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漱石を飾り、美人画を描く。橋口五葉の全貌に迫る ― 府中市美術館

アイエム[インターネットミュージアム]

府中市美術館「橋口五葉のデザイン世界」会場


版画、デザイン、洋画、日本画など、明治から大正にかけて幅広く活躍した橋口五葉(1881〜1921)の多彩な仕事に光を当てる展覧会が、府中市美術館で開催されている。

橋口五葉は鹿児島市生まれ。東京美術学校で洋画を学ぶ一方で、夏目漱石の『吾輩ハ猫デアル』をはじめとする装幀を多数手がけた。

展覧会の出発点は、『吾輩ハ猫デアル』の装幀から。五葉は東京美術学校在学中に漱石と出会い、その才能を認められて多くの漱石作品の装幀を手がけた。会場では『鶉籠』『草合』『行人』といった装幀本のほか、漱石との交流をうかがわせる挿絵や関連資料も展示する。

さらに、泉鏡花の著作を中心に、五葉が装幀を手がけたおよそ50点の書籍を紹介。表紙から見返し、本文に至るまで細部にこだわり抜いたデザインが並び、「ブックデザイン」という言葉が定着する以前の、先駆的な取り組みを垣間見ることができる。

また、油彩画《孔雀と印度女》や《黄薔薇》といった絵画作品、石版刷りのポスター《此美人》、絵葉書、雑誌のグラフィックデザインなどのほか、《髪梳ける女》などの新板画も展示。五葉の画業全体が見渡せる構成とした。

展覧会「橋口五葉のデザイン世界」は府中市美術館2階の企画展示室で、2025年7月13日(日)まで開催。観覧料は一般800円など。


府中市美術館「橋口五葉のデザイン世界」会場

府中市美術館「橋口五葉のデザイン世界」会場

府中市美術館「橋口五葉のデザイン世界」会場

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