広がる移動販売 携帯ショップやドラッグストアも
ここ数年、スーパーの「移動型店舗」という話題は、よく聞くようになりましたが、同じような移動販売の取り組みが携帯ショップでも行われています。
携帯ショップの移動販売 auショップカー
KDDI株式会社グロース戦略部 佐藤七星さんのお話です。
KDDI株式会社グロース戦略部 佐藤七星さん
リモート接客を使ってauショップと同じようなサービスをお客様に提供する、移動型の店舗です。2023年に「出張auショップ」という名前で開始して、取り組みを改善する形で、2024年から「auショップカー」と取り組みをリニューアルして再始動しています。兵庫県、大分県、熊本県、宮崎県、鹿児島県。今5県で稼働しています。公共交通機関が不便なエリアですとか、免許返納されたご高齢の方が多くて、auショップが少し遠くて行くのが難しいよという方が多いエリアを中心に展開しています。現在はローソンさんと連携させていただいて、地域のローソンの駐車場で営業しています。「スマートフォンのこの使い方が分からないんだけど、ちょっと教えてくれない?」というような内容から「機種変更したい」という内容まで、多岐にわたってご利用いただいているような状況です。
車両型の店舗が毎週場所を変えて、いろいろな場所を回っています。「店舗に遠くて行けなかったけど、移動して来てくれることで、スマホの分からないことが気軽に聞けた」など、想定以上の反響があるそう。
auショップカーには、プライバシーが守られたブースが2つ設置されていて、モニターを通して、リモート対応に慣れた専門のオペレーターが対応します。
移動販売を行う場所は、KDDIのHPで告知したり、その地域に住む方にメッセージで知らせたり、auショップカーが営業するローソンの店舗で告知をするなどして、知らせています。機種変更や料金プランの見直しもできるということです。
ドラッグストアの移動販売 うえたん号
このほかにも、ドラッグストアの移動販売も広がっています。ドラッグストア「ウエルシア」の移動販売「うえたん号」を担当している穂積さんに伺いました。
ウエルシアの移動販売「うえたん号」を担当している穂積さん
ウエルシアの方と市の方で一緒にやっていて、お買い物が難しいご年配の方など、お買い物に行けない方のために、日用品だったりを移動販売している形ですね。今31台、29自治体でやっております。基本は日用品、化粧品、パン、冷蔵品、食品、あと冷凍食品とかです。医薬品はご注文があった場合に、店舗に連絡して、次の週にお持ちすることができるという形ですね。場所によって人数は様々ですが、もうお買い物を楽しんでいる方は、着く前から待機していらっしゃって、数人で一緒に楽しんで喋っているのはお見受けしますね。場所によって、お客様が希望している商品は違うので、そのあたりを結構把握してきている部分もありますのでそういった部分を、きらさないように補充して、みなさんがちゃんと買い物できるようにはしたいと思っていますね。
ウエルシアの移動販売は2022年4月から行なっています。東は宮城県から西は大阪府まで、29の自治体で行なっていて、好評なので今後もどんどん広げていきたいということです。
商品の数でいうと、1台で500から600商品を扱っていて、アイスクリームや餃子、牛乳など食べ物・飲み物のほか洗剤、テッシュなどの日用品もあります。キャッシュレスでも利用できて、公共料金の支払いなどもできます。車の後ろにはモニターがついていて、オンラインでの健康相談も可能です。
利用者は
実際に埼玉県川口市の住宅近くで、移動販売をする様子を取材しました!川口市では、去年9月から市内40ヶ所を回っています。車が到着すると音楽で知らせてくれるんですが、次々と人が集まってきました。利用した方に話を聞いてみました。
・「ごぼうのさつま揚げ、焼きそば、メロンパン、あと納豆とチーズ。遠くまで行くのは大変だから、こういうの持って。」
・「今日、パンと金時豆。散歩帰りで「あれ、ウエルシアだよ」と言われて「ポイントも付くし、いいよ」って。それでちょっと寄ってみようかって来た。自分から行かなくても、団地のすぐそばに来てくれるので助かりますよね。自転車とか車とかあればいいんだけど、無い人はやっぱりすごく助かると思う。」
・「トマト、たわし、おせんべい、かまぼことか。たわしも、無いと思ったらお兄さん見つけてくれたから「すごい!」って。お兄さんに感謝。」
・「パンとバナナ。もう車乗れなくなっちゃったからね、10年前に車返しちゃったから。それで結構、細かいもの持ってきてくれて。もっともっと来てほしい。」
この日はわずか約15分の販売時間で、20人ほどの方が利用していました。利用した方に話を聞くと「スーパーに行くにも、バスを利用する必要があって、バスは40分に1本ほどしか走っていない。重い荷物を持って移動するのも大変。食品だけじゃなくて、日用品が気軽に買えるのもありがたい」と話していました。
また、近所の人がいっせいに集まって、会話をする機会になるのも重要で、買い物が終わった方もしばらく笑顔で、いろんな方と話しているのも印象的でした。
これからも全国で、いろいろな商品の移動販売の需要が増えていきそうです。
(TBSラジオ『森本毅郎スタンバイ』取材・レポート:西村志野)