<自分ファーストな夫>「姉ちゃん来るからヨロシク」は?勝手に決めて、自分は不在?【まんが】
私はサワコ、30代後半の主婦です。夫のテッペイとの間には小学4年生の息子が1人。家族3人で仲良く暮らしている……と言いたいところですが、生活に多少不満を抱いているところも。というのもわが家は共働き家庭なのですが、テッペイは家事や育児をまったくしません。しかも私はテッペイの自由奔放なところに振り回されっぱなし。結婚してから同じような生活が続いているため慣れつつありますが、どうしてもモヤモヤしてしまうことも少なくありません。
今日は土曜日。私たちは共働き家庭ということもあり、休日である週末になると溜まった家事に追われます。と言っても、追われているのは私ひとり。同じように働いているというのに、夫であるテッペイはソファーでスマホをいじりながらゴロゴロしています。まるでそばで動き回っている私のことなど見えてすらいないかのようです。溜まった家事を1人でこなすのは大変ですが、もはや慣れっこ。
過去にテッペイへ、「もっと家事をやって」と頼んだこともありましたが、その度にため息をつかれたり舌打ちをされたり……。挙げ句の果てには、「せっかくの休みなのに、なんでオレがそんなことしないといけないの? 疲れてんだけど!」と言われる始末。もう疲れ果ててしまいました。お互いに嫌な気持ちになるならばと、今では私だけが家事をしています。 今日は息子が友だちと出かけているため、夫婦2人でのお昼ご飯です。テッペイが面倒くさそうにテーブルに着きました。そして、「なんだ、やきそばか……」と嫌味をひと言。聞き流して食事を始めたらテッペイが話し出しました。
「姉ちゃん」というのは、近くに住んでいる義姉のアイカさん。つまり義姉と甥っ子のタカヒロくんがわが家に来るという突然の報告だったのです。寝耳に水だった私は驚いてしまいました……。
「昨日コンビニで2人に会ったんだけどさ。なんかノリで、「日曜に遊びに来いよ」って言っちゃった」とテッペイはあっけらかんとした態度で言いました。私は「明日は私、お買い物に行こうと思ってたんだけれど……冷蔵庫も空っぽだし」と、せめてもの抵抗をしました。しかし……。
私があたふたしているというのに、テッペイは全く気にしていない様子です。「ノリで」とは言っているものの、外面が良くて計画性のないテッペイのこと。きっと「うまいもん食わせてやるからうちに来いよ!」とでも言ったのでしょう……。
「明日、義姉と甥っ子が来る」という話を突然聞かされて、私は驚いてしまいました。しかもいつの間にかお昼をご馳走することになっていて、さらに誘った本人であるテッペイは不在。これを笑顔で許せるほど私の心は広くありません……。とはいえテッペイがアイカさんにキャンセルを申し出てくれないのであれば、明日アイカさんたちが来るのは確定でしょう。これは私から連絡をするべきなのでしょうか。どうしてこんなことになってしまったのか……頭が痛いです。
派手な義姉が苦手!「キャンセルしたいけど」諦めるしかない?
実は私、義姉であるアイカさんのことが少し苦手なのです……。
それは長期休みに義実家に集まったときのこと。私がお手洗いに行こうと奥の部屋の前を通ったら、突然大きな声が私の耳に飛び込んできたのです。
私はビックリして立ち止まり、思わず立ち止まってしまいました。襖が少しだけ開いていて、中の様子が見えます。良くないと思いつつも、思わずそっと覗き込んでしまいました。部屋の中には床に座って飲んだくれているテッペイと、恐ろしい表情のアイカさんが……。
まだ話は続いていましたが、私は音を立てないようにそっと後ずさりました。するとさらに気になる言葉が……。いいことでも悪いことでもあまり聞きたくないと思った私は、一目散にお手洗いへと向かいました。
あんなに怒ったアイカさんを見るのは初めてでした。一体私が何をしたというのでしょうか……? 大きな声を出すアイカさんになんだか怖くなってしまった私は、その後少しずつアイカさんを避けるようになってしまいました。
とはいえアイカさんたちとは家同士が近くですし、子どもたちは同い年。息子とタカヒロくんは仲良しで、お互いの家をよく行き来しています。子どもたちはどちらもスマホをもっているため、自分たちで連絡を取り合って遊ぶ日を決めている様子。親である私たちはお互いの連絡先は知っているものの、連絡を取り合うことはほぼありません。 本当に……どうしたらいいんだろう。思いきって私からアイカさんに連絡したほうがいいのかなと、悩みます。とはいえ断る口実もとくにありません。「テッペイがいないから」と言っても、「それでもいいよ」と言われてしまったらアウトでしょう。しかもそれが通ってしまったら、今後も頻繁に来ることになるかもしれません。そうなってしまったら、今よりも困った事態になるでしょう。
帰省のときの様子を見て、私はアイカさんをなんとなく避けるようになってしまいました。テッペイに対して、アイカさんはどうしてあそこまで怒っていたのでしょうか……? とはいえ私に対して心ないことを言ったこともありませんし、子ども同士もとても仲良し。そのためある程度の距離を保つだけにとどめています。家に来てくれることも問題はありません。しかし突然というのは私も困りますし、テッペイが不在というのはもっと困ります。何とかならないものなのでしょうか……。
【義姉の気持ち】弟から突然の誘い「ウマイもん食わせてやるよ」
私は40代前半の主婦、アイカです。家族は夫と、タカヒロという名前の息子が1人。弟(テッペイ)家族が近くに住んでいます。子ども同士は仲が良く、家を行き来していますが、なんだか義妹のサワコちゃんには避けられている感じがします。さて先日、コンビニでテッペイとばったり会いました。突然「日曜にでもうちに遊びに来いよ」と言われましたが……本当に行っていいものか悩んでいます。サワコちゃんに話を通しているのでしょうか。
買い忘れを思い出した私は、息子と連れ立ってコンビニへ出かけました。アレコレと選んでいると、後ろから「姉ちゃん!」と声をかけられます。振り向くと、弟のテッペイが立っていました。
少しの間立ち話をすると、テッペイがおもむろに言いました。
弟が思いついたように「そうだ! 今週末にでも2人でうちに来いよ」と、誘ってきました。
私は「いやいやサワコちゃんの予定もあるだろ?」と、遠慮するつもりで答えました。
弟は「ゆっくりさせてもらってる! あいつトロいけれど、手際が悪いなりに1人でできてるみたいだからさー」と言います。嬉しそうに笑う弟を見て、情けなくなりました。私が「あんた……!」と説教をしようとしたら、弟は何かを察したのか「じゃあ、そういうことで~!」と去っていきました。
家事を何もしない弟が「うまいもん食わせてやる」とはどういうことでしょう。十中八九、サワコちゃんに無理やり何か作らせるつもりでしょう。しかも、私たちを誘ったのも思いつきに決まっています。
私は思わずため息をついてしまいました。そういえば長期休暇で実家に帰省したときにも手伝いを何もしていませんでした。テッペイ自身が、「家ではちゃんと手伝ってやってる」と偉そうに言っていたこともあり、私はてっきり「実家にいるから気が抜けてるんだろう」とばかり思っていました。しかし、今の話しぶりを聞く限りでは、自分の家でも何もしていない様子です。
突然テッペイの家に招待された私たち。きっとサワコちゃんには何の相談もすることなく、いつものテッペイの思い付きでしょう。しかも、準備や後片付けをサワコちゃんに押し付けるつもりなのも明白です。料理のひとつもしないのに「うまいもん食わせてやる」なんて、ちゃんちゃらおかしいと思ってしまいます。いずれにしても、気になるのはサワコちゃんがどう思っているか。避けられているのは百も承知ですが、とりあえず連絡をしてみようと思います。
【私の気持ち】ドキッ、苦手な義姉から着信が!「作戦会議しよう」……え!?
テッペイが突然「明日姉ちゃんが来るから、お昼をご馳走してやって。簡単なものでいいから」とひと言。しかも当のテッペイは外出して不在だというのです。あまりの出来事に、私は言葉を失ってしまいました。実は私、義姉のアイカさんことは少し苦手なのです……。
本当はデリバリーやテイクアウトに頼りたかったのですが、テッペイから「余計なお金がかかる」と禁止されてしまったのでそうもいきません。メニューを考えながらスーパーで買い物をしていると、ふと私のスマホが鳴りました。画面を見ると、なんとアイカさんから着信です。私は驚くと同時に、ドキドキしながら電話に出ました。
久しぶりに話したアイカさんは、いつもと変わらずハキハキしています。
一瞬答えを迷った私に、アイカさんはさらに畳み掛けます。私はこういうときにハッキリと「はい、そうです」とは言えません。モゴモゴしていると、電話の向こうでアイカさんが深いため息をつきました。
優しい言い方に私は少しだけびっくりしました。そして同時に、怖い印象だったアイカさんが私を庇ってくれていることを心強くも感じました。孤立無援だと思っていたのに、アイカさんは私の肩を持とうとしてくれています。さらに……。
私が言い淀んでいると、すかさずアイカさんが言いました。アイカさんは「……まさか結婚当初から?」と、とても驚いた様子でした。
私は堰を切ったようにアイカさんにすべてを打ち明けてしまいました。テッペイは「ノリ」でアイカさんたちを誘ったこと、デリバリーは禁止されたこと、しかも当のテッペイは明日不在であることなど、すべてです。アイカさんは「はぁ~……」と心底呆れた声を出すと、また話し始めました。
アイカさんは「もう本当にダメだわ。根本から心を入れ替えさせないと。明日、お家に行ってもいい? もちろん、サワコちゃんは何もしなくていいから」とはっきりと言いました。
突然の電話には驚きましたが、思いがけず私の味方をしてくれたアイカさん。テッペイを責めているときはいつも通りの厳しい話し方でしたが、私のことを思いやる発言をしているときのアイカさんは優しい口調でした。怖い人だと感じていたのは、私の思い込みだったのかもしれません。アイカさんからの電話によって風向きが変わったような気がします。アイカさんが練っている“作戦”で、少しはテッペイが気持ちを入れ替えてくれるといいのですが……。
いざ、反撃「今すぐ帰ってこい!」義姉の怒声にビクビクする夫
さっきまで鼻歌を歌っていたテッペイの顔がみるみる不機嫌になります。テッペイはため息をつきながら私に向き直りました。
テッペイは「しつこい。もう昨日決まった話だったろ? オレは出かける、姉ちゃんたちは来る、サワコはちゃちゃっと簡単な物でも作ってやる。どうってことないだろ。何が不満なんだよ」と自分勝手な言い分です。私は、反論したい気持ちをグッと堪えていると、テッペイは「じゃ」とひと言だけ言って出ていきました。本当に許せませんが、今日は心強い味方がいます。そう、アイカさんです。
インターホンが鳴って、アイカさんたちがやってきました。
これは、「大人の都合で子どもたちを空腹にさせるわけにはいかない」というアイカさんの配慮でした。子どもたちはすでに大人たちよる作戦が始まっていることなんて知らない様子で楽しんでいました。
子どもたちはゲームをするために「僕の部屋へ行こうぜ!」と、言って2階へ行きました。そのあと子どもたちがゲームを持っていなくなると、アイカさんはテッペイに電話をかけます。テッペイはすぐに電話に出ました。
スピーカーホンからはテッペイの情けない声が聞こえてきます。アイカさんは言葉こそすごい勢いでしたが、茶目っ気たっぷりに私にウインクをしてきました。思わず私も笑ってしまいそうになります。アイカさんの怒る声を聞いて、慌てふためきながら帰ってきたテッペイ。いつも私に威張り散らしているテッペイが小さくなっている様子は、正直なところ見ていて爽快でした。するとテッペイは私に向かって……。
激昂したテッペイが私のことを「お前」と呼んだとき、ぴしゃりと叱り飛ばしてくれたアイカさん。いつも言われるがままにしかできない私にとって、まさに救世主のよう。私は思わず、「勝手に苦手意識を持って、今まで避けていてごめんなさい」と心の中で頭を下げるのでした。
義姉「スジが通ってない!」夫は心を入れ替えられるのか……?
テッペイは私を睨みましたが、無視してアイカさんの隣に座りました。テッペイの目には、「信じられない」という色が浮かんでいます。アイカさんがぎろりとにらむと、テッペイはキッチンに走っていきました。そしてしばらくしたあと、おそるおそるキッチンから顔を出しました。少し待った後に出てきたのは、なんとカップラーメン。
アイカさんの言葉に小さくなるテッペイ。
アイカさんは「オレは料理しない? 料理どころか掃除も洗濯も育児もしてないだろうが! あんたがしてるのはサワコちゃんの邪魔だけだよ!」と、ビシッとテッペイに言ってくれました。
アイカさんは「そもそも私らを呼んだのはテッペイでしょ? なんでサワコちゃんが料理するのさ。もし料理をお願いするなら、先にサワコちゃんに確認をとるのが筋だろ。帰省のときにも言ったけれど、サワコちゃんはあんたの召使いじゃないんだよ」と、私の気持ちを代弁してくれました。
素直に頭を下げるテッペイに、私は驚いてしまいました。昼食後もアイカさんからこってりと絞られたテッペイ。アイカさんたちが帰るころには、いつもの横柄な態度がすっかりなくなっていました。夜に息子が寝てから、テッペイから「話がある」と言われてテーブルに着きました。
テッペイがすぐに変わってくれるとは私も思っていません。しかし少しずつ、家庭のことに協力的になってくれればいいなと願っています。私たち夫婦の生活を変えてくれたアイカさんには感謝しかありません。 最初は苦手だと思っていた義姉のアイカさん。しかしそのアイカさんが、私の救世主になってくれたのです。きっと帰省中に大きな声を出していたのも、私のことを庇ってくれてのことだったのでしょう。今となっては感謝の気持ちでいっぱいです。自由奔放で自分ファーストなテッペイが、今後どんなふうに変わるのかはわかりません。しかし、今回ばかりはしっかりと心を入れ替えて、優しい夫、そして父親になってほしいなと期待しようと思います。