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【鈴木康友知事の裏金議員応援】プチ炎上した理由は?やっぱり政治は義理と人情の世界!?今後の静岡県へのダメージは?

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静岡トピックスを勉強する時間「3時のドリル」。今回のテーマは「鈴木康友知事の裏金議員応援」。先生役は静岡新聞の市川雄一ニュースセンター専任部長です。(SBSラジオ・ゴゴボラケのコーナー「3時のドリル」 2024年11月11日放送)

(市川)鈴木康友知事は11月8日の定例記者会見で、自民党派閥裏金事件を受けて非公認になった衆院選候補者の応援演説を行い、一部で批判が出ていることについて真摯にお詫びしなければならないと陳謝しました。

(山田)鈴木康友知事の話題ですね。

(市川)選挙の時に、知事や市長が応援演説をやるのはよくあり、記憶に新しいのが2021年の川勝平太前知事の応援演説のコシヒカリ発言ですね。川勝前知事はあれで大炎上したんですが、今回、鈴木康友知事が“プチ炎上”したんですよ。

裏金問題に関わった候補、自民の候補を応援するなんて、という批判

(市川)先の衆院選で、自民党のいわゆる裏金問題を受け、無所属で立候補した萩生田光一さん、西村康稔さんの応援演説に鈴木康友知事が行ったことが問題になりました。県民からも50件以上、県庁に批判の電話があったり、鈴木康友さんを知事選のときに支援した連合静岡の会長は「厳重注意をした」というようなことを言ったり、かなり波紋を広げています。8日の知事会見では、鈴木康友知事が「率直に真摯にお詫び申し上げる」と謝罪しました。

(山田)裏金問題に関わって自民党から資格停止になった議員たちを応援していたのはどういうことだ、っていうことですか?

(市川)そうですね。あともう一つあって今回、鈴木知事は全部で4人の応援に県外へ行ってるんですが、2人は自民党の公認候補で、もう2人が無所属の元自民党の方で全部自民系の方を応援していたんです。そこでは立憲民主党の候補とか、国民民主党の候補とぶつかり合って、結果、4人とも当選してるんです。

鈴木知事は、国民民主党と立憲民主党の両党の支援を受けて知事選を戦って勝ったんですよね。そういう立場からして、立憲民主党候補や国民民主党候補と戦っている、いわゆる「敵」の自民党候補を応援するのは何事だっていう意見もあったんですね。

鈴木知事の言い分としては、萩生田さんらは昔からの友人で、お世話になっている方なので「別に政党は関係なく、個人同士の人間関係で応援に行ったんだ」ということです。

今回、4人の応援に行ったという話をしましたが、裏金問題で無所属で立候補した西村さん、萩生田さんのほかに、元総理の菅義偉さん、それと逢沢一郎さんという岡山の自民党の国会議員を応援しました。確かに4人とも、鈴木知事と関係が深いとされています。

(山田)ほう。

(市川)かつて鈴木康友さんが民主党の国会議員になったときに、議場の席が国会で隣同士だったのが菅さんです。もちろん、自民党と民主党という別の政党だったんですが、国会でちょうど隣り合い、縁ができたそうです。

康友知事が浜松市長時代に書いたコラムには、そこでいろいろ話をするようになって、人柄に惚れ込んだことが書かれています。その後、浜松市長になっていくんですが、そのとき第一次安倍内閣で総務大臣になったのが菅義偉さん。総務大臣は地方をつかさどるような大臣なんですが、菅さんから「私が総務大臣にいる間は、康友君の願いは何でも聞いてあげるよ」とおっしゃっていただいた、といったことをコラムに書いてるぐらい関係が深いんです。

元々、菅さんは横浜から出ている国会議員です。横浜市も浜松市も政令指定都市で、鈴木康友さんは浜松市長時代にそういう政令指定都市会の会長をやったりしていて、大都市問題で国会議員に要望に行く機会が多かったといいます。

(山田)なるほど。

(市川)そこで関係ができていったということですね。もう1人の、逢沢一郎さんは康友さんと同じく松下政経塾の1期生で、同期なんですよ。

(山田)あっ、そうなんですね。

(市川)松下政経塾の1期生で2人はおそらく若い頃から意見を闘わせていたのではないでしょうか。そういう友人関係があったと思うんです。

友人の選挙応援に行くのは悪いこと?

(山田)今の話を聞くと、友人だし、個人的な付き合いがあるから応援に行くのは、そこまで悪いことなのかなと思っちゃったりするんですが、どうですか。

(市川)批判する人たちは、「自分の立場を考えてくださいよ」ってことを言っているんですよね。

鈴木知事が萩生田さんの応援に行ったのが、実は選挙投開票日の前日にあたる10月26日でした。16時に八王子駅前に1000人ぐらい集まったらしいんですが、そこで、萩生田さんをものすごく持ち上げた演説を5分ぐらいされているんです。もう、ギリギリの時ですよ。特に萩生田さんは立憲民主党の有田さんという方とものすごいデッドヒートで、どっちが勝つか最終盤までわからないという選挙をやっていて、本当に最後の最後に応援に行っているんです。その時も、最初は「静岡県知事の鈴木康友です」って自己紹介から入ってるんですよね。

しかも、「元々は民主党の元議員の鈴木康友だ」ってことも強調していて、「民主党の私が、元自民党の萩生田さんを応援するってことはよほどのことだ」「自民党が自民党を応援するのは普通だけど、前は敵だった私が萩生田さんを推すんだから、それほど素晴らしい人なんだ」って持ち上げ方をしてるんです。

(山田)そんなマイクパフォーマンスしてるんだ。

(市川)県知事ということを名乗ってるということも重いと思います。特に萩生田さん、西村さんは、裏金問題があったから今回自民党公認では出られなかった。今回の選挙で「裏金問題について選挙の争点にした」という方は有権者の中でも、出口調査などを見るとものすごく多く、まだ解決してないと思ってる方もかなり多いと思います。

そういった中、まだそこがケリをついていない段階で、静岡県の代表である鈴木知事がそこを不問にして、応援して、昔からの友人関係というところだけで言っていいのかっていう批判はあるとは思うんですよね。

確かに義理と人情っていうのはあると思う。昔、大野伴睦さんっていう古い自民党の政治家がいましたが、この人の名言とされてるのが「義理と人情とやせ我慢」でした。

(山田)聞いたことあるかも。

(市川)これは政治家にとってものすごく必要な要素だということで、麻生太郎さんもその言葉を受け継いでよく使ってらっしゃるんですが、こういう時がまさに、義理と人情なんですよ。やせ我慢っていうのは、みんながやりたがらないような仕事を自ら率先して引き受けるようなことを言っています。

「はっきり批判されるのは分かっているけれども、批判されてもあなたの応援に行きますよ」っていうのが、もうまさに義理と人情だなと思う一方で、県民から抗議の声が県庁に寄せられているっていうのも分かります。鈴木康友知事を選挙で支援した連合静岡などが、「これはけしからん」っていうのも分からなくもない。

静岡県にとってマイナスとは、限らない

(山田)この批判が静岡にとって、マイナスの部分も出てくるわけですか。

(市川)実は、そんなにないと思うんですよ。鈴木康友さん個人が、有権者にとって、「この人信用ならない」と思われた節はあるかもしれないですが。

自民党の菅さんにしても逢沢さんにしても自民党の有力な議員で、萩生田さん、西村さんも復権していく可能性のある人たち。そうした人たちの繋がりってものすごい大事なことなんですよね。

例えば、萩生田さんって元々文教系の強い議員とされていて、ちょっと前まで文部科学省の大臣をやってるんですよね。2020年だったと思うんですが、鈴木知事が浜松市長時代に今ちょっと暗礁に乗り上げている浜松医科大と静岡大学の再編合併問題でうまくいくようにと、当時の文部科学大臣の萩生田さんのところへ行って直接要望してるんです。

(山田)わー、なるほど。

(市川)こういう力関係があって、「萩生田さんは康友さんに目をかけている」というような話になってくると、文部科学省の方も、ちょっとそっちの話を聞こうかな、みたいな動きがあるのが政治の世界なんですよ。

(山田)地方の政治と国会って別のものだと思ってましたけども、それこそ義理と人情で繋がってきて、我々にも直結することがあるんですね。

(市川)まさにそうなんですよね。今回の選挙で自民党だけでは何も決められない状態にはなっているんですが、やはり物事を決める各省庁などは、基本的には国会議員の顔色を見て動いています。ですから、有力な国会議員が何を考えているのか、何を言ったのかっていうことで政策決定がされているというのが現実の政治の世界ではあるんですよね。

今回、鈴木知事が批判されようが、長く友人であり、しかもまだ選挙にも勝っていくような人たちに義理をかけたということは、本人にとってはマイナス部分もあるかもしれないけれど、静岡県知事として、静岡県にとってこれは全てがマイナスかっていうとそうではないかもしれない。意外と、将来すごくいいことが起きるかもしれない。これが、義理と人情の政治の難しいところではあるんですが。

(山田)やっぱりそうなってるんですね。義理と人情、痩せ我慢。皆さんそれぞれ、今回の報道で思うことがあるかと思いますが、そういった部分もあるという解説をいただきました。今日の勉強はこれでおしまい!

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