伝統工芸の静岡挽物のお噺し
2024年10月13日放送の「静岡市歴史めぐりまち噺し」。今日は伝統工芸の静岡挽物のお噺しです。
語り:春風亭昇太
ろくろを使って回転させながら、木材を様々な刃物でくりぬいたり削ったりして作る木工挽物。
挽物の技術は元治元年、1864年に箱根の挽物職人から技術を学んだ職人が静岡に伝えたとされています。
静岡で挽物が、産業として育っていったのは、家具や雛具などの地場産業の存在も大きな要因だったとみられています。
1本の木材からあらゆる曲面を作り出す挽物の技術は、家具の脚や取手、楽器や雛道具などに必要とされてきました。
第二次世界大戦後、ジョッキ、コースター、胡椒ひきなどの挽物がアメリカへ向けて輸出され、人気となりました。
昭和40年代には、機械の自動化によって静岡の挽物生産高は日本一となり、製品の約8 割を輸出していたといいます。
挽物を制作する各工程には多くの種類の刃物が使われ、それらのほとんどは挽物師の手づくりです。
板状の鋼を炭を焚いて熱し、叩いて、砥いで、独自の道具に仕上げる。静岡挽物の職人には鍛冶屋としての腕も必要とされるのです。
同じ木目がふたつとないので、同じ材料を同じ形で削りだしても見え方や印象が変わるのが挽物。
自由なデザインが可能で、職人の創意工夫次第であらゆる形状を作り出すことができます。
地場産業を支えてきた静岡挽物は、その伝統を守る職人たちによって進化を続け部品や日用品にとどまらない新しい魅力を見せてくれます。
静岡市歴史めぐりまち噺し、今日のお噺しはこれにて。 <!-- tag:伝統工芸/area:静岡市葵区静岡市駿河区静岡市清水区 -->