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篠原涼子の語りと首藤康之の踊りで描く、究極のラブストーリー『見知らぬ女の手紙』が開幕

SPICE

『見知らぬ女の手紙』舞台写真

2024年12月25日(水)紀伊國屋ホールにて、舞台『見知らぬ女の手紙』が開幕し、舞台写真及びスタッフ・キャストコメントが公開された。

撮影:阿部章仁

数々の名作舞台を上演し続ける歴史ある紀伊国屋ホール開場60周年記念公演のラストを飾る本公演。小説・戯曲・評論・伝記など多岐にわたり執筆活動をしていたオーストリアの作家 シュテファン・ツヴァイクが発表した代表的な作品のひとつで、ドイツ文学の最高峰である短編集『アモク』という作品の中の一編。愛・孤独・未練そして人間関係の複雑さをテーマにした独特の心理的深みと情感豊かな描写が特徴的な作品。

撮影:阿部章仁

撮影:阿部章仁

日本では2008年に初演され、その後2013年、2014年に再演を重ね、最後の上演から10年経った今年、行定勲が10年ぶりに再び本作に挑み、初顔合わせとなる篠原涼子、首藤康之を迎え、究極のラブストーリーを届ける。

撮影:阿部章仁

撮影:阿部章仁

男に届いた見知らぬ女からの手紙。12歳から続く“男”への一方的な恋慕。抑圧された心の奥に潜む女の想いは狂気かそれとも純粋な愛なのか? その想いの深さと、想われていた側の“男”との落差を、“女”役の篠原涼子の語りと、“男”役の首藤康之の踊り、そして行定勲の翻訳・演出で描き出す。

本公演は12月28日(土)まで、紀伊國屋ホールにて上演。

撮影:阿部章仁



【ストーリー】
世界的なピアニストとして著名な男は、演奏旅⾏で⼀年の⼤半は⾃宅を留守にする。
そんなある⽇、演奏旅⾏から⾃宅に戻ってみると郵便物の束の中に、妙に分厚い、しかし⾒覚えすらない⽂字で綴られた⼿紙が届いていた。その⼿紙の差出⼈はまったく知らない⼥である。28歳だという女は手紙を書く前日に子供を亡くしたと言うが、男には脈絡も分からぬまま、その見知らぬ女の12歳からの自分語りを読み始めるが……。
篠原涼子 コメント

撮影:阿部章仁

“朗読劇”は一度経験したことがありますが、この「見知らぬ女の手紙」は、朗読とお芝居がミックスされている感じなので、読んでいるだけだと伝えきれないものが、動きが入ることによって感情がついてくるので、とても演じやすいです。
演出の行定(勲)さんは初めてお会いした時に、すごく熱い方なんだな~と感じたのですが、そのような演出家さんには今まで出会ったことがなかったので、今回行定さんと一緒にやらせていただくことで、多くの学びや発見がありました。また、行定さんがいろんなスパイスをくださって、首藤(康之)さんが後ろで踊ってくださることで、この“手紙”をよく見えるように、聞こえるようにしてくださるので、みんなが一つになったときのパワーを稽古では感じていました。男性でも女性でもこの作品には共感できる部分があると思うので、劇場に来てふと振り返ってみたり、共感したり、私たちと同じ気持ちをなっていただけたら嬉しいなと思います。
この作品は、やればやるほど発酵していく気がするので、観てくださる方の視線を感じて気づくこともあるかもしれないと思うと、とにかく楽しみです。

首藤康之 コメント

撮影:阿部章仁

篠原(涼子)さんはとてもチャーミングで魅力的な方で、日々稽古場でさまざまなアプローチを試し、どんどん「見知らぬ女」のさまざまな一面が現れてくるんです。とても楽しく稽古をしてきました。
“見知らぬ女の手紙”は題名の通り、この男にとっては全然身に覚えがないことですが、過去にきっと同じようなことを繰り返したかもしれないと、この手紙を読むことで感じているのだと思います。今回は身体の中で感じ、変化していることをあえて動かないことによって表現しているのですが、篠原さんが読んでいる言葉が僕の動態的な引き出しを開けてくれたような気がしています。この恨み辛みの手紙を、普通だったら怖くて途中で読むのをやめてしまうと思うのですが、男が最後まで読み切ってしまうところに面白みがあるなと感じています。手紙というものを書かなくなった時代において、一人に対しての想いをこれだけ長く綴るということは単純に素敵だな、と思います。自分の想いを“書く”とか、“綴る”とか、“手紙にする”ということを人は忘れてはいけないんだな、と思いました。だから、年賀状はメールで済ませず、書くぞ、と思っています(笑)。

行定 勲 [翻案・演出] コメント

今回は、今までやってきたバージョンと違って、より演劇的なリーディングになっています。手紙を読む女と、手紙を読んでいる男の記憶の中で交わったそこにある残像みたいなものが舞台上に表出していて、2人だからこそ人と人との間に生まれるものがある、そこが演劇的だと感じています。篠原(涼子)さんは稽古でどんどん変化していきました。篠原さんが紡いでいく「見知らぬ女」の声(言葉)が首藤さんの動きに反映されていく、ステージングもお願いしている首藤(康之)さんに、いつも「どうですか?」と聞き、「響きました」という言葉が返ってくる、まさに二人芝居です。そういうものが見たかったので狙い通りです。
年の瀬ですが、もの悲しさもありながら愛の物語なので、ちょっと残酷ではあるんだけど、自分になりに愛し抜いた愛の在り方というのはラブストーリーとしては深いものがあると思うので、それを堪能してくれたら嬉しいです。

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