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「令和の『ダイ・ハード』や!」世界的バズり中のNetflix“空港”アクション『セキュリティ・チェック』

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「令和の『ダイ・ハード』や!」世界的バズり中のNetflix“空港”アクション『セキュリティ・チェック』

配信から2週連続首位『セキュリティ・チェック』

タロン・エジャトン主演のNetflix映画『セキュリティ・チェック』が、ホリデーシーズンを迎えた世界中で再生されまくっている。クリスマスイブの空港で、危険な荷物を飛行機に忍び込ませようとする謎の人物に脅迫されたTSA(アメリカ運輸保安局) の一般職員イーサンが、その裏をかこうと奮闘する姿を描いたサスペンス・アクションだ。

本作は“最高のクリスマス映画”とも評される『ダイ・ハード』(1988年)と比較されがちのようだが、もはやクリスマスが舞台のアクションとしては“誉”のようなものだろう。とはいえ本作は、ありそうでなかった各種設定が視聴者に興味とスリルを休みなく提供してくれる、視聴ランキング首位も納得の快作アクションに仕上がっている。

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「まだ本気出してないだけ」な主人公が人生最大の危機に直面

さて、くしくも空港のシーンから始まる『ダイ・ハード』の主人公マクレーン(ブルース・ウィリス)はNY市警の刑事で、バリキャリな妻とは別居中。施設内でガンガン煙草を吸うし、日系企業が幅を利かせている設定なども時代を感じさせた。アクション映画の主人公にしてはブーたれまくりのマクレーンは当時かなり新鮮だったようだが、いわゆる窮地で実力を発揮するタイプの主人公だ。

PrimeVideo『ダイ・ハード (吹替版)』

かたや本作のイーサンはラブラブな恋人ノラの妊娠が判明し、でもなんだか浮かない顔。それは極度のプレッシャーによるものだが、どうやら警察学校の受験に一度失敗しているらしく、その後の不本意なキャリアに焦りを感じているようだ。こちらも主人公としてはだいぶ頼りないが、警官ですらなく銃も持たないぶん観客の不安もひとしおである。

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しかし本作は、そんな主人公と愛する恋人のバックボーンを乗っけることで、冒頭から感情移入の底上げに成功。「俺はまだ本気出してないだけ」の典型のような設定はモブだったら死亡フラグだが、そこは主人公なのでご安心を。実際イーサンはノラに背中を押され、昇進目指して上司に直談判。未来の家族のために一念発起する。

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ところが犯人グループは、個人情報をほじくり返して「平社員3年目、昇格の見込みなしの平凡な男」と推測してイーサンを“共犯”のターゲットに。まさかその男が「今日から本気出す!」と気持ちを改めたばかりだとは露知らず、イヤホン越しにムチャな指示をしてきて……。ノラとお腹の子どもを人質にとられたイーサンは、はたしてこの窮地をどうひっくり返すのか!?

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いま再び80~90s的アクション映画が求められている?

2014年の『キングスマン』シリーズで名を馳せただけにピチピチの若手俳優ポジションのイメージが強いが、そんなエジャトンも今年で35歳。キャリアに悩み家族を持つ未来への不安を抱えたモラトリアム男性を、顔に刻まれ始めた皺とともにしっかり表現している。特殊スキルを持たない者としてのアクションもリアリティ抜群だ。

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謎の人物を演じるのは数々のヒット作に関わってきたジェイソン・ベイトマン。その顔を見ただけでなんだか安心してしまうが、本作ではとことん謎に包まれた“帽子の男”を怪演しており、サイコなヴィランとしての魅力たっぷり。ここ最近の“気弱な男性”イメージを覆したかったのかも? とすら思わせる。

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本作のスターキャストはエジャトンとベイトマンだけでなく、ディズニー・チャンネル出身のソフィア・カーソンが巻き込まれヒロインのノラを熱演。他にも『リーサル・ウェポン2』(1989年)や『トータル・リコール』(1990年)、『ターミネーター2』(1991年)などで知られる名バイプレーヤー、ディーン・ノリスは貫禄たっぷりだし、『サンズ・オブ・アナーキー』(2008~2013年)のテオ・ロッシも謎のIT犯罪者を好演している。

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勘の良い刑事エレナの存在も中盤から効いてきて、というか彼女がいないと成立しないのだが、脅迫サスペンスから肉体アクションへの橋渡し役とも言える活躍を見せる。ダニエル・デッドワイラーは、彼女が主人公のスピンオフを見たくなるほど魅力的なキャラクターを演じてみせた。事件に巻き込まれるサブキャラたちもことあるごとにイーサンを助け、視聴者の涙を誘う。

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航空パニック映画の始祖『大空港』シリーズ(1970年ほか)へのオマージュらしき設定もチラっとあり(飛行機の便名に注目)、「ノビチョク」という悪い意味で聞き馴染みのある毒物の名前も飛び出す。多くの人が行き交う空港で、誰が何のために手の込んだ“大量◯◯”を仕掛けようとしているのか? 最後の最後までピリピリとした緊張感が漲っていて、気づけば手汗ぐっしょりだ。

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ジェイソン・ステイサム主演最新作『ビーキーパー』(2025年1月3日より公開)も猛烈にシンプルかつストレートな復讐アクションとして話題を呼んでいるが、いま再び80~90年代アクション映画のバイブスが求められているようだ。混迷を極める現代社会には、つべこべ言わせない『コマンドー』(1985年)みたいな脳筋アクションが必要なのかもしれない。

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