井上尚弥戦を熱望するアフマダリエフがWBA暫定王座決定戦、両者とも次戦クリアすれば来春ラスベガスで激突?
井上尚弥の10日前にエスピノサと対戦
プロボクシングのWBAスーパーバンタム級1位ムロジョン・アフマダリエフ(29=ウズベキスタン)が12月14日、モナコ・モンテカルロで同級13位リカルド・エスピノサ(27=メキシコ)と暫定王座決定戦に臨むことになった。
アフマダリエフは元WBA・IBF同級王者で、2023年4月にマーロン・タパレス(フィリピン)に判定負けして王座陥落。そのタパレスを井上尚弥(31=大橋)が倒して4団体王座を統一した経緯がある。
井上は12月24日に東京・有明アリーナでIBF・WBO1位サム・グッドマン(アイルランド)と防衛戦を行うが、WBA1位にランクされているアフマダリエフも井上との対戦を熱望。WBAも井上陣営にアフマダリエフとの対戦指令を出していたが、結果的にはグッドマン戦が優先されたため暫定王座決定戦が決まった。
暫定王座とは王者がケガなどのため長期間、防衛戦を行えない時に「暫定的」に設置される王座。本来は世界ランカーが待たされるのを防ぐための救済措置だが、現状は統括団体が世界タイトルマッチの承認料を得るための手段として“王座乱造”と批判されている。
各統括団体は王者が最強挑戦者から逃げることを防ぐため、9カ月から1年の間にランキング1位の選手と対戦する指名試合の消化を義務付けている。井上がタパレスを倒してWBA王座を奪ったのが2023年12月のため指名期限は過ぎてしまうとしても、仮に来春にアフマダリエフと対戦すれば許容範囲とも言える。
暫定王者になれば正規王者と同じベルトが与えられ、防衛戦を行うこともある。井上が長期のブランクを作ったり、アフマダリエフから逃げているならともかく、いずれは戦うことを明言しているのに、もう一人チャンピオンが誕生するという不可解な事態だ。
しかも、通常の王座決定戦は1位と2位の選手で争うが、今回アフマダリエフが戦うエスピノサは13位。世界挑戦経験もあり、決して弱い選手ではないとはいえ、アフマダリエフのために組んだ試合のようにも映る。
井上としても統一王者にもかかわらず、自分以外に王者が誕生するのは面白くないだろう。
暫定王座決定戦はアフマダリエフ有利
さて、そのアフマダリエフだが、タパレスに敗れた後、2023年12月にWBAスーパーバンタム級挑戦者決定戦でケビン・ゴンザレス(メキシコ)に8回TKO勝ち。サウスポー同士の一戦で、2016年リオデジャネイロ五輪バンタム級銅メダリストらしく、基本に忠実なディフェンスとパワフルなパンチでゴンザレスを前のめりに倒れさせた。
身長は166センチと、井上とほとんど変わらないが、胸板が盛り上がり、筋骨隆々の肉体はタフネスの証。12勝(9KO)1敗と高いKO率を誇っており、タパレスに敗れたとはいえ、少なくともグッドマンよりは難敵だろう。
リカルド・エスピノサも30勝(25KO)4敗1無効試合の戦績を誇る実力者だが、2019年4月にWBOバンタム級暫定王座決定戦でジョンリエル・カシメロ(フィリピン)に12回KO負け、2021年5月にダニエル・ローマン(アメリカ)に10回判定負けするなど、強豪には敗れている。
那須川天心(帝拳)のスパーリングパートナーとして来日したこともあるが、残念ながらアフマダリエフ戦の予想が不利であることは否めない。
一体、何のために行うのかよく分からない暫定王座決定戦。井上がグッドマン戦をクリアすれば、ラスベガス開催も噂される来春の防衛戦で暫定王者を叩きのめし、統一王者の実力を証明することが期待される。
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記事:SPAIA編集部