野球日本代表「侍ジャパン」歴代監督と成績、井端弘和監督がプレミア12で就任後初黒星
国際大会27連勝でストップ
第3回プレミア12の全日程が終了し、日本代表「侍ジャパン」は決勝で台湾に敗れ、準優勝だった。1次ラウンドから無傷の8連勝をマークしたが、決勝で2019年の第2回プレミア12・スーパーラウンドでアメリカに敗れて以来となる黒星。国際大会の連勝は「27」でストップした。
井端弘和監督は2023年に東京ドームで開催された「アジアプロ野球チャンピオンシップ2023」で優勝し、今回が就任後初黒星。2026年に開催される第6回ワールドベースボールクラシック(WBC)まで契約を延長しており、主要国際大会がない2025年は強化試合をこなしながら、WBC連覇に向けてチームを作り上げていく。
これまで数々の名勝負を演じてきた「侍ジャパン」。野球が公開競技として初めて五輪で実施された1984年のロサンゼルス大会以降、歴代の日本代表監督と成績を振り返ってみたい。
ロサンゼルス五輪の指揮を執ったのは法政一高や法政大、住友金属などで監督を歴任した松永怜一氏だった。日本は台湾との代表決定戦に敗れて出場を逃していたが、ソ連のボイコットにキューバが追随したため急遽出場。社会人12人、大学生7人を招集して大会に臨むと、決勝のアメリカ戦では広沢克己の本塁打などで快勝し、金メダルに輝いた。
1988年ソウル五輪は、東芝の監督として都市対抗優勝などの実績を持ち、ロサンゼルス五輪でコーチを務めていた鈴木義信氏が監督を務めた。後にプロで名球会入りする野茂英雄(新日鉄堺)や古田敦也(トヨタ自動車)、野村謙二郎(駒澤大)らの豪華メンバーで臨み、準決勝では開催国の韓国を撃破。しかし、決勝では後にメジャーで活躍する隻腕サウスポー、ジム・アボットを擁するアメリカに敗れ、銀メダルだった。
プロアマ混成のシドニー五輪で指揮した太田垣耕造氏
正式競技となった1992年バルセロナ五輪で指揮を執ったのが山中正竹氏。法政大時代に東京六大学リーグ通算48勝を挙げた名投手で、監督としても住友金属を都市対抗や日本選手権優勝に導いた。
杉浦正則(日本生命)や小桧山雅仁(日本石油)、小久保裕紀(青山学院大)らを擁して臨んだバルセロナ五輪では、準決勝で台湾に敗戦。3位決定戦でアメリカを下し、3大会連続メダルとなる銅メダルを手にした。
1996年アトランタ五輪で指揮を執ったのは、日本楽器(ヤマハ)の監督として実績を残していた川島勝司氏。オールアマで臨んだ最後の大会は、松中信彦(新日鉄君津)、谷佳知(三菱自動車岡崎)、井口資仁(青山学院大)、今岡誠(東洋大)、福留孝介(日本生命)ら強打者が名を連ね、準決勝でアメリカに11-2で快勝。決勝でも「世界最強」と呼ばれたキューバを追いつめ、堂々の銀メダルだった。
プロアマ混成となった2000年シドニー五輪は、東芝の監督として黄金時代を築き、アトランタでコーチを務めた太田垣耕造氏が指揮を執った。プロからは松坂大輔(西武)、黒木知宏(ロッテ)、中村紀洋(近鉄)らが派遣され、アマからも杉内俊哉(三菱重工長崎)、阿部慎之助(中央大)らが選出されたが、準決勝でキューバ、3位決定戦で韓国に敗れ、4位に終わった。
王貞治監督率いる日本がWBC初代王者に
初めてオールプロで臨むことになったのがアテネ五輪。長嶋茂雄監督の下、2003年11月のアジア選手権で中国、台湾、韓国に3連勝して優勝し、五輪出場を決めたが、翌2004年3月に長嶋監督が脳梗塞で入院した。
アテネ五輪本番では中畑清ヘッド兼打撃コーチが代理で指揮を執ったものの、準決勝でオーストラリアに敗退。3位決定戦でカナダを破って銅メダルを獲得したが、病床のミスターに金メダルを届けることはできなかった。
メジャーリーガーが参加することで注目を集めた2006年の第1回WBCで指揮を執ったのが王貞治氏(当時ソフトバンク監督)。日本は準決勝で韓国、決勝でキューバを破り、初代王者に輝いた。
2008年北京五輪で日本を率いたのは「闘将」星野仙一監督だった。金メダル獲得のために最強メンバーを集めたが、準決勝の韓国戦、3位決定戦のアメリカ戦でG.G.佐藤が平凡なフライを落球。シドニー五輪以来2度目のメダルなしに終わった。
原辰徳、山本浩二、小久保裕紀、稲葉篤紀、栗山英樹が受け継ぐ
2009年の第2回WBCは原辰徳監督が指揮を執った。決勝の韓国戦でそれまで不振だったイチローが決勝タイムリー。見事に2連覇を果たした。
2013年の第3回WBCは山本浩二監督だった。3連覇を狙った日本は準決勝でプエルトリコに敗退。優勝はドミニカだった。
同年のシーズンオフから「侍ジャパン」が常設されることになり、監督に就任したのが小久保裕紀氏だった。2015年11月のプレミア12では、準決勝で韓国に敗れて3位。2017年の第4回WBCでは準決勝でアメリカに敗れた。
その後を受け継いだ稲葉篤紀監督は2019年のプレミア12で優勝。2021年の東京五輪では、決勝のアメリカ戦で村上宗隆(ヤクルト)が決勝本塁打を放ち、金メダルを獲得した。
そして栗山監督が第5回WBCを制覇。決勝のアメリカ戦では大谷翔平(エンゼルス)が最後を締め、3大会ぶりの世界一に輝いた。井端弘和監督には多大なプレッシャーがかかるだろうが、第6回WBCでも世界王者に相応しい戦いが期待される。
【関連記事】
・WBC日本代表がアメリカ破り世界一!一丸で勝った「史上最強」侍ジャパン
・野球の日韓戦通算対戦成績は?主要大会の結果一覧、プレミア12で日本が韓国戦9連勝
・覚醒した侍ジャパン藤平尚真は何が良くなったのか?データ分析で分かった恐るべき進化
記事:SPAIA編集部