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「仕事で嘘をつくのは仕方ない、でも自分に嘘をつかないほうがいい」と箕輪厚介が学生にぶっちゃけアドバイス、その理由は……

マイナビ学生の窓口

編集者で実業家の箕輪厚介さんをゲストにお迎えし、「働くこと」について学生たちが本音で語り合う本企画。

第2回目のテーマは「熱狂」について。箕輪さんは著書で「仕事に熱狂することの重要性」を伝えています。

学生の皆さんは、自らの「熱狂」をどのように見つけ、どのように就活やキャリアに活かしたいと考えているのでしょうか。建前などは一切なし。とことん本音で語り合います!

自分の「熱狂」をどう見つけ、どう活かす?

――「自分をブランド化するためには、常軌を逸した熱狂が不可欠だ」という箕輪さんの言葉があります。みなさんはこの考え方についてどう思いますか? 何か熱狂していることはありますか?

片江:すごく共感します。自分が熱狂して取り組んだのはヒッチハイクですね。就活を終えてから、日本中でずっとヒッチハイクしていた時期があったんです。ところが、これから社会に飛び込んでいくと、自分が矯正されてしまう……

箕輪:出た~!(笑)

 大学4年生の片江さん

片江:あ、つい……(照)。どんなに個性的で広い視点を持っていても、やっぱりこの日本社会は才能や視野がすごく狭められてしまう社会という気がして……

箕輪:うん同調圧力だね。実際そうなるよ。

片江:はい、そう思って、最後にすべて発散しようとヒッチハイクをしていたんです。そのなかで人との出会いもあったし、社会で生き抜く力も身についたし、やってよかったと思っています。社会に出たら熱狂できるものも見つけにくくなると思うんですけど、あまり社会に揉まれすぎず、好きなことを見つけて、自分なりに効率よくやっていきたいと考えています。

箕輪:多分、9割ぐらいの人は社会のほうに染まるよね。それが楽だから。でも、突き抜けて活躍したり、本当に好きなことをしたいなら、それ以外の少数派として自分を貫いたほうが希少価値は上がるけどね。だから、「ヒッチハイクで散々発散したから、もう社会の奴隷になろう」とかは思わないほうがいいと思う。

片江:はい。

箕輪:前に、幻冬舎で若い社員が「謎のSNS戦略企画」を持ってきたことがあったんだよね。若い世代なら絶対に無意味な企画だってわかるはずなのにさ。「これ、意味あると思う?」って聞いたら「思わないっす」って。偉い人たちに指示されて仕方なくやってるんだよね。

だけど、まったく実績もない若手が上司に対して「これ、意味ないと思います」なんて言っても揉めるだけじゃん。だから、「表面上は『はい』って言っておけばいいけど、自分には嘘つかないほうがいいよ」って伝えた。

社会で生きるうえで、人に嘘つくのはしょうがない。「いい企画ですね」くらいの社交辞令はあったほうがスムーズに物事が進むから。でも、自分には嘘つかないほうがいい。

心のなかではちゃんと「これクソ企画だな」って思っておかないと、いつか「もういいか」「こんなもんか」って諦めちゃって、自分の気持ちも聞こえないようになる。それが習慣化すると、もう何も考えないようになっちゃうから、自分を貫いたほうがいいと思う。

社会で自分を貫くには? 「うまい具合に誤魔化しながらやったらいい」

片江:社会に出ると週に5日仕事して、土日で休息して次の月曜日のために体調を整えていこう、って習慣ができてしまうと思います。そうなると、なかなか自分を貫くのも簡単じゃなさそうですよね。箕輪さんはどうされていたんですか?

箕輪:俺、そんな働いてなかったもん(笑)。大手の 出版社って新入社員はまず書店研修っていう通例なんだけど、今までの十数年の社会人生活でこれが一番キツかった。本当に大変なの。売り場で本にカバーかけたりするんだけど、俺、不器用だからくしゃくしゃになっちゃうのよ。お客さんにもめっちゃ嫌な顔されてさ。あと、レジ打ちの経験もないからクレジットカードの決済とかも慣れてなくて難しいのよ。

もう最後は本屋さんの裏の倉庫で、ファッション雑誌に付録を付ける作業をやらされて。「なんで俺だけ。ふざけんなよ」って思った。で、その時にたまたまおじいちゃんが亡くなったから、「祖父の家はすごく遠いところにある」って嘘ついて、最後の2週間くらいは研修に行かなかったの。

片江:えっ……(笑)

箕輪:そんなもんよ。あんまり考えすぎないほうがいい。でも、つらいからってサボりまくってるとダメ人間になりすぎちゃう。だから自分の明確な意思を持って、うまい具合に誤魔化しながら社会人をやったらいいと思う。

俺、新卒から5年間は雑誌の広告営業をしていて、「営業に行ってきます」と外出して、夕方からサイゼリヤで赤ワイン飲んでたから。それが良いわけじゃないけど、社会の歯車的な行動が本当にできなかった。

社会でいう「仕事」って、はっきり言ってほとんど仕事じゃないのよ。週5で9~17時みたいな仕事って、俺みたいに個人で稼いでいる立場からすると、9割は仕事ごっこしてるようにしか見えない。会議ごっこ。メールごっこ。個人で金を稼ぐために効率的に生きようとしている人からすると、意味のないことをみんなで「これが仕事なんだ」っていうことにしているようにしか見えない。

だからあんまり気負わなくていいよ。大半はくだらないよ。本質的なことは1、2割しかない。でも、あまりそう言い過ぎちゃうと超嫌われるから、心のなかでそう思いながら、バランスよくやったほうがいいよ。社会って調和が大事だから。

片江:なるほど。楽になりました。ありがとうございます!

大切なのは専門知識よりも「根っこにある行動原理」

 大学2年生の久保敷さん

――それでは続いて久保敷さんはいかがですか?

久保敷:私は気になったものにすぐ手を出して、それが割と継続するタイプなんです。今は大学で経営や会計を学びつつ、最近だと動画編集やnote、ウェブサイト作りなんかもちょっとやっているのですが、楽しみながら続けることを「熱狂」と呼べるなら、どちらの学びも結構熱中しながら取り組めているんじゃないかと思います。

箕輪:すごいじゃん。

久保敷:だけど、「学校の学びと動画編集、どっちを仕事にするんだ」って聞かれたら、今は正直、どっちも仕事にすることは考えられないんですよね。でも、それも逆にいいんじゃないかと思っているんです。

もし仮に片方を仕事にしてつらいと感じても、頑張ってもう一つを空いた時間でやる、そのために時間の作り方も工夫できる気がします。理想論かもしれませんが、そういう働き方ができたらいいなって思ってます。

箕輪:動画編集の経験があるから動画の編集者になるとか、会計の勉強をやってるから会計士になるとか、自分で専門職に就こうとしない限り、今の日本の就活では、あまりはならないんじゃないかな。むしろ、その根っこにある自分の行動原理のほうが大事というか。

久保敷:行動原理?

箕輪:例えば俺だったら、「学生時代から本を作ってたから出版社に入社した」とかじゃないわけよ。根っこにあるのは、常にその日に起きたことが「ネタになるな」って考えられる性格で、結局、何でもコンテンツにしちゃうことが好きなんだよね。

だから久保敷さんも、その根っこにある「いろんなことに境界なくすぐ取り組める」っていう行動原理が活かせる仕事とかを考えていくといいんじゃない?

久保敷:そうですね。考えたことなかった……。

箕輪:世の中めちゃめちゃ変わっていくからさ、動画編集が今すごいキテるけど、3年後にはAIがほとんど編集してくれるかもしれない。そうなったときに、「もうやばい、終わった」って思うか、「そもそも動画編集をやりたいってより、人を楽しませることが好きだったんだよな」って思えるかの違い。

動画編集は手段でしかないじゃん。根っこの部分がわかっていれば、「AIが動画編集するなら、自分はまた他のこういうことをやってみよう」って変化していけるからね。

「土日を楽しむために平日は働く」みたいな考えも大アリ!

 
大学3年生の奥津さん(右)

――奥津さんはいかがでしょう?

奥津:私も、箕輪さんの「自分をブランド化するためには、常軌を逸した熱狂が不可欠だ」っていう言葉にはすごく共感しています。「ブランド化=差別化」と考えていて、それは就活でも一緒だと思うんです。言い方は悪いですけど、私たち学生は選ばれる側なので、選ばれやすくなるには「常軌を逸した熱狂」をアピールすることが大切だと思っています。

ただ、ここにいる皆さんは結構、仕事と生活を切り離さないで考えているような気がしているんですけど、私自身は「土日を楽しむために平日は働く」みたいな考えもすごくアリだな、と思っているんです。なので社会の歯車になることも厭わないタイプなんだなって気付けました。

箕輪:多分、向き・不向きがあって、与えられた仕事をこなして、わかりやすい評価システムで経験とスキルを積み重ねて、会社にも貢献するのに向いてる人が大半だと思うんだよね。自分の成長をちょっとずつ感じながら仕事して、土日は頭を切り替えて本当に自分がやりたいことをやる。そういうパターンも全然いいよね。

仕事と遊びの境界がない人のほうがわかりやすいし、面白く見えるから、そういう人がメディアに出たり、本を出したりしてるわけだけど、ほとんどの人はそうじゃない。自分と折り合いをつけながらやれる範囲でやって、生きがいを感じて、家族を大切にしたり、友達を大切にしたり、趣味を楽しんだりする。それもすごくいいと思うよ。

奥津:仕事と生活が限りなく近いところにあるのって、大変じゃないんですか?

箕輪:俺の場合は大変じゃない。本当にこの生活がずっと続いてるから。でも逆に、もう何も感動しなくなっちゃったから、あんまよくないなとも思う。仕事も遊びみたいになってるわけよ。もう全部が。

例えばこの前、ハワイに行ったんだけど、マジで何も感じないというか。仕事と生活を分けているスタイルだと、「ハワイだ!」ってなるじゃん。でも、仕事でも常にハワイみたいな楽しいところに行ってるようなもんだから、ずっとフラットに楽しいんだよね。だから逆に、「あれっ、感動がない」って気づいた。ずっと好きなことしかしてないと、好きなことも日常になりすぎるんだね。

だから、自分の性格と合うかどうかだよね。仕事と生活を分けていても、すごく出世してキャリアを築く人もいるし。でも多分、クリエイティブ系の仕事をするなら、やっぱり仕事と生活が一致している人の方が強いよね。

「憧れてたものが日常になる。振り返ればすごく幸せ」

 
大学3年生の中野さん

――それでは最後に、中野さんお願いします。

中野:自分が熱狂して取り組んでることはカメラです。最近はさすがに就活でちょっと離れてるんですけど、撮っていたときは月間で3万枚くらいは撮っていました。箕輪さんの考えにもすごく共感をしていて、よく「得意なことが3つで100万人に1人の存在になれる」っていうじゃないですか。

箕輪:ああ、「藤原(和博)さん理論」ね。

中野:そうです。その100万人に1人の存在になるために、ある程度その“好き”のレベルが高かったり、それにお金や時間を費やしていったりすることが必要なのかなって捉えています。

箕輪:なるほど。

中野:この熱狂をキャリアにどう活かすかということについては、「仕事で1日8時間も拘束されるなら、せっかくならちょっとでも楽しんだり、やりがいを感じられたりするほうがいいんじゃないか」って考えるタイプです。なので、熱狂してるものとまったく関連性がないものではなく、少し関わりがある仕事をしたいですね。

箕輪:いいと思うよ。

中野:箕輪さんにお聞きしたいのですが、さっき仕事と生活が一致してるので、あまり感動しなくなったとお話でしたが、それは新しく取り組むことに対しても同じですか?

箕輪:本当にやったことがないこととかは刺激的だけど、結局それも永遠に終わりのない「ドーパミンによる快楽の奴隷」だなって気づいたんだよね。

中野:ああ~。なるほど。

箕輪:上には上がいるっていうか、前澤(友作)さんとかは、そのドーパミン的快楽の果てに宇宙まで行ったわけじゃん。もう終わりはないよね。そうやって飽くなき追求をしてるのが、前澤さんとかホリエモンとか、孫(正義)さんだと思う。

俺、そこまでそれ追求したいとも思わないから、もうドーパミン的快楽で自分の幸福度が上がるとは思わなくなったね。……うん。

中野:もう1点お伺いしたいんですけど、箕輪さんは『スッキリ』(日本テレビ)にも出演していたじゃないですか。あのオファーは仕事的な感じで受けたのか、それとも新しい刺激みたいな観点で受けたのか、どちらなのでしょう?

箕輪:両方だよね。いきなり会社に電話がかかってきて、「ちょっとコメンテーターをお願いしたくて」って。それまでも雑誌の取材とかは受けてきたけど、コメンテーターになるなんてまったく思ってなくて、面白そうだったし受けたんだけど、これも本当に慣れるまでが早いのよ。

最初は「うわ、芸能人がいる」とか「俺テレビに出てんだ」って思うじゃん。でも3ヶ月ぐらいするとマンネリになって、番組中にスマホいじったり、CM中に別の仕事したり。人間って本当に慣れるんだなって思ったもん。これは他の番組でもそうだし、どんな人と仕事してもそう。こういう仕事の宿命だよ。

でも、それが好きだけどね。憧れてたものが日常になり、仕事になってくっていうのは嫌いじゃない。ずっと憧れていた人と普通に仕事したり、昔は「ニコニコ動画で酒飲みながら話すだけでお金もらえる仕事っていいな」って思っていたけど、今は自分がそうなっている。振り返って考えてみると、すごく幸せだなって思う。

次回はついに最終回。「会社で働くことの不安」をテーマに本音で語り合います!

執筆:猿川佑
写真:猿川佑
編集:金井唯

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