体をうまく動かすことができない「運動症群(MD)」に含まれる3つの症状とは?【心と行動がよくわかる 図解 発達障害の話】
・意思とは無関係にまばたきなどが繰り返される 「チック症( TD)」
・複数の動作を連携させる協調運動が困難な 「発達性協調運動症( DCD)」
・目的のない行動を繰り返す「常同運動症( SMD)」
身体のコントロールが困難な状態
体を動かすことに何らかの困難がある「運動症群(MD)」には、「チック症(TD)」「発達性協調運動症(DCD)」「常同運動症(SMD)」の3つが含まれます。
チック症は、自分の意思とは無関係に咳払いや発声をしてしまう「音声チック」と、まばたきや肩すくめなどをしてしまう「運動チック」の2種類があり、それぞれ「単純チック」と「複雑チック」(下図参照)が存在します。また、音声チックと運動チックの両方が1年以上続いた場合は「トゥレット症」となります。
発達性協調運動症は、極端に不器用であったり、運動が苦手だったりする人のことです。身体機能に限られる問題はありませんが、たとえばバスケットのドリブルのように、「ボールを手でバウンドさせながら走る」といったような別々に動く複数の動作を連携させて円滑な運動を行う協調運動がうまくできません。
そして、常同運動症は、何かに駆り立てられるように頭を揺らす、飛び跳ねるといった常同行動(目的のない行動)を繰り返してしまうものです。常同行動は小さな動きから大きな動きまでさまざまありますが、指や唇を噛んだり、頭を壁に打ちつけたりする自傷行為を繰り返すこともあります。
【出典】『心と行動がよくわかる 図解 発達障害の話』
監修:湯汲英史(ゆくみえいし) 日本文芸社刊
監修者プロフィール
公認心理師・精神保健福祉士・言語聴覚士。早稲田大学第一文学部心理学専攻卒。現在、公益社団法人発達協会常務理事、早稲田大学非常勤講師、練馬区保育園巡回指導員などを務める。 著書に『0歳~6歳 子どもの発達とレジリエンス保育の本―子どもの「立ち直る力」を育てる』(学研プラス)、『子どもが伸びる関わりことば26―発達が気になる子へのことばかけ』(鈴木出版)、『ことばの力を伸ばす考え方・教え方 ―話す前から一・二語文まで― 』(明石書店)など多数。