神社仏閣ライターが案内!博多旧市街のみどころ
JR博多駅周辺に位置し、中世に由来する歴史や伝統、文化が数多く残る「博多旧市街」。毎年秋には多くの来場者が訪れる博多を代表する秋のイベント「博多旧市街ライトアップウォーク」も開催されています。今回は、福岡県在住の神社仏閣ライターが個性豊かな神社仏閣とイチオシレストランをピックアップ。おすすめのポイントをご紹介します!
神社やお寺が好きな人は必見!「博多旧市街」とは?
JR博多駅周辺は、九州随一の都心でありながら、中世に由来する歴史や伝統、文化が数多く残る「博多旧市街(オールドタウン)」となっています。神社やお寺、小さなお堂が立ち並び、古き良き日本の風情を堪能することができるのが魅力です。
また毎年11月には恒例イベント「博多旧市街ライトアップウォーク」が開催。寺社やお堂がライトアップされ、日中には見られない光景に出会えたり、普段は訪れる機会がない建物の中に入ることができたりと、神社仏閣や日本の古いものが好きな人にはたまらない秋のイベントなのです。
今回はそんな博多旧市街の見どころを、神社仏閣好きならではのちょっぴりマニアックな目線でご紹介していきます。
博多祇園山笠で有名!古い歴史があり、博多らしさも溢れる「櫛田神社」
毎年7月に行なわれる博多の夏の風物詩「博多祇園山笠」が奉納されるのが、この櫛田神社です。創建は757年、博多地区の氏神(守り神)として最古の歴史を誇ります。そんな伝統ある神社ながら、地元民はもちろん観光客もウェルカムな雰囲気で、親しみやすいのが魅力です。
■縁起の良い方角を指す「干支恵方盤」
櫛田神社を訪れたら必ずチェックしてほしいのが、ご神門(楼門)の天井にある「干支恵方盤」。よく見ると十二支の干支が彫られていて、その年の恵方を指しています。
節分の日にはよく「恵方(縁起の良い方角)」を向いて太巻き寿司を食べますよね。あの「恵方巻き」の恵方です。大晦日には、新しい年の恵方を指すようになっているそうです。
■あっかんべーをする「風神雷神の彫刻」
拝殿の上部の左右に彫られているのが、風神と雷神。
でもよく見ると、風神が雷神に向かって「あっかんべー」をしているのです!このカラッとしたユーモアセンスは、明るい博多っ子の気質を表しているのだとか。思わずクスッと笑ってしまって、気分も上がります。
■延命長寿のシンボル「櫛田の銀杏」
神社境内の入口にあるご神木「櫛田の銀杏」。「博多祝い唄(祝めでた)」にも唄われているという、県指定の天然記念物です。しかもこの銀杏の樹齢は1000年以上ともいわれていて、延命長寿のシンボルにもなっているそうですよ。
古来から、不老長寿や商売繁盛のご利益で厚い信仰を集めてきた“お櫛田さん”。博多っ子の明るさの源ともいえる聖地から、元気とパワーをいただきたいものですね。
櫛田神社
電話:092-291-2951(9:15〜17:00)
住所:福岡市博多区上川端町1-41
参拝時間:参拝自由
朱色の五重塔が目印!16mを超える“福岡大仏”も圧巻の「東長寺」
JR博多駅から続く大通りに、ひときわ目立つ朱色の塔が!こちらは、弘法大師(空海)が806年頃に建立した、日本最古の密教寺院「東長寺」です。山門をくぐると、先ほど目を引いた朱色の五重塔や大きな本堂があり、街中にあるのに、まるで時代の異なる都に来たような気持ちになります。
福岡藩・二代目藩主である黒田忠之(ただゆき)公と、三代目光之(みつゆき)公が眠る墳墓もあり、歴史ファンにはたまらないスポットです。
■16m以上もある「福岡大仏」
※大仏殿内は撮影禁止。写真は許可をいただいて撮影しています。
本堂にお参りしたら、是非とも訪れていただきたいのが「大仏殿」です。建物内には、なんと高さが16.1mにもなる大仏様がおられます!こちらは「福岡大仏」という名前でも親しまれる木造釈迦仏で、坐像としては日本一だとか。とにかく大きくて、下から見上げていると、あまりの迫力に圧倒されます。
よくよく見ると、光背(仏像の背後にあるもの)には、小さな仏様が沢山おられるので、しっかりと見てみてくださいね。
■無事にたどり着ける!?「地獄・極楽めぐり」
さらに福岡大仏の台座内には、「地獄・極楽めぐり」が設置されているので、こちらもお見逃しなく!左手に狭い入口があり、餓鬼・畜生・修羅といった地獄絵図が並ぶ回廊を歩きます。大人になって見ても結構な恐怖で、「地獄には堕ちたくない」とあらためて思いますね。そこから先は狭くて真っ暗な道をひたすら手すりを頼りに歩きます。その途中で何か手に触れるものが・・・。丸い輪に触れられたら、極楽に行けるそうですよ。仏様が描かれた明るい場所に辿り着いたらゴール。是非トライしてみてくださいね。
歴史や文化はもちろん、気になるスポットもある東長寺は、博多旧市街の中でもおすすめのお寺です。
東長寺
電話:092-291-4459
住所:福岡市博多区御供所町2-4
参拝時間:9:00~17:00(大仏殿は16:45まで)
※ライトアップ時間帯は入場可。ただし本堂内は参拝不可。
鎌倉時代に人魚が埋葬された不思議な伝説を持つ「龍宮寺」
JR博多駅から伸びる大通り沿いに、ひっそりと佇む「龍宮寺」。鎌倉時代はじめの1222年、漁師の網に人魚がかかり、これが大きな吉兆であるとされたため、人々はこの人魚を浮御堂(うきみどう)というお堂に手厚く葬ったそうです。
人魚は龍宮の使いということで、浮御堂は「龍宮寺」と名付けられ、現在地に移ったとのこと。人魚にちなんで、不老長寿や無病息災を願う人々が訪れたそうです。
■人魚の骨はタイミング次第で見学OK!
伝説となっている人魚の骨と、江戸時代に書かれた人魚の掛け軸は、今でもお寺で保存されています。実際に見学させていただきましたが、人魚の骨は本当に骨のような形状で、茶色くツルツルしています!
そして人魚が描かれた掛け軸は、上半身は女神様のような高貴なお姿で、下半身は魚という、日本ならではの人魚図でした。言い伝えによると、人魚の全長は約150mにも及んだそうです。
人魚の骨と掛け軸を見学する場合は、事前にお寺に電話でお問い合わせして、法事など予定が入っていなければ可能とのこと。タイミングが合えば是非、見学してみてくださいね。
■不浄を祓う神を祀る「三宝大荒神堂」
龍宮寺の山門の正面には、「三宝大荒神堂」といわれるお堂があります。
この三宝荒神とは、不浄や災難を祓う仏教界の神様。また、火と竈(かまど)の神様としても信仰されています。とってもパワーが強い神様なので、是非ともお参りされてくださいね。
その他にも、霊場巡りの札所として多くの巡礼者が訪れる「観音堂」もあります。こじんまりとしながらも、見どころが多い龍宮寺さんは、必ず立ち寄りたいスポットです。
龍宮寺
電話:092-291-1003
住所:福岡市博多区冷泉町4-21
参拝時間:8:00〜暗くなる前まで
怖い閻魔様と煌びやかな観音様が隣り合う「海元寺」では、閻魔みくじもお忘れなく!
大通りから路地に入ったところにある海元寺。1396年に開山された浄土宗のお寺です。こちらのお寺では、境内に入ってすぐ右手にある「閻魔堂」と「観音堂」に参拝するのがおすすめ!地獄と極楽を同時に感じられるような不思議な空間で、思わず長居してじっくり眺めていたくなるスポットです。
■「閻魔堂」は迫力満点の怖さ!
閻魔堂に入ると、正面には真っ赤な怒りの表情で迫力満点の閻魔様が!
閻魔様といえば、人が亡くなった時に、生前の行いを裁く裁判官のようなお方です。とにかく怖い存在として有名ですが、実は慈悲深い一面も持っていらっしゃいます。その閻魔様の前で、立膝をして微笑むのが「奪衣婆」。三途の川で亡者の衣服をはぎ取る老婆です。これに冥官(書記官)や牛頭・馬頭の鬼などがズラリと集まった閻魔堂は、かなり珍しいのだとか。
そんな閻魔堂では、閻魔様を模った人形のおみくじがおすすめ!ミニ閻魔様にほっこりしますよ。
■金色の仏像群が神々しい「観音堂」
閻魔堂のすぐ隣は、打って変わって金色の眩しい空間が広がっています。
こちらは、「西国三十三所観世音菩薩」がお祀りされている「観音堂」です。観音菩薩という仏様は、その時々に合わせて33もの姿に変身されるといわれていて、国内では三十三観音を巡る霊場もいくつかあります。
この海元寺の観音堂は、近畿地方を巡る観音霊場の仏様をお祀りしてあり、このお堂にお参りするだけで、三十三カ所を巡るのと同じ功徳が得られるよう建てられたそうです。本当にその場にいるだけで光を浴びているような、神聖な気持ちになれますね。
とっても個性ある2つのお堂がある海元寺では、毎年1月と8月の16日に、「閻魔祭」も開催されます。こちらも是非訪れてみてくださいね。
海元寺
電話:092-291-4520
住所:福岡市博多区中呉服町10-5
参拝時間:9:00〜17:30
博多旧市街の古民家でいただくイタリアン。中魚町 Barba Bianca(ナカウオマチ バルバ ビアンカ)
ライトアップの前後に訪れたいのが、昔ながらの雰囲気を残した路地に佇む「中魚町 Barba Bianca」。古民家をリノベーションした創作イタリアンのお店で、地元福岡で採れる無農薬野菜や九州産のお肉などを使った、素材が活きるスローフードが楽しめます。
ソムリエの資格も持たれているオーナーシェフが揃えたワインは、なんと100種類以上!料理に合わせて選んでもらうのもいいですね。
お昼は「パスタランチ」がおすすめ!日替わりで3種類の中から選べるようになっています。今回は「リングイネ・リガーテ」という平らな麺と、海老・白インゲン豆を、ジェノヴェーゼ・ソースでいただくパスタを選びました。とにかくソースが香り高く、インゲン豆もふっくら美味しい!豆はハーブで炊いているそうで、細かいこだわりが感じられますね。
追加でデザートもいただけます。「栗のティラミス」が、本物の植木鉢に盛られて登場。スコップ型のスプーンで発掘しながらいただきます。
ほろ苦いポロポロとしたティラミスパウダーと、なめらかなマスカルポーネチーズ、濃厚な栗のアイスクリームに、どっしりとした栗の渋皮煮。それぞれの美味しさが何層にも重なって、奥行きを感じさせる逸品でした。
中魚町 Barba Bianca
電話:092-283-3330
住所:福岡市博多区上呉服町2-116
営業時間:11:30~15:00(L.O. 13:30)、18:00~23:30(L.O. 22:00)
店休日:日曜日、他月曜日不定休
https://www.barba-bianca.com/
いかがでしたか?
今回ご案内したのは、博多旧市街の中のほんの一部。このエリアには、まだまだ沢山のお寺やお堂があります。この機会にじっくりと巡って、心癒される時間を過ごしてみてはいかがでしょうか。
また「博多旧市街ライトアップウォーク」は、JR九州や第一復建、JR博多シティなど福岡で馴染み深い企業をはじめ、フクリパの運営会社である「えんホールディングス」もゴールド協賛で参加しています。博多エリア(※1)に11棟も建っているエンクレストは、博多エリアの活性化にも力をいれているんですね。地場の企業が一丸となって、博多の街を支え、まちの魅力をつくっている取り組みなのです。次回の開催をお楽しみに!
※1:博多駅から徒歩10分圏内のエリアを想定しています
案内人:神社仏閣ライター 柴尾真理
「神社仏閣ライター」として著書を全4冊出版し、雑誌やWEB媒体でのコラム執筆、テレビ・ラジオへの出演などを通じて、神社・寺院の魅力を発信しています。三線弾き語りとしても、ソロやユニットでライブ出演中。福岡県を中心に神社仏閣やカフェで音楽イベントを企画・出演しています。