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20年ぶり「2兆円」規模!神戸市が『2025年度予算案』を発表。都心・ニュータウン・森林・里山を再生へ

神戸ジャーナル

画像:神戸市広報公式Xより

神戸市が、2025年度の「予算案」を発表しました。「都心」「ニュータウン」「森林・里山」の3つの再生を軸に編成し、当初予算案の規模は2005年以降、20年ぶりとなる「2兆円台」となりました。

画像:神戸市 市長定例会見資料より

当初予算案の規模は、前年度+5.5%の「2兆331億円」。内訳は一般会計が1兆59億円、特別会計が7,119億円、企業会計が3,152億円となっています。

「2兆円」規模の予算は2005年以降20年ぶりで、一般会計も20年ぶりの「1兆円台」だそうです。

画像:神戸市 市長定例会見資料より

2025年度の予算案は「都心の再生」「既存市街地/ニュータウンの再生」「森林・里山の再生」の3つの再生を一体的に進めて、持続可能な大都市にしていく編成になっています。

「神戸空港」国際化で、交通アクセス・サービスなど強化

画像:神戸市 市長定例会見資料より

会見では、2025年4月18日(金)から国際チャーター便が就航する「神戸空港」にも触れていました。

就航便数は週40便、就航都市は韓国(ソウル)・中国(上海・南京)・台湾(台北・台中)のアジア5都市でスタートします。

国際チャーター便就航においては、快適で利便性が高い環境づくりをすすめ、受け入れ環境を充実していきます。

具体的には「手荷物預かり・配送サービス」を導入するほか、多言語対応も進めていくみたい。

三宮駅のホーム拡張や、空港サクセスバス「マリンエアシャトル」の増便、ポートライナーの混雑緩和を目的としたバス輸送など、交通アクセスも強化します。

「国際定期便」の就航を見据えた対応として、新たな人や物の流れをつくり、双方向に需要を創出して「空港機能」を強化していくそうです。

森林・里山の再生とまちの緑化2軸に「森の未来都市」へ

画像:神戸市 市長定例会見資料より

世界的に「森林」への支援が進められていることと、神戸の強みでもある、市街地の近くに海や山といった自然環境があることを活かして、放置されてきた森林・里山の再生によって、みどりの「再生」と「創出」を一体的に進めていく構想「森の未来都市 神戸」を発表しました。

この構想では「森林・里山の再生」「まちの緑化」を2軸に、市民・企業・NPO・大学など、さまざまな主体と協働して進めるんだそう。

森林・里山の再生では、新たに「里山広葉樹」の循環利用を促進したり、「森林整備活動」への支援制度を創設したりするみたい。

竹林管理や竹林の活用、備長炭製造の事業化、建物解体などで発生する古材のリユース促進など、自然と共生できる「循環型」の取り組みを計画しています。

次世代が里山に親しめるような「人税育成拠点」の整備や、子どもが安心して自由に遊べる「野外の遊び場」づくりも進めるのだとか。

画像:神戸市 市長定例会見資料より

まちの緑化では、街中に木陰をつくる「こうべ木陰プロジェクト」などを継続実施。新たに、都市公園などで樹林を間伐して、明るく見通しの良い空間づくりを進めるそうです。

6つの柱で「グローバル貢献都市」の実現目指す

画像:神戸市 市長定例会見資料より

久元喜造神戸市長は会見で「気候変動対策を見据えた森林の保全・再生はグローバル社会で関心が高い。新しい国際都市への進化に向けた攻めの予算だ」とコメント。6つの柱を設定して、グローバル貢献都市実現に向けて進めていくそうです。

市民のくらしと安全を守る

画像:神戸市 市長定例会見資料より

震災30年を踏まえた災害対応力の向上に向けて、既存の取り組みの拡充や設備の導入などを進めていきます。

地域防災の担い手に向けた支援では、「防災士」資格の取得助成制度を新たに導入。避難所への開設キット設置やキーボックスも導入されます。

「避難所」での良好な生活環境の確保に向けて、間仕切りテントや簡易ベッドなどを追加配備するほか、非常用蓄電池なども更新。兵庫県も2025年度当初予算案に盛り込んでいた「トイレカー」を導入します。

画像:神戸市 市長定例会見資料より

まちなかでは、通学路・駅周辺・住宅地などに「防犯カメラ」を増設。地域団体が設置する防犯カメラの更新・修繕補助も行います。

公園では全市で樹木・街路樹などを点検し、点検結果を踏まえた樹木の撤去も行うのだとか。

「銭湯」に対する支援も拡充。大規模な設備改修に対して最大3,000万円(補助率2分の1)までの補助制度を創設します。「地域子育て入浴割引制度」などの補助制度も引き続き実施されるんだそう。

人間らしい温かい街を創る

主に子育て世帯の負担軽減や子育て環境の充実を進めていきます。

高校生の通学定期券補助は、現在の取り組みでは、市内の高校に通う生徒に対しては「通学定期代の全額」、市外の高校に通う生徒に対しては「年間14万4,000円を超える通学定期代の2分の1」を補助額としていました。2025年4月からは制度を拡充し、市外高校に通う「全員」の定期代が半額になるそうです。

保育料は所得に応じた料金になるよう見直しするほか、産後ケア事業は受付時期を、出産後から妊娠8カ月に前倒しします。

学びの環境整備にも力を入れ、カフェなど民間施設30カ所に「まちなか自習室」を設置するみたい。

不登校児童・生徒への支援や特別支援教育も充実させるそうです。中学校部活動の地域移行(KOBE◆KATSU)に向けた各種対応も行っていくみたい。

持続可能な神戸を創る

画像:神戸市 市長定例会見資料より

駅周辺をリノベーションして、定住人口や交流人口を増やし、地域の特性を活かしていくみたい。

例えば定住人口をの増加を目指す「西神中央」や「名谷」などでは、駅ビルや駅周辺の工事が進められています。

全国的にも問題となっている「空き家・空き地」対策。神戸市でもさまざまな形で力を入れていくそうで、建築家と協働で空き家活用を促進したり、空き家対策に取り組む地域住民に支援したり、若年夫婦や子育て世帯向け賃貸として「市営住宅」の空き住戸を活用したりといった施策を行うみたい。

路線バス停留所の上屋・ベンチの整備も進めていくほか、地域コミュニティ交通の運行支援など「地域公共交通」への取り組みも拡大します。

農水産業では、農地管理の省力化を推進するほか、有害鳥獣や外来生物対策も拡充。捕獲体制の強化や、捕獲できる人の育成・確保などが盛り込まれています。

活気と魅力あふれる神戸を創る

企業誘致を推進したり、新たな起業・創業を支援したりして「市内産業の活性化」に取り組みます。

万博関連では会場内での魅力発信に加えて、市内の子どもを対象に「夢洲体験クルーズ」なども実施するみたい。万博を訪れた人を神戸に誘客する施策も進めます。

「神戸登山プロジェクト」も取り組みを拡大。人気の「六甲全山縦走路」などの登山道整備を推進し、登山道のトイレ環境を改善したり、老朽家屋を撤去したりするとのこと。2026年度には「トレイルステーション諏訪山」も開設予定だそうです。

「神戸マラソン2025」では、新コースで魅力アップを図ります。折り返し地点は明石市域に延伸し、フィニッシュ地点はこれまでのポートアイランドからハーバーランドに変更。コース終盤の難所が解消されることにより、タイム短縮が期待されます。

「音楽のまち神戸」を推進するため、今年7月から「KOBE国際音楽祭2025」が開催されます。世界三大フルートコンクールにも数えられる「神戸国際フルートコンクール」が8年ぶりにリアル開催されるのに合わせて行われるそうで、市内50カ所で音楽が楽しめるんだそう。

新しい国際都市 神戸を創る

画像:神戸市 市長定例会見資料より

神戸市の都心・三宮では、ここから数年かけて大規模な再整備や建築工事が進められます。

三宮駅周辺の歩行者デッキは2027年度以降、順次完成予定。2027年12月には新バスターミナルが完成します。

2028年には「新・三宮図書館」ができ、翌29年度は「JR三ノ宮新駅ビル」開業や、本庁舎2号館の再整備も完成する予定です。

画像:神戸市 市長定例会見資料より

ウォーターフロントでは、今年4月に「GLION ARENA KOBE(ジーライオンアリーナ神戸)」がオープン。2027年春には新港第1・第2突堤間に、日本初という「スーパーヨット」のマリーナができます。

画像:神戸市 市長定例会見資料より

神戸市のまちづくりでは「ポートアイランド」「六甲アイランド」「HAT神戸」の活性化も計画しているみたい。

ポーアイでは、公共空間を活用した社会実験や「青少年科学館」のリニューアル、ポーアイ第2期における緑化などが予定されています。

六アイでは「マリンパーク」や「六甲アイランド公園」を再整備するみたい。六甲アイランド公園の再整備は2025年度の完成予定です。

HAT神戸には、通年型のアイススケートリンクを建設中。このリンクを活用したスポーツ機会の創出などが計画されています。オープンは「2025年6月末」予定です。

DXの活用による参画を進める

デジタル技術を活用して、業務や製品・サービスなどを効率化したりする「DX(デジタルトランスフォーメーション)」も取り入れ、行政機能を強化。市民サービスの向上を進めていきます。

・六甲アイランドに出張所設置(2025年秋ごろ開設)
マイナンバーカード関連の手続きやスマホ相談窓口を設置

・区役所機能の充実(2026年度供用開始)
「垂水図書館」跡地を活用して、子育て支援機能を強化。子育て関連窓口や健診会場の待合スペース拡充など

・歴史公文書館の整備(2026年6月開設)
「旧岡方倶楽部」の建物を活用

・北区に新たな建設事務所を整備(2027年度開設)
安全・安心に向けて現場対応力を向上

予算案の詳しい内容は神戸市公式サイトで公開されているので、より深く知りたい人はぜひチェックしてみてください。

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