自分が楽しみにしている部分!「3年後にピークが来るイメージ」でトレーニングをスタートさせた!巨人、高梨雄平投手の連載日記【ナシさんのアリな話 鉄腕奪取】第16回!
第16回 壮大な実験みたいな…今シーズンはそれに向けた1年目!
『ラブすぽ』読者のみなさん、読売ジャイアンツの高梨雄平です。2025年シーズンも、このコラムをぜひよろしくお願いします!前回のコラムでは、春季キャンプから開幕までの調整方法や、そこに至るうえで自分の中で意識していることを書きましたが、今回はその部分をもう少し「掘り下げて」伝えてみたいなと思います。
一軍メンバーに残ったとはいえ、一軍のオープン戦では2試合、1回1/3しか投げずに開幕を迎えた今シーズンですが、この調整法が正しかったかどうかは、正直言ってわかりません(笑)。こういう形で開幕一軍を迎えるのは僕自身初めてのことだし、どんな方向に転ぶのかは未知数な部分もあるんです。
野球というのは相手があるスポーツで、自分のパフォーマンスと結果が必ずしも結びつかないことが多々あります。変な話、打たれるときは打たれるんです(笑)。これは別に言い訳でもなんでもなくて、ベストピッチを打たれることもあれば、失投で抑えられることもある。だから僕が意識しているのは結果云々ではなく、「バッターと勝負できるボールを投げられるか」というパフォーマンスの部分。その点で言えば、当然不安な部分もありながらある種の「楽しみ」のようなものは感じています。
一軍での登板イニングが少ない点についても、二軍ではそれなりに投げてきましたし、開幕前に久しぶりの東京ドームで「一軍の雰囲気」も味わうこともできた。メンタルの部分も開幕に向けてしっかりと上げることができたので、よかったなと思っているところです。
ただ、特に僕らのようなリリーフ投手にとってはオープン戦とシーズンってまったくの別物。オープン戦は展開に限らず、ほとんどの場合が投げるイニングも、登板するタイミングも事前に決まっていて、そこに向けて仕上げていけばいい。ただ、シーズンに入るとそうではない。どこで「投げる」かも、もっと言えばどこまで「投げない」かも決まっていなくて、開幕前と比べると圧倒的に変数が多いんです。リリーフ投手に必要なのって、その変数にどれだけ対応できるかなので、そこができないと「オープン戦よりもパフォーマンスが落ちるよね」となってしまう。ただ、その部分で言えば僕はもうプロ9年目で経験値も積み重ねてきているので、自分の中での強みにはなっている気がします。
個人的に自分が「楽しみ」に感じている部分はまだあって、今年は「3年後に肉体的なピークが来るイメージ」でトレーニングをスタートさせたんです。昨年はどちらかというと「調整」をメインに据えながらやってきたんですけど、30歳を超えて、どうしても年齢を重ねることで落ちてくる部分を感じるようになってきました。今はプロのアスリートとして、しっかりとそれに向き合いながらも「抗う」ことを意識しています。3年後というと、35歳になるシーズン。そのタイミングでピークを迎えることができるのか……壮大な実験みたいなものですけど、今シーズンはそれに向けた1年目。どんな変化が生まれるのか、日々試行錯誤を繰り返しながらシーズン中も過ごしています。
「変化」という意味では今シーズンは少しフォームも変えています。具体的に言うと、軸足(左足)の使い方と強化。投球フォームの中で、なるべく軸足が地面と接地している時間を長くする意識を持っています。もちろん他の部分もちょこちょこ調整をかけているんですけど、一番大きな変化はやはり軸足。昨年までの自分のフォームを見返したとき、「どこが一番伸びシロがあるか」を考えたら、そこだったんです。数値的にも左足は弱かったですし、上手く使えていないなという実感もあったので、一軍でそれなりにやれているけど、さらにパフォーマンスを上げるためにどうすればいいかを考えたら、軸足に着手するのがベストかなと。
ただ、現時点ではたぶん周囲から見ても「変化」はほとんど気付かれないはずです。それくらい微妙な匙加減なので。それでも「変えよう」と思ったのは、僕自身の気質というか……単純に、同じことをやり続けると飽きちゃうんですよね(笑)。やっていても面白くないし、実験も変化も好きだし。それがどういう結果を生むのか、自分の体を使って実験するのが、さっき書いた「楽しみ」にもつながっているんだと思います。
今取り組んでいる「実験」がシーズン、もっと言えば数年後にどんな結果を生むのか……。途中経過も含めて、今後もこのコラムで伝えていきたいと思うので、読者のみなさんも「気長に」待ってもらえると嬉しいです!(笑)