低投票率の衆議院選挙 投票しない理由は? 政治不信や無関心以外の意外なワケ
■衆院選投票率は戦後3番目に低い53.85% 静岡県は微増の54.81%
10月27日に投開票された衆議院選挙の投票率は53.85%で3年前の前回選挙を下回った。静岡県内の投票率は54.81%で前回から微増。自民党の裏金問題という大きな争点があった国政選挙でも投票率は大きく伸びなかった。投票に行かない理由には意外な内容もあった。
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裏金問題の逆風は強かった。公明党の連立で過半数の議席獲得を目指した自民党は目標を達成できなかった。
争点が明確だった今回の衆院選は今までよりも有権者の関心が高いとみられていた。だが、投票率は前回よりも2.08ポイント低い53.85%と戦後3番目の低さ。投票者が過半数を超えるのがやっとだった。
静岡県は裏金問題の影響が色濃く表れた選挙区や与野党候補の一騎打ちとなった選挙区があったことから、投票率が伸びると予想されていた。ところが、前回より0.78ポイント増の54.81%で、ほとんど変わらなかった。
選挙のたびに政治家や行政などから投票の重要性が訴えられているが、一向に状況は改善しない。自治体の選挙管理委員会は恒例行事のように啓発グッズを配布したり、啓発キャラクターを起用したりしているが、効果が出ているとは言い難い。
なぜ、選挙に行かなのか。最も多い理由は政治への不信感や無関心だ。県内の有権者からは「どの党や候補者に投票しても大差はない」、「自分が1票を投じても何も変わらない」、「自民党に任せられないからと言って、他の党にも期待できない」といったあきらめの声が漏れる。
■「投票所でイライラ」、「啓発キャラが…」 選挙に行かない様々な理由
選挙に行かない意外な理由もあった。仕組みへの不満だ。県内の有権者からは次のような意見も出ている。
「ネットから投票できるなら、もう少し真剣に選挙を考える。投票率が下がればネット投票が真剣に議論される可能性があるので、今の方法に反対する意思を示す意味で投票していない」
「投票所の受付で何度も投票権を確認されるのがうっとうしい。投票権がなくても投票できるのに、複数の人で何度も確認する意味が分からない。投票所のスタッフの数が無駄に多すぎるし、そこに税金が投じられていると思うとイライラするので選挙に行くのをやめた」
「普段は全く政治に関心がないインフルエンサーを啓発キャラクターに使っているのを見てから、選挙に行くのが馬鹿らしくなった。選挙啓発でどんなことにいくら使って、どのくらいの効果があったのか。税金を投入している以上、検証して説明すべき」
今回の投票率には、各党の陣営も危機感を募らせている。立場は違うものの、県内の与野党関係者は「裏金問題という、これだけはっきりとした争点があるにもかかわらず、ここまで投票率が低いとは思わなかった」と口をそろえる。国政選挙でも投票率50%を超えるのがギリギリの現状に「投票することが少数派になるのも時間の問題」と嘆く地方議員もいた。
(SHIZUOKA Life編集部)