Yahoo! JAPAN

「ヒップホップ界隈で愛されすぎ」「いま観ても狂ってる」奇天烈アニメとは?『ファンタスティック・プラネット』復活上映

映画評論・情報サイト BANGER!!!

「ヒップホップ界隈で愛されすぎ」「いま観ても狂ってる」奇天烈アニメとは?『ファンタスティック・プラネット』復活上映

一度は観ておくべきサイケな名作アニメ『ファンタスティック・プラネット』

1985年に日本公開されたフランス・チェコスロバキア合作アニメ映画『ファンタスティック・プラネット』(1973年制作)が、6月20日(金)よりデジタルリマスター版で全国順次公開中。監督のルネ・ラルーが手がけた長編3作の特集上映「ルネ・ラルー ファンタスティック・コレクション」で観ることができる。

『ファンタスティック・プラネット』©1973 Les Films Armorial – Argos Films

ルネ・ラルー作品の中でも一度観たら忘れられない異彩を放つ『ファンタスティック・プラネット』は、サイケデリックでレトロフューチャリスティックなSFアニメ。知識と自由、支配と共存、そして異文化間の理解といったテーマを描いた寓話的な物語で、1973年のカンヌ国際映画祭でアニメとして初めて審査員特別賞を受賞した。

『ファンタスティック・プラネット』©1973 Les Films Armorial – Argos Films

異なる種族同士による支配×被支配構造

物語の舞台となる惑星イガムでは、巨大で青い肌を持つ知的生命体<ドラーグ族>が支配者として君臨し、人間に似た小さな存在<オム族>はペットや害獣として扱われている。

『ファンタスティック・プラネット』©1973 Les Films Armorial – Argos Films

ある日、ドラーグ族の少女ティバがオム族の赤ん坊テールを拾い、ペットとして育てることに。テールはドラーグ族の教育装置を通じて知識を得ていき、やがて自らの立場に疑問を抱き、逃亡。野生のオム族と合流し、反乱を導いていく。

『ファンタスティック・プラネット』©1973 Les Films Armorial – Argos Films

ヒップホップ界隈で異常な愛されぶり! 数々のサンプリングネタに

原画と脚色を手がけたローラン・トポールの幻想的かつ不穏なビジュアルは、当時のサイケデリック文化やシュルレアリスムの影響を受けており、観る者に強烈な印象を残す。制作はチェコスロバキアのスタジオで行われ、手描きの切り絵アニメーションという独特の技法が用いられたようだ。

『ファンタスティック・プラネット』©1973 Les Films Armorial – Argos Films

本作の持つ哲学的・政治的メッセージと強烈なビジュアル、そしてアラン・ゴラゲールによる劇伴はヒップホップシーンで特に愛され、KRSワンやリック・ロス、Madlib、J Dilla、ラン・ザ・ジュエルズなどなど様々なアーティストにサンプリングされてきた。日本の某ラッパーは本作のビジュアルをミュージックビデオで大々的に拝借しているほどで、その愛されぶりは他に類を見ない。

『ファンタスティック・プラネット』は4年前に『サン・ラーのスペース・イズ・ザ・プレイス』(1974年)と同タイミングでリバイバル上映されたことも記憶に新しいが、今回はルネ・ラルーの代表作を一挙に観ることができるまたとないチャンス。ぜひ劇場でサイケなビジュアル・トリップを楽しんでみては?

「ルネ・ラルー ファンタスティック・コレクション」は渋谷HUMAXシネマほか全国順次開催中

【関連記事】

おすすめの記事