能登の子どもたちや被災者を、美しい音楽で励ましてくれた〈ウィーン・フィル〉メンバーの一日
サントリーホールは、“世界一美しい響き”をコンセプトに1986年に誕生し、世界中から著名な指揮者、演奏家を迎え公演が開催されている。なかでもウィーン・フィルハーモニー管弦楽団の来日公演は、サントリーホールの主催公演のひとつになっているが、慈善活動にも力を入れていることを紹介したい。
東日本大震災後の2012年に「ウィーン・フィル&サントリー音楽復興基金」 が設立され、ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団員は、継続的に被災地を訪れ、「こどもたちのためのコンサート」を開催することで次世代の音楽愛好者と演奏者育成のための音楽指導に取り組んできた。2012年から10年以上続けてきたが、今年は能登の子どもたちとの交流が実現した。
「ウィーン・フィルハーモニー ウィーク イン ジャパン 2024」に来日したメンバーのうち7人が、11月18日(月)に能登を訪問し、のと里山空港に降り立った直後には、駐車場内にある仮設飲食店街 NOTOMORI で「NOTOMORI 特別演奏会」が実施され、一般の観客124名がベートーヴェンの七重奏曲の演奏を鑑賞した。来場していた女性は「1月1日が近づき、少し気分が落ち込みそうになっていたが、今日の演奏を聴いてまた頑張ろうと思った」と笑顔で話していた。
午後には能登半島地震で被災した石川県珠洲市の市内の中高生約470名を招待した。会場の〈ラポルトすず〉では、ベートーヴェンの「七重奏曲 変ホ長調 作品20」を披露。また演奏会終了後にはクラリネットとホルンの奏者が、飯田高校と緑丘中学校の吹奏楽部の生徒との交流会に参加し、交流会では演奏の指導や質疑応答が行われた。世界的なオーケストラの奏者からの直接指導を受けた子どもたちにとって生涯忘れえぬ想い出になったことだろう。
▲NOTOMORI は、11月2日にオープンしたばかりの会場。のと里山空港到着後すぐに行われた「NOTOMORI 特別演奏会」の様子