鳥インフル対応訓練 万一に備え 埋却作業の手順確認 岩手県、建設業協会釜石支部など連携
釜石市内にある肉用鶏農場で11日、鳥インフルエンザ等発生時対応訓練が行われた。岩手県沿岸広域振興局、県南家畜保健衛生所などが共催。感染時の死亡率が高い高病原性鳥インフルエンザが発生したとの想定で、防護服の着脱や埋却作業に取り組み、手順や役割を確認した。
訓練は鳥インフルエンザなどの発生時に、迅速で適切な防疫活動に取り組めるよう実施。本年度、肉用鶏農場が稼働したことを受け、釜石、大槌地域では初めての本格的な訓練となった。
沿岸振興局を中心にした県の各関係機関の職員のほか、県建設業協会釜石支部(八幡康正支部長)の支部員ら約50人が参加。本番に近い形の実践として、作業を担当する職員らは防護服やマスク、手袋、長靴などを順番に身につけ、袖や足首などにすき間ができないよう入念にテープを巻いた。
その後、埋却作業では事前に掘削した埋却溝(深さ4メートル、下幅5メートル、上幅9メートル)に重機で消毒用の消石灰を散布した上で、ブルーシートを敷設。殺処分した鶏に見立てた土のうを投入し、さらにシートで覆い、再度、消石灰をまいた。
釜石にある鶏農場では16万羽を飼育する。鳥インフルエンザが発生した場合、今回の訓練で利用した土のうで換算すると、約2500個分となる見込み。そうした説明も聞いた参加者は一連の作業の流れを確認しながら、注意点などに理解を深めていた。
重機を使った作業があるため、有資格者がいる建設業協会の協力は欠かせない。訓練を見守った八幡支部長は「マニュアルで分かってはいたが、イメージだけなので、訓練への参画はいい経験になる。体で覚えると忘れないので、継続したい。役割分担など検討が必要だと感じるが、今回の内容を協会内で共有し、いざという時に動けるようにしたい」と気を引き締めた。
沿岸振興局によると、高病原性鳥インフルエンザ発生は2023年秋~24年春にかけて、全国で10県11事例あり、85万6000羽が殺処分された。県内では22年秋~23年春に1事例が確認された。佐藤朝則副局長は「どこで起きてもおかしくないので、危機感を持った対応が必要」と強調する。
埋却・消毒ポイント設置班長を担った佐々木雅章土木部長は「寒い夜間、長時間の作業も見込まれることから、平時から手順を確認することが重要。課題を見つけ、備え、万が一の時は一体となって活動することが大事だ」と参加者に呼びかけた。