重曹なしで簡単に作れる「栗の渋皮煮」。初心者でも失敗しない!
栗の渋皮煮に重曹は本当に必要?
栗の渋皮煮の作り方を見ると、重曹を使うレシピが多いですよね。そもそもなぜ渋皮煮に重曹を使うのかというと、栗の渋皮を取りやすくするためやアクを抜くためです。
とはいえ、栗の渋皮煮は重曹を使わずに作ることができます。
重曹を使わずに作るメリットは、栗がボロボロに崩れにくいこと、栗本来の風味を最大限に生かせること。ゆで時間がかかったり多少渋皮の固さが残ったりするデメリットがありますが、豊かな栗の香りを楽しめる重曹を使わない栗の渋皮煮は、試してみる価値がありますよ!
準備編:重曹なし渋皮煮を成功させるための下処理
栗の鬼皮を簡単に剥く方法
1. ボウルに栗を入れて熱湯を注ぎ、粗熱が取れるまで冷ます
2. まだ熱さが残る状態の栗を取り出したら軍手をして栗をもち、栗の底の部分を少し削り取るか切れ目を入れる
※栗が崩れてしまうおそれがあるため、渋皮の部分まで包丁を入れて傷つけないように注意する
3. 削った部分や切れ目に包丁を入れて鬼皮を剥く
4. 剥けた部分をきっかけにして残りの部分も剥く
※包丁では剥きにくい場合、手で引っ張って剥いてもよい
5. 渋皮に傷をつけないように全体を剥く
※栗はお湯に浸したままにしてひとつずつ取り出して剥くと、鬼皮が湿ってやわらかく剥きやすい
6. 鬼皮を剥いた栗は乾燥すると割れやすいため、水に浸しておく
アク抜きの重要性とポイント
栗の渋皮にはアクがあります。アクをきちんと抜かないと、渋くておいしい渋皮煮にはなりません。
今回は重曹を使わないで作るため、5〜6回ゆでこぼしてしっかりとアク抜きをするのがポイント。湯を入れ替える際も、渋皮が破れないように丁寧に調理するのが大切です。
重曹なし 栗渋皮煮の作り方
調理時間:120分
重曹を使わない栗の渋皮煮は、時間はかかるけれどそれ以上の満足感を感じられる味わいが魅力。
栗本来の香りや旨みを存分に楽しめます。丁寧に作業をおこなえば、初心者でも失敗なく作れますよ。ぜひ挑戦してみてください。
材料(作りやすい分量)
栗:800g
きび砂糖:400g
※栗はお好みの分量で構いません。
※砂糖の分量は、鬼皮をむいて下ごしらえが済んだ栗の分量の50〜60%です。
※きび砂糖で作るとコクが増します。白砂糖や三温糖、グラニュー糖などお好みの砂糖でも作れます。
作り方
栗を煮る
鍋に栗とたっぷりの水を入れて中火にかけ、沸騰したら弱火にして10分ほどゆでます。ふつふつと弱い火でゆでることで、栗が割れにくいです。
栗をゆでている間、別の鍋に湯を沸かします。栗をゆでた湯を捨てて入れ替える際に、急激に湯の温度が下がると、渋皮が破れるおそれがあります。別の鍋やポットで沸かしておくのがおすすめです。
栗を湯を沸かしていた別の鍋に移し、再び10分ほど弱火でゆでます。
湯を入れ替えて、10分弱火でゆでるという工程を5〜6回繰り返します。最初は湯の色が茶色だったのが次第に薄くなり、6回目のころには透き通っています。
火を止め、そのまま粗熱を取ります。
渋皮の繊維を取り除く
栗が手で触れる温かさになったら、指や竹串でやさしくこすります。栗の底の部分から先端に向けて繊維に沿ってなでるようにすると、少しずつ取り除けます。力を入れると、渋皮が破れるので注意してください。
栗の筋に沿って入っている太い繊維も竹串でやさしく外します。栗によって外れやすいものとなかなか取り除けないものがあります。無理に外そうとせず、湯に戻しておくと繊維が浮かんで外しやすくなりますよ。
こげ茶色だった栗は、きれいに繊維を取り除くと薄い栗色になり模様が浮き上がります。
砂糖を加えて煮る
下ごしらえをした栗を計量し、その50〜60%のきび砂糖を用意します。今回は695gだったので、その約60%の400g準備しました。ここで、渋皮が大きく剥がれた栗は煮崩れしてしまうおそれがあるので取り除いておきます。
鍋に栗と、半量である200gのきび砂糖、ひたひたの水を入れて中火にかけます。沸騰したら弱火にし10分ほど煮ます。砂糖は一気に入れず2〜3回に分けて加えると味が染みやすいです。
途中でアクが出るので、きれいに取り除きます。
残りのきび砂糖を加え、さらに20〜30分煮て火を止めます。
キッチンペーパーをかぶせてそのまま冷まし、完成です。
煮沸消毒した保存瓶に煮汁と共に入れて密封し、冷蔵保存します。2週間ほど保存可能です。
早めに食べたほうが栗がやわらかくておいしいですよ。それ以上保存したい場合は、ひとつずつアルミホイルで包んでからフリーザーバッグに入れて密封し冷凍保存します。
1ヶ月ほど保存可能です。
失敗しやすいポイントと対策
渋皮が破れる原因と防ぐコツ
まず鬼皮を剥く際に、渋皮まで傷を付けないように注意しましょう。そして渋皮の繊維を取り除くとき、強くこすりすぎると破れてしまうおそれがあります。指の腹を使って、下から上に向かってやさしくなでるようにこするのがコツです。
また、栗は弱火でコトコト静かにゆでること。火加減に注意してぐらぐらと煮立てないようにしてください。さらに水にさらしたり流水で洗ったりすると栗が縮んで渋皮が破れることがあります。栗をゆでた湯を捨てて入れ替える際、別の鍋やポットで湯を沸かしておくのも大きなポイントです。
煮こぼし回数の目安
煮こぼすのは、5〜6回おこないます。だんだん煮汁の色が薄くなり、うっすら茶色でほとんど透明のような色になればOKです。
甘さ調整のタイミング
砂糖は一気に全量入れるとなかなか染みません。2〜3回に分けて入れるようにしましょう。そして冷ます過程でどんどん甘さが入っていくので、できたてよりもひと晩おくのがおすすめです。
今回栗の量の60%入れましたが、増やしても減らしても構いません。少なくすると栗の日持ちが悪くなるので、早めに食べるようにしてください。
重曹なしなら初心者も簡単に作れる!
重曹なしの栗の渋皮煮のおいしさは、手作りならでは。栗の風味や旨みが生きて味わい深いですよ。重曹が入らない分、栗によって渋皮の部分が固いこともありますが、煮崩れがしにくく失敗なく作れます。
コトコトと静かに丁寧に煮るのが成功の秘訣。重曹なしでもしっとりやわらかく仕上がりますので、ぜひゆとりをもって挑戦してみてください。
※掲載情報は記事制作時点のもので、現在の情報と異なる場合があります。
ライター:稲吉永恵(野菜ソムリエ / ローフードマイスター / オーガニックコンシェルジュ)