街の銭湯を救え
今年、SNS上で、面倒でお風呂に入るのをやめる人を指す「風呂キャンセル界隈」というワードがトレンド入りし、話題になりました。そんな中、若者の銭湯離れなども問題になっており、街の銭湯を守っていく取り組みが広がっています。まずは、ある「改修工事」でV字回復を図っている東京北区にある銭湯、「十条湯」の横山 昭子さんのお話しです。
「十条湯」の横山 昭子さん
うちは銭湯として運営してきたんですけど、2021年に休憩スペースを喫茶店っていう形に作るので、クラウドファンディングで資金集めて、今の喫茶店という形になりました。いろいろなメニューを作ってそれがちょっと若い人に人気が集まるようなメニューをしつらえて、そういうんでインスタに載せてアップしててそれを見た方がいらしてくれて写真を撮ったりとか、一生懸命やってくださって、それがだんだん広まってったのかなって思ってます。若い人がいらしてお風呂ってどうなんだろうって、あの興味持たれて、それで入られるとかなかなか銭湯って足運びにくいなと思っても、帰りに喫茶店を出るから行ってみようとか、そういった感じでいらっしゃってくださる方も多いんではないかなと思います。
・1948年から続くこちらの銭湯。銭湯に併設した休憩スペースを喫茶店にしたが、なかなかお客さんが来ないと言う事で3年前に改めて大改修。
・昭子さんとご主人はお二人とも70代、高齢で一時廃業も考えたそうですが、銭湯の再生などに取り組む企業からのアドバイスにより、改修工事の費用をクラウドファンディングで集めた。(400万)
・その資金をもとに、床や壁、椅子、そして食器なども新しくして、メニューも若者向けに考案。新たな再出発を図った。
・青い色のゼリーにホイップを乗せた深海ゼリー(500円)や昭子さんの作るおかみさんプリン(500)などが人気になり、インスタグラムにアップしてくれる人も増えて、喫茶店のお客さんは順調に伸び、1日数人来ればよかった時から比べて今は週末だと1日30人から50人来ることも。
・相乗効果で銭湯のお客さんも前より多く訪れ、喫茶店の方は若いアルバイトも増えたと言う。今では経営をやめず、街の銭湯として続けていく見込み。
・また、銭湯を守るためには後継者も大切。そんな中、少し前から「銭湯の担い手養成講座」を開いている所もありました。東京都、公衆浴場組合 佐伯 雅斗さんのお話しです。
銭湯の担い手講座
公衆浴場組合 佐伯 雅斗さん
4年前から銭湯で働きたいとか、銭湯経営したいと思っている方にお声掛けをして、まずは銭湯の実際のお仕事のうちで一番大切なお掃除をしていただきながら、銭湯の収支ですとかそういったものを学んでいただいて、その後は様々な銭湯施設で、どのようにしてお湯を作るのかっていう見学をしていただく最後は実際に店番をしていただいて、接客を学んでいただくというものを何日か足を運んでもらって、勉強していただくっていうような講座を開いています。そのステージまで終わった方は我々の方でリスト化させていただいて、人を雇いたいと思っている浴場主さんとかにご紹介をさせていただくということをしています。毎年大体100人ぐらいの応募ですね。
・後継者が居ないは居ないのですが、その背景には、お風呂の事を知っている人でないと任せられない、だったり、銭湯に興味を持っていても、実際の収支の部分だったり経営するにあたって情報が少なく、何から始めたらいいか分からない人も多かった。
・そこで、このような講座を開いて、興味がある人を、興味があるだけでは終わらせず、実際に銭湯の経営者や、人材を探している所に紹介していく仕組みを作った。
・基本的には3日間、お風呂掃除や収支の勉強、そしてお湯の作り方をいくつかの施設を回って学ぶと言う仕組み。受講料は無料。組合としては、とにかく銭湯の未来のために、自分達の仕事以外の時間を使って行っている。
・最近でも、この講座を受けた人の中で、オーナーさんから借り受けてお店をされている方や、店長として働き始めた方などもいらっしゃるそう。
・ただ、このような取り組みだけでは、まだまだ課題が大きいとのこと。再び佐伯さんのお話し。
公衆浴場組合 佐伯 雅斗さん
風呂屋側がですね、実際は貸せるような建物でも、なかなか貸すっていう発想になってくださらない。自分がやらないんだったらもうやめちゃうっていう、すごく短絡的にお店をやっぱり閉めてしまう方が多いので、経営自体はうまくいってても体力がもたないとかなんですよね、まさに高齢化もありますね高齢化じゃなくても怪我しただけでも体が資本の商売なので、そういうときに我々、お店に住んでるのでね、どうしても自分の家に人を入れるみたいな感覚になっちゃうんで、その辺がちょっと難しいとこあるんですけどもその辺の意識改革っていうのがもう一番必要だなっていうふうに思っています。
・興味を持っている人は多いのに、銭湯側が家族経営の中だけで終わってしまうのがもったいないと佐伯さん。お年寄りのコミュニティの場所として守るべく、意識改革も必要とのことでした。
(TBSラジオ『森本毅郎・スタンバイ!』取材:竹内紫麻)