川崎市在住・小山雄一さん 商館時計163点を寄贈 横浜開港資料館に
1859年の横浜開港以降、現在の山下町や山手町一帯に外国人居留地が設けられた。そこで販売されていた商館時計163個を含む関連資料245点が、川崎市在住の小川雄一さん(72)から横浜開港資料館=中区日本大通=に寄贈された。3月14日には同館で感謝状贈呈式が行われた。
祖父の形見の時計に記されていた刻印に興味を持ち、30代から商館時計の収集を始めた小山さん。今回寄贈された品は、蚤の市や骨董市で約40年かけて収集してきたもので、居留地内で時計を扱っていた12の商館のうち10の商館の時計が含まれる。集めてきた品を今後は調査研究に生かしてほしいと今回寄贈を決めた。
開港以降、横浜を窓口として多くの西洋文化が入ってきた。特に時計は、72年の改暦後から人々の生活に浸透した文明開化の象徴といえる。外国商館によって輸入され、横浜は販売の中心地。スイス製の時計が圧倒的なシェアを誇っていたという。
同館の調査研究員の白井拓朗さんは「寄贈していただいた時計を通じて、横浜とスイスとのつながりなど新たな発見があるのでは」と話す。今回寄贈された「小川雄一コレクション」は今年9月に一般公開を予定している。