舞台『ハリー・ポッターと呪いの子』榊原郁恵・高橋ひとみ・松井玲奈がロンドン女子旅へ 聖地巡りやロンドン公演を観劇
TBS赤坂ACTシアターにてロングラン上演中の舞台『ハリー・ポッターと呪いの子』。本公演は、今年7月に4年目に突入する。そんな節目を前に、2022年の日本初演からマクゴナガル校長役を務め、6月26日で卒業する榊原郁恵と高橋ひとみ、 7月から新たにハーマイオニー・グレンジャー役としてデビューする松井玲奈の3名が、「ハリー・ポッター」シリーズの故郷・イギリス ロンドンを訪問。ツアー密着ムービーとともにその模様が公開された。
卒業とデビューという大きな転機を迎えるキャスト3人が、舞台・映画・原作と多層的に広がる「ハリー・ポッター」シリーズの世界を、実際のロケ地や関連スポットを訪ね、生の世界観を肌で体感。さらに、ロンドン・ウエストエンドで上演中の本国公演を観劇し、現地キャストとの交流や舞台裏の見学など、特別な時間を過ごした。
ゆかりの地を巡る——ロンドンの魔法の足跡を訪ねて作品世界を辿る、聖地巡礼の一日
ロンドンに到着した榊原郁恵と高橋ひとみ(共にマクゴナガル校長役)は、さっそく「ハリー・ポッター」シリーズの世界を体感できるロケ地ツアーへ。撮影地として知られるキングス・クロス駅やレドンホール・マーケット、ホグワーツ魔法魔術学校の大広間のモデルとされるオックスフォード大学のクライストチャーチ・カレッジなど、魔法の世界と現実が交差する聖地を訪れた。
キングス・クロス駅——物語のはじまりの場所
まず訪れたのは、ホグワーツ魔法魔術学校へと向かう「9と3/4番線」が存在することで知られるキングス・クロス
駅。実際の9番線と10番線ホームの改札を見学したほか、「カートを押しながら勢いよく柱に入っていくシーン」の撮影に使われた柱にも足を運んだ。フォトスポットでは榊原郁恵がグリフィンドール、高橋ひとみがスリザリンのマフラーを身につけ、カートとともに記念撮影を楽しむ姿も。
「舞台と映画と実際のもの全てがマッチしすぎていて不思議な気分。大人気な様子を見て、『私たちマクゴナガルなのよ~!』ってワクワクしました」 (榊原郁恵)
「フォトスポットが映画そのままで感動。全ての始まりの地ですね。人気の理由がよくわかります」(高橋ひとみ)
クライストチャーチ・カレッジ(オックスフォード)——ホグワーツ魔法魔術学校 大食堂のモデル
ホグワーツ魔法魔術学校の大広間のモデルとされる、オックスフォードのクライストチャーチ・カレッジを訪問。敷地内の様々な場所で実際に撮影が行われた、まさに聖地と言える場所に二人は目を輝かせ、それぞれの舞台経験を重ねながら見学した。
「オックスフォード大学の“学び合いの精神”は、ハリー・ポッターのカンパニーにも通じている。年齢や経歴に関係なく、刺激し合い、リスペクトし合う舞台の空気と、とてもよく似ていると感じました。」(榊原郁恵)
「わたし達も日々全力で支え合い、常に仲間が側にいると実感している。ここ(オックスフォード大学・舞台『ハリー・ポッターと呪いの子』)を卒業したらきっと世界の見え方が違うと思います。」(高橋ひとみ)
その他の聖地──歴史と物語が交差する空間
キングス・クロス駅のほかにも、1881年に建設されたレドンホール・マーケットやセントパンクラス駅など、ハリー・ポッターのゆかりの地として知られる名所を巡った。レドンホール・マーケットにて、居酒屋「漏れ鍋」(映画「ハリー・ポッターと賢者の石」)への入り口が撮影されたとされる通りを歩いた榊原郁恵と高橋ひとみは、「ここをハグリッドとハリーが歩いたのかと思うとテンションが上がる」と声を弾ませ、現地の賑やかな雰囲気とともにその世界観を楽しんでいた。
ロンドン公演を観劇——“本場の魔法”に触れる体験
ロンドン・パレスシアターで、松井玲奈(2025年7月よりハーマイオニー・グレンジャー役)と合流し、ウエストエンド パレスシアターで上演中の舞台『ハリー・ポッターと呪いの子』を観劇。東京公演は新バージョンによる短縮版のため、一部・二部あわせて約5時間におよぶオリジナル版の観劇への期待も高まった。
「お客さんが一緒に盛り上がって、観ている側も出演者のような気持ちになれました」(松井玲奈)
「日本人よりも観客の皆さんの感情表現が豊かで、ナチュラルに物語が深く入ってきました。東京では劇場が大きいので大きく伝えることを意識しがちだけど、ここでは自然体で届いている印象です」(榊原郁恵)
「テンポが速く場面転換も多いのにとても分かりやすい。自分が演じているシーンもまるで違って見えたのが面白かったです」(高橋ひとみ)
グッズ売り場では、幕間で装飾も物語に合わせて変化するなど、劇場全体で“魔法の物語が進行していく”感覚を存分に味わった。松井玲奈はTシャツやマグネットを、高橋ひとみと榊原郁恵はマグカップやトートバッグなどを購入した。終演後には特別に舞台上やバックヤードに入らせてもらい、キャスト視点で劇場を見学する体験も。3人は劇場の荘厳な造りや高くそびえる客席に圧倒されながら記念撮影を楽しんだ。
ロンドンキャストとの交流
最後に、ロンドン公演でマクゴナガル校長役を演じるデブラ・ローレンス(Debra Lawrance)とハーマイオニー・グレンジャー役のナナ・アジェイ=アンパドゥ(Naana Agyei-Ampadu)と交流。同じ役同士の温かな会話が交わされた。
松井玲奈「7月からハーマイオニー役で出演予定です」
ナナさん「私も出演し始めてからまだ8週間。最初は何が起こっているのか分からないほどだったけど、すべてがあなたを守るために動いているから大丈夫」
榊原郁恵・高橋ひとみ「マクゴナガル校長役を演じる上で大事にされていることは何ですか?」
Debra Lawrance「私はマクゴナガルを愛している。昔のヴォルデモートの戦いで沢山の愛する人を亡くした彼女だからこそ、復活させてはならないという想いは人一倍強いのよ」
「マクゴナガルが一番恐れているのはヴォルデモートが戻ること。でも、ハーマイオニーが一番恐れているのはマクゴナガル先生に怒られることよ」とDebra Lawranceが話し笑いが起こる場面も。
また、日本からのお土産として手拭いをプレゼントすると、2人は大喜び。作品を通じて育まれた国境を越えた絆が感じられるひとときとなった。
劇場を後にする際には、「THE WORLD’S GREATEST ARTISTES HAVE PASSED AND WILL PASS THROUGH THESE DOORS(世界の最も素晴らしいアーティストがここを通過し、また今後も通過するでしょう)」という文字が刻まれた楽屋口のドアを通過し劇場外へ。夢のような一日は、深い余韻とともに締めくくられた。
卒業を前に——3年間で育まれた想い
ーー3年間を振り返っていかがでしたか?
高橋:長いようであっという間でした。榊原さんは最初の1カ月間、ずっと出演されていて、“最初のマクゴナガル先生”として作品を作り上げたことは本当に特別だったと思います。
榊原:“作り上げていく”というプロセスを経験したからこそ、感動の種類も違います。ずっと続いていくものだと思っていたけれど、卒業が近づくとすごく感慨深くなって…。“みんなの親のような気持ち”で舞台に立っているような感覚があります。マクゴナガル先生の役柄が、自然とそうさせてくれたのかもしれません。
高橋:実際、普通に“校長先生”って呼ばれたりもして(笑)。私生活でも“校長先生らしくいなきゃ”と思うようになっていました。
ーーこの舞台ならではの特徴や、他の作品との違いは感じましたか?
高橋:ここまで作品やキャストを大事にしていただけることに感激でした。常に細かなチェックが入っていて、衣裳が少しでも緩んでくると、すぐに新しいものが届くんです。いつまでも見守られている感じがして、本当に愛のある現場でした。
榊原:私たちが初めて劇場入りしたとき、普通なら楽屋口から入ってそのまま舞台に立つところを、海外スタッフの配慮で観客と同じようにロビーに集合して、“客席へどうぞ”と案内されて——客席ドアを開けた瞬間、煉瓦造りの重厚感あるセットが目の前に現れて、“いよいよ始まる”という気持ちに自然と気持ちが切り替わりました。そうした丁寧な演出が、本当にこの作品ならではだと感じました。卒業しても、衣裳はちゃんと保管されていると聞いています。
高橋:良かったです! なんか少し置いていける、って思うと…。
笑い合う二人の姿には、3年間この舞台を支えてきた確かな誇りと、マクゴナガル校長のような深い慈愛が滲み出ていました。6月の卒業まで、舞台に立ち続ける二人の姿は、作品にとってかけがえのない“物語の一部”となりそうです。
3年目から4年目へ繋ぐバトン
今回のツアーを通して、作品への向き合い方や世代交代のプレッシャー、そしてロングラン作品ならではの魅力について、3人で深く語り合う様子も見られた。
松井:初めての海外チームとの仕事に不安を感じます。
榊原:サポートは手厚く、稽古はワークショップのようで新鮮だったわ。
高橋:稽古でたくさん引き出してくれるので何も心配はない、大丈夫!
松井:早く稽古に参加したくなりました。
榊原:3年分の積み重ねの中に入るのは大変よね。
松井:過去と比べられるプレッシャーもありますが、自分なりのハーマイオニーを届けたいです。
榊原:変わっていくんだもの。ロングランの魅力ってそこだよね。この舞台で得たものが今後演じる役にも活きてくると思う。
高橋:そうね、役者としての幅が広がりそう!
【ロンドン旅】舞台ハリポタのキャストが、ハリー・ポッターの聖地ロンドンへ!
3人はそれぞれの胸に新たな想いを携えながら、舞台『ハリー・ポッターと呪いの子』の4年目へとバトンをつなぎ、日本への帰路についた。“物語”を受け継ぐ者として、そして新たなステージに向かう俳優として——、それぞれの次なる一歩が静かに動き出す。