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銀行マンの父親は、小学1年生の娘にお金の価値をどうやって教えている? 「パパじゃなく財布と相談したら?」

OTEMOTO

おこづかいはいつから渡す? キャッシュレス時代にお金の価値を教えることはできる? もしもトラブルになったらーー。計算を十分に習っていない小学生に、どうすればお金の概念をわかりやすく伝えられるのでしょうか。小学1年生の娘を育てる銀行員に聞きました。

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Akiko Kobayashi / OTEMOTO

かつては小学生がお金の大切さを学ぶツールは「おこづかい帳」くらいでしたが、学習指導要領の改訂で2020年度から段階的に小学校で金融教育が始まり、低学年でお金の概念を学ぶこどもも増えています。

OTEMOTOは小学生のこどもがいる保護者を対象にアンケートを実施し、「おこづかい」の有無、金額、管理方法、使い方や金融教育について聞きました。

その結果、「お金を渡すのはまだ早い」「自分で管理させている」など家庭によって対応はさまざまで、与える金額もまちまち。こどもの性格や生活スタイルを見極めながら各家庭で対応している様子がうかがえました。

徳島市に本店を置く徳島大正銀行の東京支店で支店長代理をつとめる近藤俊矢さんは、小学1年生と4歳の女の子の父親。OTEMOTO読者と同じように悩みつつも、長女にはお金の価値について教え始めているといいます。銀行員ならではの「初めての金融教育」の方法について教えてもらいました。

おこづかいはあげる?

アンケートあげる派)の声:

年齢に00をつけた金額が毎月のおこづかいです。おこづかいとしてあげたお金の用途はこどもの自由。特に決めていません」(40代母親 / 1年生女子 / 千葉県)

「こどもが頑張ったら歩合制で渡している」(30代母親 / 1年生女子 / 岐阜県)

「家の手伝いをしたら1回につき10円。自発的にやったら50円など、場合によっては増額する」(40代母親 / 3年生男子 / 東京都)

「我が家は早く寝ることができたらおこづかいをあげるシステム。午後8時までに寝たら100円、8時半までは50円と減っていきます(笑)。時間管理と、母自身のプライベート時間を確保する目的です」(30代母親 / 2年生女子 / 大阪府)

アンケート(あげない派)の声:

「駄菓子屋に行くときや必要な買い物があるときに、必要な分を渡しています」(40代母親 / 2年生女子 / 東京都)

「おこづかい制と必要なときに渡すのとどちらがいいか聞いたところ、必要な時にほしいとのことなので、おこづかいは渡していません。中学生に上がるタイミングで再度こどもと話し合いたい」(30代母親 / 2年生女子 / 東京都)

「おこづかいはあげていません。お年玉は3000円だけ自分で管理させています」(30代母親 / 3年生女子 / 東京都)

近藤さんの場合:

我が家では、娘たちにおこづかいはあげていません。仕事をして給料を得るように、お金は何かをしたことの「対価」として得られるものだということを、銀行員としても親としても娘に伝えたいからです。

お手伝いをした対価として与えるという考え方もありますが、家族の構成員として生活に必要なことをするのは当たり前なので、家事の対価を与えるというのも違う気がします。

勉強やかけっこ、習い事などを頑張ったときは、おいしいご飯を食べに行ったり、ほしいものを買ってあげたりと、お金以外のごほうびにして、頑張ればうれしいことがあるようにはしています。

徳島大正銀行東京支店支店長代理 近藤俊矢さん
Akiko Kobayashi / OTEMOTO

使い方をどう管理する?

アンケートの声:

「お年玉をもらうと、そこからおこづかい1年分を渡し、残りは貯金します。今年はおこづかいとして7000円、臨時収入として3000円渡しました。使い方を自分で考えさせたいので、ある程度の金額にしています。友達とお祭りに行くときに1500円持って行くと約束したら、1000円はおこづかいから、500円は私から、のように残金をみながら調整しています」(40代母親 / 4年生女子 / 大阪府)

「お年玉は年間を通じて自分で管理させています」(30代父親 / 1年生男子 / 神奈川県)

「おこづかいの使い方は自分で考えてほしいのですが、ガチャ(カプセルトイの販売機)の誘惑に負けてすぐに無駄遣いするので、口出ししまくりです(笑)。それでも『買いたいものが買えなくなってしまったから、無駄遣いを減らす!』と言ったりしているので、使い方を考えるようになったかな?」(40代母親 / 4年生女子 / 大阪府)

近藤さんの場合:

小学校に入学後の5月、長女に初めての財布を買いました。小児用の交通系ICカードを持ち歩く必要が出てきたからです。

お金もカードもすべて自分で管理するための財布なので、長女は自分で選びました。そうすると、宝箱におもちゃを増やしていくような感覚で、小銭を大切に保管しています。

小銭は、小さなお菓子を買ったり、ガチャを回したりするためのものです。おこづかいとしてではなく、減ってきたら親が補充している感じですね。

近藤さんの長女が自分で選んだ財布。宝物のコインも入っている
写真提供:近藤俊矢さん

ちょっとコンビニに行くときにも「財布持った?」と声をかけます。「これ買っていい?」と聞かれたら、「パパじゃなくて財布と相談してみたら」と言って判断させています。金額の大きさはまだわからないようなので、持っているお金で買えるものかどうかは教えます。

レジに行くのも自分で。もちろん後ろから見守りますが、自分で財布からお金を出して、おつりを受け取ります。お菓子を買うためにお金を払うと、ガチャをしたいときにお金がなくなるという一連の流れを体感し、お金について少しずつ学んでほしいと思っています。

財布の中にある金額内であれば長女が何を買おうと任せていますが、思いのほか減っていたときには経緯を聞くようにしています。何に使い過ぎたのか、本当にほしいものだったのか、話を聞くことで、こどもなりに気づくようです。

お金の概念をどう教える?

アンケートの声:

こどものためにもらったお金は本人の手元に一度置き、ほしいものがあればそこから買ってもいいと言っています。本人も何でもすぐ買おうとせず考えて使っているので制限はかけていません」(40代母親 / 3年生男子 / 東京都)

「おこづかいは渡しておらず、お年玉などもらったお金は基本的には貯金や寄付。必要なものがあるときは、なぜいまそれが必要かプレゼンしてもらい、親が納得できたら買います」(40代母親 / 4年生女子 / 奈良県)

「失敗させることも一つの方法かも」(母親 / 中学生以上男子 / 東京都)

近藤さんの場合:

長女はガチャが好きで、千円札をあげようとすると「いらないから、100円ちょうだい」と言ってくるんです。紙幣よりも、ガチャで使える銀色の硬貨のほうがキラキラして価値があるように見えるんでしょうね。そんなときには「1000円あったらガチャが◯回できるんだよ」「1万円あったら◯回できるよ」「1万円を手に入れようとしたら、◯時間くらい働かないといけないんだよ」などと話すようにしています。

徳島大正銀行では、徳島県内の小中高校や支援学校で金融教育の出前授業をしており、小学校低学年も対象です。

低学年ではまずは「お金って何だろう」というところから学びます。昔は物々交換が行われていたことや、紙幣と硬貨の違いなど、浅く広く、お金の概念を教えます。

キャッシュレスやネット決済が当たり前となり、今のこどもたちは実際にお金のやり取りをしなくても買い物ができる時代を生きています。金額の大きさがわからないまま、親のクレジットカードでゲームの課金をしてしまうなどトラブルになりかねません。

ですが、お金のことをちゃんと学べば、リスクだけでなく楽しみや喜びにつながり、人生を豊かにする可能性が広がります。

私が娘たちにお金について教えるのは、お金を通して「ものの価値」がわかるようになってほしいからです。お金とうまく付き合う方法を早くから身につけてほしいと思います。

こどものために貯蓄してる?

アンケートの声:

「お年玉などいただいたお金は母親が管理し、児童手当などと一緒の口座に貯めています」(40代母親 / 2年生男子 / 長崎県)

「お年玉は貯金していましたが、諸経費が足りず使わせてもらったり、本人のために何かを揃えるために使わせてもらいました。今年は本人に使わせてお金の勉強を少しさせています」(40代母親 / 2年生女子 / 埼玉県)

「お年玉は合計1万円になるように追加して、こども名義で投資しています」(40代母親 / 3年生女子 / 神奈川県)

近藤さんが管理しているのは、家計の口座と、積立やNISA用の口座。こども2人それぞれの口座もある
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Akiko Kobayashi / OTEMOTO

近藤さんの場合:

娘たちが生まれてすぐ、それぞれの口座をつくりました。出産祝いなど、こどものためにいただいたお金を預け入れるためです。

普段はほとんど使わないのですが、児童手当だけは、私の口座に振り込まれたら、こどもそれぞれの口座に移動させています。

貯蓄や積立、保険など、こどものためにお金を準備する方法はさまざまですが、大切なのは日常的に使うお金とは「分けておく」ということです。

学用品や習い事、塾の月謝など、子育てには何かとお金がかかります。「こどものためのお金」といってもすぐに出ていくお金もかなり多いため、将来のためのお金は仕組みとして口座を分けるなどしておくと、うっかり手をつけることなく自動的に貯めることができますよ。

※ ネウボラ = フィンランド語で「アドバイスの場」という意味。妊娠期から子育て期まで切れ目のないサポートを提供する自治体が日本でも増えています。
※アンケートは引き続き募集中です
OTEMOTO

新学期は、学校生活で心配なことが増えたり、さまざまな家庭の子育てに触れる機会が訪れたりする時期。OTEMOTOでは、親子サポートプロジェクト「6歳からのneuvola(ネウボラ」をスタート。保護者が悩みがちなテーマについて、"先輩"や"同期"にあたる保護者たちのリアルな声を紹介します。

ひとつの正解はないけれど、みんながどう対処しているのかを知ることで、「うちの子には何が合うのか」を考えるヒントになりますように。アンケートは引き続き募集していますので、ご意見やご経験をお寄せください。

課題解決をともに考え、親子をサポートする企業や団体を募集しています。詳しくはこちら(contact@o-temoto.com)からお問い合わせください。

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