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釣りの世界で言う「後方重心」は【タックルの重心が手元にくること】

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リール(提供:TSURINEWSライター・井上海生)

釣りのタックルは基本的に「後方重心」がいいと言われる。竿の根本から先を考え、根本の方に重心がくるといい、という意味だ。それはなぜなのだろうか?後方重心を解説しよう。

後方重心とは

釣りの世界でいう「後方重心」とは、タックルの重心が手元にくることを言う。竿の根本が後方に、そこに重みがくる、という意味。

なぜか?後方重心だと、竿を持ったときに竿先が軽く感じられ、竿の操作が圧倒的に軽快になるからだ。長時間釣りをしていると、その恩恵は特に大きい。要するに竿を振っているときに、かなりラクなのだ。またルアー、仕掛けが飛びやすい。

タックルのバランスが重要(提供:TSURINEWSライター・井上海生)

後方重心にするためにはどうするか?なるべく竿の自重を下げるか、リールを重くするか、その二つを同時にとるかだ。しかし、近年のリールの軽量化により、特にスピニングリールでは後方重心が作りにくくなっている。そこで竿尻に重みのあるマグネットをつけるなどの工夫を凝らす人もいる。

後方重心が重要な釣り

後方重心が重要な釣りといえば、まず、ライトショアジギングなどジグを扱うものだ。ショアジギングは振り抜くルアーも重ければ、タックルも重い。どれだけ軽量にしても専門ロッドならば100gを切ることはない。4000番のリールをつければ、まず合計350g以上。

350g+メタルジグの重さ、そしてテイクバックの力を合わせれば、ほとんど毎回500g以上の負荷が、振り抜く前にかかる。そこからフォロースルーまで考えれば……、かなり重くなる。そのためなるべく手元に重心がきて、振り抜く前まではせめて感じ方を軽くしたい。

ミニマムなゲームでいえばライトゲームもそうだ。多投する釣りであり、特にアジングはアジの小さいアタリをラインテンションをはって感じる釣りで、常にロッドは立てる。いくら竿もリールも軽くても、後方重心でないと疲れる。そしてアジングロッドは、特に今はリールも竿も軽量化が流行なので、イタチゴッコのように後方重心がとりにくくなっている。

後方重心がとりにくいアジング(提供:TSURINEWSライター・井上海生)

あえてリールを重くすることも

エギングタックル、ショアジギングタックルでは、あえてリールの自重は「ちょい重めくらいがいい」と考える人も多いようだ。実際このタイプの釣りの専用リールは、そこまで軽くない。先日発表されたエギングの2500番リールも自重200gと、汎用リールの15gほど重いのだから、ほとんど自重は重視されていない。

ライトショアジギングでは、あえてパワータイプのSWリールをつける人もいる。4000番で350gには迫ろうかというリールだ。特にタフな釣り場でやる人は、手元がおろそかにならないために、また体力温存のために、リールは重くして後方重心をとろうとする。

あえてすすめられた重めのエントリーモデル(提供:TSURINEWSライター・井上海生)

そこまで後方重心は大事なのだ。竿先の重み、いわゆる「先重り」を感じないように、凝るタイプの人はよく見たい。

LTでは総量を軽くする流れに

トレンドは、竿もリールも軽く、だ。だがそうなっていくと、後方重心をとるためにはイタチゴッコになっていく。竿が軽くて、リールは多少重く、というのが本当は一番後方重心やバランスポイントといわれる、タックルが扱いやすいバランスがとりやすい。ステラのように、あえてそこまで軽くしていない硬派なリールもあり、もちろん存在理由は大きい。

しかしもしかすると今後、タックルを全体的に肉抜きして軽量化することで、そもそもあまり重さを感じないようにする方針が進んでいくかもしれない。話が逸れるようだが、高山で凍死した登山家が言っていたことには「標高が高くなっていくと、下着のタグまで重く感じてくる」とのこと。まさかそんなレベルではないだろうが、とにかく軽く、が時代の潮流のようだ。

<井上海生/TSURINEWSライター>

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