「安定した生活を送りたい」新入社員が6割と過去最多 学生時代に世界の激動を見た世代の価値観
ALL DIFFERENT(東京都千代田区)とラーニングイノベーション総合研究所(同)は6月5日、企業に4月入社した新入社員の仕事への価値観に関する調査結果を公表した。調査の結果、「安定した生活を送りたい」と回答した新入社員の割合が65.6%と過去最高となったことがわかった。
「安定した生活を送りたい」新入社員が過去最多の割合に
2025年度の新入社員に対し、仕事を通じて何を成し遂げたいか質問したところ、「安定した生活を送りたい」と回答した割合が65.6%と最も高い結果になった。次いで「自分を成長させたい」が50.1%、「家族に恩返しをしたい」が44.9%と続く。
同調査では、2017年度から9年間、各年度の新入社員に質問をした結果を比較した。「安定した生活を送りたい」と回答した新入社員の割合は、2019年度の54.3%を境に年々増加傾向にあり、2025年度は65.6%と過去最高の割合になった。
一方、「自分を成長させたい」と回答した新入社員の割合は、2020年度の64.1%を境に減少傾向にあり、2025年度は過去最低の50.1%となった。
新入社員の考える労働時間は「定時に帰りたい」が最多に
新入社員が考える働き方について、今後3年間の会社での労働時間についての考えを尋ねたところ、「定時に帰りたい」と回答した割合が最も高く、44.6%が回答。「週に2~3回の残業までなら構わない」が38.7%と続いた。
2014年度から12年間の結果を比較したところ、2025年度に「定時に帰りたい」と回答した割合は、11年前の2014年度の新入社員と比較すると、17.2ポイント高くなった。
また、「仕事・成長のためにできるだけたくさん働きたい」と回答した割合は、昨年より3.1ポイント増加したものの、2025年度では11.3%と、2014年度の21.2%から半数近く減少した。
新入社員の性格、「人に頼まれると断れない」が7割以上
同調査では、新入社員の対人関係における性格についても調査。人に頼まれたら断れない性格かを質問したところ、「断ろうと思っても断れない事がしばしばある」と回答した割合が49.2%と約半数となり、「人に頼まれると断ることができない」が25.9%と続いた。
今年度の7割以上の新入社員は、「何か頼まれた際に断ることをためらう傾向にある性格にある」と同社は分析している。
世の中の大きな変化を見た世代の価値観とは
調査の結果、同社は2025年度の新入社員の置かれている現状を「先々の状況が見通せないことが、安定を求める価値観へとつながっている」と分析。その要因として、学生時代に新型コロナウイルス感染症の流行や、ロシア・ウクライナ紛争、生成AIの進化と普及、物価の上昇など、世の中の大きな変化を目の当たりにしたことを挙げている。
また、新入社員を育成するにあたって、以下の取り組みをすることを推奨している。
・思ったことをため込まないように、コミュニケーションに工夫をする
・自分なりに解決策を考える力を養える支援をする
新入社員がある程度の業務を覚え、考える力が身についてきたようであれば、支援の質と量を徐々に落とすことにより、自信をもって問題解決をすることができるようになるとしている。
ラーニングイノベーション総合研究所「新入社員意識調査2025(3933人の仕事の価値観編)」は、3月25日から4月24日の期間で実施され、2025年度入社の新入社員3933人から回答を得た。調査の詳細は同社公式リリース(PR TIMES)より確認できる。