夏休み、ひとりで家に...小学1年生の2割が留守番を経験。防犯や食事どうする?共働きの葛藤
共働き家庭やひとり親家庭にとって、小学校の夏休みは悩みの種であることも。弁当をつくったり、こどもを家でひとりにさせないよう時間に追われたり。仕事との調整が普段よりも困難になることから、「小1の壁」の一つと言われています。働く親たちはどうやって乗り越えているのでしょうか。
OTEMOTOが小学生のこどもがいる保護者を対象に実施したアンケートでは、夏休みの過ごし方に不安を感じるという声が多くありました。
低学年の場合、保護者が日中に仕事をしている家庭のこどもの多くは、夏休みも放課後児童クラブ(学童保育クラブ)で過ごします。弁当を持参して終日いることができますが、夏休みの間は延長保育がないという学童も少なくありません。
「今の学童はマンションの一室で、狭くてこどもがかわいそうになります。夏休みはキッズクラブと違い、お出かけできて楽しそうなのが救いです」(40代母親 / 3年生女子 / 神奈川県)
「学童が夏休みは朝8時半から開室で、出勤時間に一緒に出ると早く着きすぎてしまいます。学童が早く開いてくれるとうれしいけど、せめて校庭や近所の公園などでもいいので、朝の行き場があればなぁ〜と思います」(40代母親 / 4年生女子 / 大阪府)
「長期休みに気軽に注文できるお弁当屋さんがほしいです。時間やタイミング、本人の意向で弁当をつくるしかないものの、気軽に予約や注文できるとありがたいと思うことがしばしばあります」(40代母親 / 3年生男子 / 東京都)
夏休みの居場所がない
普段から放課後に学童に通わせていない場合や、民間学童に通わせている場合などは、夏休みの居場所の確保に悩むという声も。
「普段は学童に通っていないのこどもの夏休みの居場所に悩みます」(40代母親 / 4年生女子 / 奈良県)
「公立学童は長期休み限定でも入れるようにしてほしいですね」(40代母親 / 3年生女子 / 東京都)
こどもが在宅する時間帯に合わせて保護者も働き方の調整を迫られることから、仕事と子育ての両立が困難になる「小1の壁」の一つとも言われています。
予定を埋めるための塾
積水ハウスは2024年4月、2023年度に小学生だったこどもがいる全国の男女480人を対象に「夏休みに関する調査」を実施しました。
2023年の夏休みにこどもが家の中で過ごした時間が、学校の授業がある時期と比べて「増えた」と答えた人は67.7%。保護者の働き方でみると、夫婦片働きの場合は75.9%、フルタイム共働きの場合は53.8%が「増えた」と答えました。
夏休みをこどもにとって有意義な時間にするためだけでなく、居場所を確保するという意味でも、習い事や塾などに通わせることも選択肢の一つになっています。
前述の調査で夏休みに週1日以上通っているものを聞いたところ、「習い事」58.6%、「塾」23.7%、「学童」20.0%などとなりました。習い事には「通っていない」という小学生が38.1%いた一方で、週2日以上通っているという小学生も34.6%いました。
塾は高学年になるほど増え、小学5、6年生の3割以上が週1日以上通っているという結果になりました。学童は低学年ほど通っている子が多く、小学1、2年生の3割以上が週1日以上通っていました。
1年生で留守番デビュー
夏休み中のこどもの居場所や予定をパズルのように組んだとしても、フォローできない時間が生まれることがあります。調査では、学年が上がるにつれ、こどもだけで留守番をする機会が増えていることがわかりました。
小学生以下のこどもだけで留守番をさせることが「よくあった」「時々あった」と答えた人は、小学6年生では58.8%。小学1年生でも20.1%となりました。フルタイム共働きの家庭で、留守番の頻度が高い傾向が見られました。
こどもだけで留守番させたという人に不安なことについて聞くと、「不審者の訪問」46.7%、「火の元・家事」39.6%、「寂しくないか」30.2%が多くあがりました。
留守番中の不安として約3割の人があげた食事については、「こどものご飯を調理してから外出した」が50.5%のほか、こどもがそのまま食べられるものや、電子レンジなどで簡単に調理できるものを買っておくような工夫が見られました。
親が勝手に決めない
子育てアドバイザーの高祖常子さんは著書『どう乗り越える?小学生の壁』で、長期休みのこどもの居場所に困っている場合には、学童以外にも公的なサービスが使えないかどうか、改めて自治体に確認することを勧めています。
例えば、「放課後子ども教室」(小学校の空き教室などを利用したこどもの居場所。施設によっては長期休みでも閉室にならないこともある)、「児童館」(18歳未満のこどもが自由に利用できる児童福祉施設。職員も配置されている)、「ファミリー・サポートセンター」(地域の提供会員に有償で依頼できる制度)など、無料や安価で利用できる施設やサービスが身近にある可能性があるからです。そのうえで、このようにアドバイスしています。
「親が勝手に決めないようにしましょう。『仕事に行っている間、こうやって過ごすのはどうかな?』と、まずはこどもと相談してみてください」
新学期は、学校生活で心配なことが増えたり、さまざまな家庭の子育てに触れる機会が訪れたりする時期。OTEMOTOでは、親子サポートプロジェクト「6歳からのneuvola(ネウボラ※)」をスタート。保護者が悩みがちなテーマについて、"先輩"や"同期"にあたる保護者たちのリアルな声を紹介します。
ひとつの正解はないけれど、みんながどう対処しているのかを知ることで、「うちの子には何が合うのか」を考えるヒントになりますように。アンケートは引き続き募集していますので、ご意見やご経験をお寄せください。
課題解決をともに考え、親子をサポートする企業や団体を募集しています。詳しくはこちら(contact@o-temoto.com)からお問い合わせください。