「母が喜んでくれたから」 憧れの母に背中を押され、古典落語へ飛び込む!
個性豊かな様々なゲストをお迎えして、幼少期のターニングポイントや、やる気スイッチの入った瞬間を深掘りしていきます。
メインパーソナリティの佐藤隆太さんと佐々木舞音アナウンサーの2人でお送りします。
3月17日(月)放送のゲストには、落語家の林家つる子さんが登場!女性ならではの目線でお話をするつる子さん、落語を始められたきっかけなどを聞いてみました!
林家:お会いできてうれしいです!もうほんとに佐藤さんはドンピシャで…
佐藤:いや~ありがとうございます!光栄です。はじめましてなんですけど、もう明るくて。
立て看板で囲われて…ちょっと強引な出会いがきっかけで古典落語の世界へのめり込んだ大学時代
佐藤:どこから落語に興味を持たれて今に至るんですか?
林家:高校生の頃は全く知らなかったんです。よく子供のころから~とかではなく、ただ演劇にのめり込んでいて表現とかは好きだったんですけど、大学に入ってから落語研究会に入ってから、そこからです!
佐藤:あ!勧誘ってのは、新入生への!
林家:そう!サークル勧誘!
佐々木:自分からというわけでもなく、
林家:音楽も好きで、音楽サークルもいいなって思ってたんですけど、なんか先輩方が目の前で漫才を始められて…だんだん立て看板に囲われてそのまま説明ブースに連れてかれて…。「手荒なコトしてごめん」って言われて「ほんとだよ!」っていう(笑)
佐藤:ドラマのセリフみたい!(笑)
林家:コントとか漫才メインでやってるよ!って言われて、それこそ好きだったんですけど、それでふたを開けたら落語ばっかりだったんです…
佐藤:全然違う!騙されたと言っても過言ではない。
佐藤:ただ、先輩方の落語を観て、それが面白くって。お年寄りの方々がやって観て、っていうイメージがあったんですけど、若い方がやってるのも新鮮で、若い人が聴いても楽しめるんだと思って。そのサークルでは古典落語をやってて、これ聴いて笑えるということは人の感情って変そんなに変わってないんだな~っていうのにすごくロマンを感じまして。美術とかそういうのも全部自分でやるって言うのも、のめり込んだ理由です。
佐藤:手荒な歓迎がなかったら…
林家:あれがなかったら出会ってなかったかな~っていう。
佐藤:今となっては感謝というか…
林家:そうですほんとに!去年真打に昇進しましたので、そのお祝いで会った時に「まさかこうなるとは…」って。
佐藤:落語の世界って、やっぱり落語研究会とかも含めて男性の方が多いんですか?
林家:圧倒的に多くて、私が入ったサークルも、私以外一人しかいなかったです。でも怖かったです、頭のおかしい感じの先輩もいたし…(笑)
佐藤:面白い!面白い先輩ね。(笑)
林家:女子高出身だったので、なおさら…私、いつも相談事を母親に言うんですけど、相談したら「落研!?面白そうじゃん!」って言ってくれて。母のようになりたい、って子供のころからずっと思ってて、母が喜んでくれたから始めたっていうのがありますよね。
「女性の噺家にしかできないことも」師匠の言葉を胸に、新たな古典落語に挑戦する日々
佐々木:落語研究会って入部した時はどうやって練習を行ってたんですか?
林家:当時はVHSとかの資料がありましたけど、それを観て書き起こして練習してました!
佐藤:そういうアプローチなんですね。
林家:一応、本とかもあるんですけど、師匠によって表現が違うので、この人!と決めたのを書き起こしてました。これはプロになっても変わってなくて、師匠に1対1で稽古をつけていただいて、それを師匠に見てもらうっていう。
佐々木:今もいろんな挑戦をされていて、女性目線でのお噺を創ったりされてますよね。
佐藤:落語の世界って言うのは、いわゆる“アレンジ”っていうのは許されるんですか?
林家:そもそも古典落語を大切にしつつ、柔軟性があるというか…ちょっと工夫をすることにも寛容的ですね。落語界は。
佐藤:それが大きな魅力なんでしょうね。
林家:そうですね。時代ごとの背景に寄り添っていくっていう。
佐々木:主人公を代えるっていうのはなかなか覚悟が….
林家:これはさすがに覚悟があって、「なにか言われるのかな」って思ったんですけど、最初はこういうアレンジをやっちゃいけないんだと思って入門したんですけど。ありのままの形で、っていう。男性の方が創ってきた伝統芸能だから、その形を女性として伝えていくんだって思ってたんですけど。師匠の林家正蔵が、「頭でっかちにならずに、古典落語そのままに伝えるのも大事だけど、女性の噺家にしかできないこともあるからやりたい事どんどんやりなさい」って前座の頃から言われて。もしかしたら入門先が違ったらそういうことが言われなかったかも。それで、スピンオフみたいな感じで女性目線での話をしてます。
佐藤:なんかすごく面白い試みですよね、新しい発見があって新鮮に楽しめるし。
林家:本当にいろんなご意見いただくだろうな~とか思うんですけど、古典落語を大切にしているという想いも伝わると良いな~って。
(TBSラジオ『やる気スイッチラヂオ アストルム』より抜粋)