『ハレの日だより』福井県【一生水】と【万寿まき】
本仮屋ユイカとJRN各局の個性豊かなアナウンサーが全国各地の魅力を深掘りするご当地トークバラエティ。
日本人が古くから大切にしてきた「ハレの日」には、地域によってさまざまな過ごし方があります。
「ハレの日だより」では、結婚式やを始め地域に伝わる行事や風習など全国各地の“冠婚葬祭にちなんだ話”を紹介します。
結婚式と言えば誓いの言葉を読み上げたり、指輪を交換したりと様々な儀式が行われるものですが、なんでも福井県では結婚式の前にちょっと珍しい儀式を行うそう。 今回は福井県越前市のご出身、FBC 福井放送の増谷寧々アナウンサーに結婚にまつわる儀式を2つ伺いました。
1つ目は「一生水」
北陸地方や東北地方の昔ながらの風習で、結婚式の当日にお嫁さんがお婿さんの実家に行って「お仏壇参り」をします。この「お仏壇参り」の直前に福井県では「一生水」という儀式を行うとのこと。
お嫁さんが嫁ぎ先の玄関で、一升マスの中に入った盃を受け取り、その盃に入った水を飲み干す。その後は盃を床に叩きつけて割る、という儀式。明治時代頃から始まったといわれる風習といわれています。
この儀式にはこんな意味が。
マスの「一升」が、人生の「一生」にかかっていて、昔はその家の井戸から汲んできた水を使っていたので、盃の水を飲み干すことで「一生この家の水を飲みます」という誓いの意味があります。そして「盃を割る」のは、同じ盃は二度と使えないので「後戻りできない」という意味だそう!
現代ではなかなか覚悟がいる!?儀式ですね笑
そしてふたつめは「万寿まき」
「万寿まき」とは家の中で「一生水」が行われている間に、家の外で行う。屋根の上からお饅頭をまいて、近所から集まった人々が拾う。家を新築したときの「餅まき」のようなことを、福井では結婚のときにもやっているそう。
多い家だとなんと!4千個以上のお饅頭をまくとか!?
「万寿まき」にはこんな意味が。
「万(よろず)」の「寿(ことぶき)」というように「まんじゅう」は“幸せ”の象徴。だから幸せのおすそわけの意味があるそう。また、婚礼の儀式が行われるときに多くの人が集まることは幸せなことだったので大勢の人たちに見物に来てもらうための人寄せの意味があったとか。
現在「一生水」や「万寿まき」は結婚式場で行われることが多いそうですよ!
時代に合わせて形が変わっても、お祝いの気持ちは昔と変わらないのですね。
(TBSラジオ『ONE-J』より抜粋)