外国人市民意識実態調査 「ネット上の攻撃」不安増 入居拒否25%が経験
川崎市が外国人市民を対象に実施した意識実態調査の結果が公表され、4人に1人が外国人であることを理由に賃貸物件などの入居を断られた経験がある一方で、「ヘイトスピーチ」などの差別的な暴言への不安は、2019年の前回調査よりは減少した。
川崎市では、日本国籍を持たない外国籍の人々が市民生活で感じる不便や不安などを行政として解消するため、5年に1度、実態を調査している。今回の調査は昨年6月28日〜7月31日に実施され、川崎市在住の18歳以上の外国人市民5千人を対象に、郵送方式で実施。1031人から回答があり、回収率は20・6%だった。
国籍・地域別の内訳は、中国籍28・4%、韓国籍とベトナム籍が11・9%、フィリピン籍が10・6%と続き、その他アジアが20%を占めた。居住地域は川崎区が最も多く31・8%、中原区15・4%、高津区11・6%と続いた。
市内で住居を探す際に「外国人を理由に入居を断られた」は前回と同じ26・1%。「外国人であることを理由に物件を紹介してもらえなかった」は17・7%と前回の14・2%より3・5ポイント増加し、不動産業者の段階で拒否されている可能性がある。
直近の1年間で感じた不安や危険に関する質問では、「住んでいる地域の治安についての不安」は前回の17・7%より大幅減の10・9%。外国人であることを理由に「暴力をふるわれる不安・危険」は6・8%(0・3ポイント減)、「脅迫や差別的な暴言を受ける不安」は14・7%(3・3ポイント減)といずれも減少したが、「外国人を攻撃するようなインターネットやSNSの書き込みを見て感じる不安・危険」は13・2%で前回の12・4%より微増した。市は「川崎市差別のない人権尊重のまちづくり条例の効果は表れているものの、条例の運用を一層、推進していく必要がある」としている。
国籍に関係なく全国的な課題である災害への備えでは、「飲み水や食料を準備している」は7・8ポイント増の51・7%と5割を超えたが、「特に何もしていない」は27・7%(前回32・5%)と3割近く、「防災訓練に参加している」は16%(前回16・7%)にとどまった。
市担当者は「この結果を関係部局に共有のうえ、施策に反映していく」と話している。報告書は市のホームページで公開しており、ルビ付きの日本語を含め10カ国語で閲覧できる。