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犬にもある“末っ子魂”【穴澤賢の犬のはなし】

いぬのきもちWEB

先代犬の「富士丸」と犬との暮らしと別れを経験したライターの穴澤賢が、数年を経て現在は「大吉」と「福助」(どちらもミックス)との暮らしで感じた何気ないことを語ります。

この前、犬関連のイベントがあり、私は出店者側で会場にいた。そこでブースに訪れてくれた犬連れの人たちと話していると、ある共通点があった。それは複数飼いの場合、後から来たほうがほぼ間違いなく“末っ子魂”であること。

複数飼いの飼い主が口を揃えて話す共通点


犬にもある“末っ子魂”【穴澤賢の犬のはなし】


それは大福のようにオス同士でも、オスとメスでも同じだった。あとから来た妹分がもう好き放題なのに、兄が大人で本気でキレたりしないという。大福のことを知っている方で「いつも福ちゃんを見て、うちも同じだ」と思っていたそうな。

犬にもある“末っ子魂”【穴澤賢の犬のはなし】


他にも複数飼いの人、何組かと話したが、みんな口を揃えて「“末っ子”は好き放題」と口を揃えていた。けれど、本当に好き勝手やっているわけではなく、ちゃんと「ここら辺までなら大丈夫」というラインを見極めていて、その範囲内でやっているところだ。計算高いというか、ズル賢いというか。

犬にもある“末っ子魂”【穴澤賢の犬のはなし】


しかも、普段はそんな調子の“末っ子”だが、兄の姿が見えなくなったりすると、キュンキュン寂しがったりするところも共通していた。いくら強がっていても、実はさびしがり屋で、兄ちゃんに頼りっきりの弱っちい福助と同じだ。

なぜ“末っ子”感が出るのか?


犬にもある“末っ子魂”【穴澤賢の犬のはなし】


でもなぜ後から来た方は、みんな“末っ子根性”丸出しになるのだろう。そしてなぜ、先にいた方は、心が広く大人な対応ができるのだろう。

犬にもある“末っ子魂”【穴澤賢の犬のはなし】


大吉も“ひとりっ子”時代から優しい性格ではあったが、心が広いと感じたことはなかった。なのに福助が加わってから、急に顔が兄っぽくなり、いくらバトルをふっかけられても本気で怒ることはない。

犬にもある“末っ子魂”【穴澤賢の犬のはなし】


本気を出せば大吉の方が強いのは、体の動きを見ていれば分かる。しなやかでむだがなく、反射神経も高い。なのに、というか、だからこそ福助の攻撃を読んでサラリとかわしたり、決して背後を取られたりしないのだろう。対して福助は、動きがドタバタしていてむだが多く、すぐに転んだりする。

犬にもある“末っ子魂”【穴澤賢の犬のはなし】


もちろん福助も本気でかんだりしているわけではないのは知っているが、それにしても突進して大吉にぶつかったり、まぁまぁの勢いでバトルを挑んでいる。

犬にもある“末っ子魂”【穴澤賢の犬のはなし】


そんな大吉も14才になり、あまり反撃することは少なくなってきた。年齢的にはそりゃそうかと思うが、それでもスルリとかわしたりして、一方的にやられることはない。

犬にもある“末っ子魂”【穴澤賢の犬のはなし】


そんなことはおかまいなしに、福助は未だにバトルを挑んでいる。もう11才なのに、やっていることはガキンチョのまんまである。もし大吉がいなかったら、こんな“末っ子”丸出しの性格にはなっていなかっただろう。もし仮に、大吉がいない状態で福助を迎え、後から別の犬を迎えていたなら、兄の顔になったんだろうか。それは絶対ない気がするが。

犬にもある“末っ子魂”【穴澤賢の犬のはなし】


でも大吉にしても、福助を迎えていなければ、兄っぽくはなっていなかっただろうし、バトルに付き合うことで14才になる今も元気なのではないかと思う。本当にいいコンビだ。

犬にもある“末っ子魂”【穴澤賢の犬のはなし】

プロフィール
穴澤 賢(あなざわ まさる)
1971年大阪生まれ。2005年、愛犬との日常をつづったブログ「富士丸な日々」が話題となり、その後エッセイやコラムを執筆するようになる。著書に『ひとりと一匹』(小学館文庫)、自ら選曲したコンピレーションアルバムとエッセイをまとめたCDブック『Another Side Of Music』(ワーナーミュージック・ジャパン)、愛犬の死から一年後の心境を語った『またね、富士丸。』(世界文化社)、本連載をまとめた『また、犬と暮らして』(世界文化社)などがある。2015年、長年犬と暮らした経験から「DeLoreans」というブランドを立ち上げる。

大吉(2011年8月17日生まれ・オス)
茨城県で放し飼いの白い犬(父)とある家庭の茶色い犬(母)の間に生まれる。飼い主募集サイトを経て穴澤家へ。敬語を話す小学生のように妙に大人びた性格。雷と花火と暴走族が苦手。せっかく海の近くに引っ越したのに、海も砂浜もそんなに好きではないもよう。

福助(2014年1月11日生まれ・オス)
千葉県の施設から保護団体を経て穴澤家へ。捕獲されたときのトラウマから当初は人間を怖がり逃げまどっていたが、約2カ月ほどでただの破壊王へ。ついでにデブになる。運動神経はかなりいいので、家では「動けるデブ」と呼ばれている。

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