東海道五拾三次之内(保永堂版) 箱根」 横大判錦絵 ジョルジュ・レスコヴィッチ氏蔵 (c)Fundacja Jerzego Leskowicza (c)Michal Grychowski (AMG)

歌川広重は、北斎とともに浮世絵版画の世界に風景画と花鳥画のジャンルを確立した人物。国民的な浮世絵師ともいえる知名度と人気を誇る広重だが、大規模かつ総合的な展覧会は近年開催されていない。そこで同展では、初期から晩年までの画業を総覧。三大揃物の「東海道五拾三次(保永堂版)」「木曾海道六拾九次」「名所江戸百景」各シリーズの代表作を一堂に会することで、広重作品のすばらしさを再確認するとともに、あまり知られていない魅力的な作品を紹介し、広重のトータルなイメージを再構築する。

【後期展示】「東海道五拾三次之内(保永堂版) 庄野」 横大判錦絵 ジョルジュ・レスコヴィッチ氏蔵 (c)Fundacja Jerzego Leskowicza (c)Michal Grychowski (AMG)

音声ガイドのナビゲーターは落語家の春風亭一之輔が務める。あべのハルカス美術館の浅野秀剛館長をはじめとした、無料の講演会や美術講座も開催予定。展示構成は下記の通り。

展示構成

第1章 雌伏の時代 文政期(1818~30)

広重が保永堂版「東海道五拾三次」で浮世絵師としての名声を確立する以前、雌伏の時期の美人画、役者絵、武者絵や時事主題の作品、摺物などを展示。

第2章 名所絵開眼 天保(1830~44)前期の名所絵

広重が独自のスタイルを確立した初期の風景画から、大ヒット作となった保永堂版「東海道五拾三次」、そして、名所絵の広重の名を確固たるものにした、上方や江戸の風景画シリーズを展示。

【前期展示】「東海道五拾三次之内(保永堂版) 蒲原」 横大判錦絵 ジョルジュ・レスコヴィッチ氏蔵 (c)Fundacja Jerzego Leskowicza (c)Michal Grychowski (AMG)

第3章 名所絵の円熟 天保(1830~44)中後期の名所絵

保永堂版「東海道五拾三次」の後の重要なシリーズであり、広重の名所絵の完成形ともいえる「木曾海道六拾九次」をはじめ、「本朝名所」(15枚揃・全図を前期展示)、「江戸近郊八景」(8枚揃・全図を後期展示)など、広重の魅力が遺憾なく発揮された風景画の数々を展示。

第4章 竪型名所絵の時代 弘化から没年(1844~58)の名所絵

風景画を多作していた広重は、自己模倣に陥ったかのように新鮮味が失われていくが、「六十余州名所図会」のシリーズで、新たに縦長の構図に工夫を試み、その努力の成果として、最晩年の代表作「名所江戸百景」が結実した。

【後期展示】「名所江戸百景 大はしあたけの夕立(舟二艘)」 大判錦絵 個人蔵

第5章 広重の花鳥画

広重は名所絵において浮世絵史上最大の絵師であると同時に、花鳥画の分野でも最大の絵師であった。大短冊、中短冊、魚づくしなど、広重花鳥画の代表的な作品を展示。

第6章 美人画と戯画

名所絵師として売り出して後、広重が再び美人画に筆を取り始めた天保末頃からの大判3枚続の美人画作品や、滑稽本「東海道中膝栗毛」を題材にした「道中膝栗毛」「膝栗毛道中雀」など、戯画風の作品を展示。

第7章 多彩な活動

文学作品と融合した名品「和漢朗詠集」をはじめ、浄瑠璃(芝居)をモチーフにした作品、張交絵、絵半切、絵封筒、絵双六、千社札、絵入版本など、広重の多様な作品群を紹介。

第8章 肉筆画の世界

広重が甲府に招かれて制作した道祖神祭りの大型の幕絵が、2点のみ現存しており、前期・後期に1点ずつ展示。また、出羽天童藩織田家の依頼を受けて制作した、俗に「天童広重」と呼ばれる掛軸作品や版画の版下絵など、肉筆作品を展示。

【前期展示】「名所江戸百景 深川洲崎十万坪」 大判錦絵 ジョルジュ・レスコヴィッチ氏蔵 (c)Fundacja Jerzego Leskowicza (c)Michal Grychowski (AMG)

チケットはイープラスにて販売中。

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