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兵庫県知事選挙の結果、「SNSの勝利」でいいのか?

文化放送

ニュースキャスターの長野智子がパーソナリティを務める「長野智子アップデート」(文化放送・月曜日~金曜日15時30分~17時)、11月18日の放送で、前日に投開票の行われた兵庫県知事選挙を特集。斎藤元彦氏の2回目の当選を受け、政治ジャーナリストの角谷浩一がコメントした。

鈴木純子(文化放送アナウンサー)「斎藤元彦さんはパワハラなどの疑惑を文書で告発されて県議会の不信任決議を受けて失職したもののSNSも駆使した選挙戦略で急速に支持を広げました。ネットの調査で10~20代の7割が指示、60・70代以上は稲村和美氏の支持が半数を占めた、という調査結果もあるんですね」

長野智子「長年、政治はもちろん選挙も取材されてきた角谷さん。今回の選挙について、どう思われますか?」

角谷浩一「SNSの勝利などというのは少し荒っぽい分析だと思います。きょう番組冒頭で長野さんも言ったように、ネット対メディアみたいな構図に持っていくのも荒っぽい話。皆さんにも興味を持っていただきたい『XYジャーナリズム』という言葉があるんです。Xは旧Twtter、YはYouTubeのYなんですね」

長野「ほう」

角谷「Xは『YouTubeで見た情報が、テレビや新聞で言っているインチキ情報より正しい』『マスゴミ対XYジャーナリズムの戦いだ』という構図にする向きがある、心情的にはわかります。メディアは確かにいい加減なものもたくさんあります。一般紙はさほどしないけど雑誌やスポーツ紙はコタツ記事で飯を食っているような状態になり始めている。取材する、ファクトチェックする、ということが雑になってきた」

長野「はい」

角谷「噂で記事が書けてしまう時代になったとき、信じた人たちはどうすればいいの、ということ。最初に神戸新聞や地元の朝日新聞が知事の問題をあげつらったとき、みんな『そうだ!』と飛びついた。百条委員会ができて支援していた自民党や維新の人たちも『もう斎藤はダメだ』となって不信任、全会一致の可決」

鈴木「はい」

角谷「それで出直し選挙になる。斎藤さんが出る、再選すると思わなかった人もいるかもしれない。でも斎藤さんが『不信任、出すなんて。議会解散するぞ』と言っていたらどうなっていたか。じつは兵庫県の選挙の一連の問題は、いろんな問題を抱えている。たとえば民主主義のコスト、選挙のあり方。有権者は選挙運動などしなくてもYouTubeやX(Twitter)で流れてきたものだけで判断するなら、街宣も何もいらなくなる」

長野「はい……」

角谷「つまり選挙のかたち自体が、変わろうとしているんじゃないんです。ゆがめられようとしている、ということが前提になければいけない。でも『角谷の言うことなんて古いやり方。いまの人たちは何が正しいかわかっているんだ』。わかっているんじゃなくて、見極め切れていないんですか、と」

長野「うん……」

角谷「本当に見極めなければいけなかったのはどこだったんですか、と。全会可決で二元代表制の知事と議会の議会が斎藤さんはダメと言っているのに再選されて帰ってきた。議会はちやほやするんですか? 百条委員会で調査したパワハラ、こういうことは勝ったのでなかったことに、となるのかどうか」

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