ついに深夜枠……! アニメ『ONE PIECE』放送時間変更にはどんな狙いがある? “あの頃子どもだった往年のファン”がより楽しめる施策とは
尾田栄一郎氏原作のアニメ『ONE PIECE(ワンピース)』(フジテレビ系)。毎週日曜日朝9時30分より放送中の本作が、4月6日(日)より23時15分からの放送に時間が変更されることがネットニュースとなり、話題となっています。
いわゆる“深夜枠”への移動ということで、朝の時間に見ていた方たちが放送を見られなくなるのでは? という意見が少なくないのも現状です。
しかし、実はこの枠移動には『ワンピース』をより深く楽しむための狙いもあるように思えるのです。
24年末に発表された23時台への移動。ねらいは「アニメを観たら、すぐジャンプ!」
実はこの度の放送時間の変更は2024年末時点で作品公式から発表されており、今回はじめて話題になっているわけではありません。
現在は新たな放送枠への準備期間として、これまで通りの日曜9時30分より「魚人島編」エピソードのリメイク版が放送中。4月6日(日)から時間を新たに休止中の「エッグヘッド編」の続きが放送される予定となっています。
ではなぜ日曜23時15分〜23時45分の放送枠なのか?
アニメ『ワンピース』公式の答えは「“夜(よ)”はまさに#大海賊時間!!」「アニメを観たら、すぐジャンプ!」。
『ワンピース』原作の最新ストーリーが連載されている週刊少年ジャンプは基本的に毎週月曜発売。アプリ版(少年ジャンプ+)であれば、日付が変わった月曜0時ぴったりから読むことが可能となっています。
つまり、日曜日の深夜にアニメ『ワンピース』を楽しんだ余韻のまま月曜日を迎え、すぐさまジャンプで原作の最新ストーリーが楽しめるという建て付け。ファンがより濃厚に作品に没頭できる仕組みがスタートするというわけです。
20年以上アニメ『ワンピース』に親しんできた視聴者も大人に。だからこそ往年の大人ファンが楽しめる施策に
ちなみに、アニメ『ワンピース』は1999年の開始当時、水曜19時から放送されていました。その後、日曜19時30分、日曜19時を経て現在の日曜9時30分の枠に。
特に日曜9時30分からの放送になってからは“ニチアサ”とも呼ばれ、同時間帯に各局(テレビ朝日系中心)で放送される子ども向けの戦隊ヒーローモノなどと同じくくりで18年間親しまれてきました。
元は子供に夢を与える“ジャンプ作品”の『ワンピース』だからこそ、子供がリアルタイム視聴しづらくなることに対し否定的な声もありますが、子供の頃から20年以上『ワンピース』のストーリーを追いかけ続ける初期からの視聴者は今や立派な大人。
一方の『ワンピース』も、心を躍らせる海の冒険や王道バトル、仲間との絆や成長ストーリーという軸はしっかり残しつつ、近年は長きにわたりめぐらされた緻密な伏線の回収、特権階級の独裁や差別問題といった世界の闇にまで切り込むなど、物語はいよいよ佳境を迎えロマンと深みを増すばかり。
だからこそ、子供の頃からルフィたちの旅を見守り続けてきた往年の大人ファン層に寄り添った改変ととらえることもできるのではないでしょうか。もちろん、アニメ『ワンピース』は各種配信サイトでも配信されており、子供やリアルタイム視聴が難しいファンを置き去りにするというわけでもありません。
また、4月から放送予定のエピソードでは特にこころの痛む内容が連続する見込みのため、すでに原作で内容を知るファンからは「日曜日の朝にやるには重すぎると思ってたからよかった」「深夜ならまだ耐えられる気がする……」といった声も。
アニメ『ワンピース』の新たな歴史の幕開けに、引き続き注目が集まりそうです。
[文/まりも]