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『ピチカートの眠る森』は温かい魔法のような作品 舞台『ボイスコミックライブ』蒼井翔太インタビュー

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蒼井翔太

マンガをスクリーンに映し出し、声優がキャラクターに命を吹きこむ瞬間を観られる舞台『ボイスコミックライブ』が6月6日(金)、7日(土)にシアター1010(東京・北千住)にて開催。2025年5月・6月に開催された前回公演に続く第二弾となる本公演では、繊細な描画と感情豊かなストーリーで人気の幸村アルトの漫画『ピチカートの眠る森』(白泉社・花とゆめ)を上演する。原作ファン、声優ファン必見の本イベントで7日(土)の昼・夕公演でシュラ役を務める蒼井翔太に、『ボイスコミックライブ』の魅力や原作『ピチカートの眠る森』の注目ポイント、さらには少女漫画の好きなところなどを語ってもらった。

——最初に「ボイスコミックライブ」という試み(イベント)を聞いたときは、どのような印象を持ちましたか?

いろいろな形の朗読劇がある中で、いい意味で差別化するというか、変化をつけてみなさんの大好きな少女漫画の世界を映像とともに彩っていくというのはすごく素敵な試みだと思いました。僕たちが普段やっているアフレコの瞬間をみなさんに観ていただくというのは、すごくレアなイベントだと感じています。

——新人スタッフとしてスタジオ見学に来たという舞台設定。ボイスコミックのアフレコ現場に訪れた気分が味わえるのは確かにレアな体験です。蒼井さんが思う『ボイスコミックライブ』の魅力を教えてください。

原作を読んでいる方の中には、「この子はこういう子」みたいなイメージが固まっている方もいれば、「どんな声の子なんだろう…」といろいろと想像している方もいると思います。『ボイスコミックライブ』は公演によってキャストが変わるので、「こんな子なんだ!」とか「こういう感じもいいな」といういい意味での驚きと発見があるのがポイントだと思います。同じ役を違うキャストが演じるのも楽しめるし、相手役が変わることで同じ役でも違って聞こえるのも魅力です。

——通常のボイスコミックの見せ方とは違って、キャラクターに息を吹き込む瞬間をライブで見せるということをどのように感じていますか。

通常の朗読劇は映像がないので、自分たちの空間を使い放題というか。自分たちの世界の時間や間(ま)で演じることができます。『ボイスコミックライブ』は映像にあわせてノンストップで演技をしていくので、観ているみなさんの物語が途切れないように、キャラクターが目の前で生きてしゃべっているように思っていただかなくてはいけないので、そういう意味の緊張感はすごくあります。通常のアフレコは本番前にテストがあるものですが、本番一発という点にも緊張が高まります。

——見せ方が違うと、通常アフレコやボイスコミックの収録とは準備は違ってくるものなのでしょうか。

僕の場合はあまり準備をして固めていかないようにするつもりです。というのは、昼公演、夕公演でお相手役が違うから。演じるキャストさんが違えばエミリーちゃんも違ってくると思うんです。このエミリーちゃんだったらシュラくんはこんな感じみたいに、細かなところで違いが出てくるはずなので、あまり準備をしすぎずにお相手のお芝居にあわせながら表現できたらと思っています。

■『ピチカートの眠る森』はあたたかい魔法のような作品

——『ピチカートの眠る森』の物語にはどのような印象を持ちましたか?

あたたかい魔法のような作品だと思いました。溶け込むように、ときには弾けるように惹かれ合っていくエミリーちゃんとシュラくんの二人の優しい物語があるからこそ、最初の出会いのインパクトはすごくパンチがあって引き込まれると思いました。次はどんな柔らかい愛が、色鮮やかな優しさが飛び出てくるんだろうってワクワクしながら読みました。優しさや魔法を僕たちの演技、言葉、声で具現化できることにも心が躍っています。

——今回披露するのは原作の第1巻の物語です。作品によっても違ってくると思いますが、台本に描かれている範囲の物語を知るに止めるのか、それとも台本より先の物語を原作でチェックしてのアプローチするのか、教えていただけますか?

僕の場合はアフレコするしないにかかわらず、原作はすべて読むタイプです。原作を読み始めると「どうなっちゃうんだろう?」って止まらなくなるものだし、先のお話も読みたいなって思っちゃうんです(笑)。今回も演じるのは1巻の物語だけど、読むと思います。だからといってその先の展開がお芝居に影響することはないのですが、この先のことがほんのちょっとのスパイスとして序盤のシーンに効いてくるところもあると思うので、とりあえずは読む予定です。1巻を読んだだけでも、時間を作ってじっくり読みたい、浸りたいと思ったので、まさに今、作品の魅力にまさにハマっている状態です(笑)。

——演じるシュラくんのキャラクターをどのように感じましたか?

ちょっと掴みどころのないミステリアスな男の子ですよね。エミリーちゃんとしては「この人のどこまでを信じていいのかな」という気持ちが心を許すまではあったと思います。蓋を開けてしっかりと見つめてみると、言葉の端々や行動から優しさが滲み出ているなって感じるところがあって。キャラクターとしてミステリアスな男の子はすごく好き。役作りではエミリーちゃん側の気持ちになってシュラくんを見るところから始めるつもりです。エミリーちゃんとしてシュラくんを見て「ここにドキドキするんだ!」ってところを探して大切に演じていきたいと考えています。それが多分、僕が演じるシュラくんの特長になってくると思っています。ちょっと変わった作り方かもしれないけれど、僕は女の子の気持ちもすごくわかるから、エミリーちゃんの気持ちになって考えたいんです。それが当日来てくださるお客様の気持ちにもちょっとシンクロするところがあったらいいなって思っています。

■少女漫画を読むときは「色」を想像しながら読む

——ちなみに蒼井さんは普段、少女漫画を読みますか?

読みます! 大好きです。

——どんなタイプの作品が好きですか?

少女漫画独特の色合いが好きなんです。キャンディのような色合いだったり、何気ない一言でドキッとしたときって溶け込むような水彩画みたいな色の表現も使うし、ときにはシャボン玉のようにふわふわ浮かぶような表現の仕方もある。少女漫画って作品の数だけその世界の色の表現の仕方があるなと感じています。「ここで恋に落ちたんだ!」って、もちろんセリフでも表情でもわかるけれど、周りの雰囲気、例えばシャボン玉だったり水彩画だったりの表現で、どんな恋の落ち方なのかを想像できるのが特長的だと思います。

——色を想像しながら読むことが多いのでしょうか?

多いですね。漫画ってモノクロだけど、表紙もそうだし色を使うこともあるじゃないですか。表紙の色で引き込まれることもよくあります。普段から気になったら手に取って読んじゃいますね。

——『ピチカートの眠る森』はどのような色をイメージしましたか?

あたたかい魔法の物語なのでパステルのオレンジとかピンクとかかな。エミリーちゃんとシュラくん二人のときはパステルのオレンジとか黄色、シュラくんだけだと一瞬パステルの水色が入ったりしそうな気もするし。まさにこのキービジュアルのような色ですね。僕、少女漫画の塗り絵がほしいんです。自分がイメージした色に塗って楽しみたい!

——人によって全然違う色になりそうで、面白そうですね。前回の公演ではグッズもたくさん出ていたので、いつかこのイベントで蒼井さん発案の塗り絵、販売されるのを期待しています!

アハハハ。アリかな?

——ちなみに、気分で少女漫画を読みたくなることはありますか?

泣きたいときに読む漫画はいくつかあります。10代最後の頃に舞台『フルーツバスケット』に花島咲役で出演したことがあるのですが、今でも泣きたいときに読み返す漫画のひとつです。セーラー服を着た女の子の役だったのですが、今でも本当に大好きな作品です。少女漫画は泣きたいときに読むことが多いし、泣けるものとか探しがちかもしれません。もちろん、気づいたら笑顔になっていたり、幸せな顔になってしまう漫画ももちろん好きです。それこそ『ピチカートの眠る森』は気づけばずっと口角上がっていたので、完全に魔法にかかってしまいましたね(笑)。

——前回の公演は残念ながら出演がキャンセルとなってしまいましたが、イベントへの反響などはチェックされましたか? 新しいライブエンターテインメント『ボイスコミックライブ』に対しての、満足度の高いコメントがとても多かった印象です。

代役を務めてくれた岡本信彦さん、堀金蒼平くんがすごく盛り上げてくださり、笑顔で帰っていらっしゃるお客様が多かったと聞いています。来てくださるお客様の“好き”の気持ちを大切にしたいと思っていたので、すごくうれしく思いました。今年はお客様の“好き”を裏切らないように精一杯演じられたらと思っています。

——見どころとメッセージをお願いいたします!

60分ノンストップで駆け抜けます。お客様の中のストーリーが途切れないように、大切な世界を彩っていきたいと思います。楽しむ気持ちだけ持ってきていただき、笑顔で帰っていただけるように、精一杯演じますので、楽しみにしていてください!

取材・文=タナカシノブ

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