【川崎市】多摩区 麻生区 「地域の足」運行実験 本格導入に向け 3月まで
路線バスなどが利用しづらいエリアで、住民の移動手段を確保するために自治体などが主体となって運行する「コミュニティ交通」。多摩区生田山の手地区と麻生区片平地区では、本格導入に向けて運行実験が行われている。新たな移動手段として、地域住民の足となることが期待される。
ぺあたく山の手号
山坂の多い生田駅北側に住む人の移動を支える手段として、地元生田山の手自治会などからなる「山の手号協議会」(林秀幸会長)は、同駅と近隣エリアを結ぶ相乗りタクシー「ぺあたく山の手号」の運行実験を11月16日に開始した。期間は来年3月31日(火)まで。同駅に乗場を構えるタクシー事業者「生田交通(株)」(多摩区栗谷/吉川和位社長)が運行する。
「山の手号」は同駅前の「生田交通タクシーのりば」から発車し、対象エリア内の自宅や指定場所で降車できる。最大の特徴は、同じ方向へ向かう利用者同士がタクシーをシェア(相乗り)できる点だ。同協議会では昨年も同様に相乗りタクシーの運行実験を実施したが、その時はあらかじめ降車場所が3カ所に指定されており走行ルートは限られていた。「同じルートを使う相手が見つからないといった声が聞かれた」と林会長。「今回はエリア内なら自由に指定位置まで行ける」と活用を呼びかける。
事前に「前売りチケット」(4枚つづり1千円)を購入し、相乗りが成立した場合1枚(実質250円)で利用できる仕組み。相手が見つからず一人で乗車する場合は2枚必要だが、それでも通常のタクシー運賃より割安に設定されている。(問)同協議会・林会長【携帯電話】090・2432・2812
かきまる号
片平地区では「実証実験ラストラン」とし、11月17日から運行を開始。2022年、24年に続き3回目となり「本格運行になるための最終判断」と位置付ける。住民らによる「片平地域コミュニティ交通推進協議会」(畠山和宏会長)が主体で運営全般を担い、麻生区栗木の「コスモ交通(株)」が引き続き運行事業者として協力、同社の車両が「かきまる号」として乗合型、循環式の定時定路線で運行する。
今回は昨年度の結果を踏まえ運行時間や経路を改善。前回利用が多かった時間帯に集約して効率化を図り、経路は1コースのみに変更。複数経路を1便で回すことで待ち時間を解消し、ルートも拡大して利便性向上を目指す。車内での回数券販売も開始。畠山会長は「協議会発足から8年が経ち、メンバーも年齢を重ねコミュニティ交通の必要性を切実に感じている。利用状況や採算性を含めて最終判断となるので将来の自分のためにもぜひ利用してもらい、地域一丸で本格運行を実現したい」と力を込める。
期間は来年3月16日(月)まで。柿生駅を起終点に片平地域の10カ所の停留所に加え、任意で乗降できるフリー区間もある。月、金曜の午前9時から午後3時まで周回する。1回300円、利用には会員登録が必要。運行経費支援(1口千円)やボランティアも募集中。(問)同協議会【電話】044・988・8258