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【静岡の高校サッカー戦後史Vol.77】1970年度、浜名は全国高校選手権決勝で藤枝東と激突!同県対決に敗れたものの一気に全国区へ

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【浜名④】同県対決 無念の準優勝

※2011年3月〜11月に「静岡の高校サッカー 戦後の球跡」のタイトルで静岡新聞に掲載した連載を再掲しています。年齢等も掲載当時のままです。静岡サッカー応援アプリ「シズサカ」でまとめてご覧いただけます。

1970年度全国選手権開会式で入場行進する浜名イレブン=西宮球技場


夏の全国総体を制した1970年(昭和45年)度の浜名は、推薦で冬の全国選手権の晴れ舞台を踏んだ。選手権は初出場であり、初陣でいきなり頂点に立った夏に続く快挙へ期待が集まった。

1回戦は広島大付と対戦した。強豪校めじろ押しの広島県代表だったが、立ち上がりから主導権を握った。前半は詰めを欠いたが、後半2分、攻撃参加したFBの大村嘉宣(グリーンワークス)が豪快に蹴り込んで先制、後半36分には内山功(ウチヤマ空調設備)がロングシュートを決め、2−0で退けた。

参加校は16校。初戦の勝利でベスト8入りし、準々決勝は徳島商(徳島)と顔を合わせた。前半、先手を取られたが、沢柳光雄(現・美野、岩手県大船渡市在住)のシュートで追い付き、後半、鈴木久雄(東京都江東区在住)と大村がゴールを奪い、3−1でベスト4に進出した。

浦和南と準決で再戦

準決勝は夏の総体決勝で倒した、浦和南(埼玉)との再戦となった。雪辱に燃える相手を再び圧倒した。前半12分、CKを生かし、攻め上がったFB馬淵剛行(日立製作所)のゴールで先制すると、そのまま1−0で押し切った。

もう一方のやぐらは藤枝東が勝ち上がり、史上初の同県決勝対決が実現した。春の県スポーツ祭決勝で対戦、1−0で破っているとはいえ、藤枝東は難敵中の難敵だった。だが、夏の総体から全国では負け知らずとあって、Vを懸けた対決も「負けるとは思わなかった」と監督の美和利幸(浜松市南区在住)。

内山和久主将を故障で欠いた決勝

藤枝東は主将の鎌田昌治(静岡中央教)をけがで欠いていたが、浜名も主将で左ウイングの内山和久(浜松浜北北部中校長)が準決勝で負傷退場、V決戦は戦列から外れた。

左ウイングには中盤で気を吐いていた、鈴木が回った。鈴木は1年生だったが、美和は「遜色ない」と判断して起用した。鈴木は期待に応えて再三、チャンスを生み出した。1点を追う後半7分には、右に回り込んで折り返し、沢柳の同点弾をアシストした。

だが、精神的支柱である主将の欠場は「予想以上に響いた」(美和)。終盤、要所で踏ん張れずに2失点し、1−3で涙をのんだ。「勝てると思っていた。監督としてもっと厳しさがあれば」と、美和は今でも無念さをにじませる。

夏春連覇は逃した。だが、初陣ながらともに優勝争いを演じたことで、浜名の存在は一気に全国区となった。(敬称略)

1970年度全国選手権決勝・先発メンバー

GK
青山正志

FB
岡田恭市
新井恵二
馬淵剛行
斉藤久治
大村嘉宣

HB
頼母木直幸
田中通恵

FW
内山功
沢柳光雄
鈴木久雄

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